「人生の指針となる一本だがこの作品の手柄ではない」生きる LIVING ガゾーサさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の指針となる一本だがこの作品の手柄ではない
2023年劇場鑑賞76本目。
黒澤オリジナル版と、当時松本幸四郎(現在松本白鸚)版ドラマを鑑賞済ですが、細部はよく覚えていません。
一方、日本で好きなおじいちゃん俳優は國村隼と田中泯で、海外ではダントツにビル・ナイ好きな自分にとってはこの映画はマストでした。それについては文句なしの演技でした。
細部を覚えていないとの通り、「あ〜多分こんな内容だったな」という大筋通りで、自分が覚えていた一番有名なシーンがないまま先に進んだ気が一瞬したので「いや、泣けないだろこんなもん」と思ったのですが早とちりで、そういえばこういう流れでこのシーンだったな、とちゃんとそのシーンになってしっかり泣きました。
この映画、4:3のスタンダードサイズで、映像の質感も昔の映画をデジタルリマスターしたようななんとなく古ぼけた感じになっていて、時代も明言されていませんが誰もスマホを持っていないのでここ最近の話ではないのは見て取れます。UFOキャッチャーはあるのでオリジナル版よりは時代は後のようですが。(と思ったら他の方のレビューで1800年代からあると知って驚きました)
人が生きた証として、歴史に名を残すような偉業を達成したり、永遠に残るモノを作ったりする必要はなく、誰かの心に少し残るような事をちょっと頑張ってやればそれで十分なんだよ、という百年後でも通用するメッセージをこの映画はくれるわけですが、それはもうオリジナルの黒澤明版で語られていることであり、後は古い映画だからという理由で未見の人たちに繋ぐという事しかこの映画の手柄はないかと自分は思いました。
コメントありがとうございます。
黒澤明「生きる」は1952年公開で、本作は1957年(作中に出たカレンダーがこの年だったような)頃の話なので、オリジナルより後の時代という前後関係自体は正しいと思います。
私はクレーンゲームを最近のものと思い込んでいたのですが、ググったら日本クレーンゲーム協会のサイトにそう書いてありました(笑)