すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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王道?ファンタジーながらもとても考えさせられる映画
『君の名は』をテレビでを見たぶりの新海誠監督の映画でした。
正直なところ期待はしてなかったのですが、ヒロインが個人的好みだったのと、ジャニーズの方が声優やってて上手いな……と思ったからです。
そして今見た感想としては想像以上に大満足な映画でした。
正に王道なヒロインの成長ストーリー。
ヒロインはどんな事があっても「死ぬ事は怖くない」と話していたのが印象的でした。お母さんが地震で亡くなったこと、そして途中で草太が居なくなり、草太の祖父にすずめが泣きながら話していたのを思うと、誰かが居なくなるのが凄く怖かったんだなと……。
草太に関してはすずめに出会えた事や夢半ばで仕方ないと思っていても奥底では死にたくないと思っていたな……と、逆にすずめとはまた違う考え方だなと勝手に思ったりしながら見ていました。
何処かで仕方ないと思っていても誰かがor自分自身が死ぬ事が怖いのは誰でも思う事だと思います。
最後の最後で自分を犠牲にしようとしたすずめをダイジンが助けたところも印象的でした。ダイジンはダイジンですずめに死んでほしくなかったのかなと……
そして全てを乗り越えた2人にとても感動し、泣きました。
透明感があるような音楽と情景がとても素晴らしかったです。
水の表現が特に大好きでした。
また、演技が素晴らしい。
有名なアニメ映画だと芸能人の棒読みが気になってしまい、内容が頭に入らないこともあるのですが、全く気になりませんでした。
美しいロードムービーではある
ただ、そのなかに見覚えがあり、現状?それともイメージ?と思える景色。
景色の美しさに心がざわつき、見終わって気持ちの落としどころがわからなくなりました。
2時間があっという間だった。
今まで映画見てきた中でトップ3に入るほど面白かった...
初めて2回目を見たいと思った映画であった!!
ただ、震災を経験したことある人は心してみた方がいい...震災経験したことない(揺れた地域にいない)俺でもかなり恐怖を感じるシーンはあったので...
25歳男、映画館中央座席で1人泣く
一言で言うと、壮大なラブSF人間成長作品です。
まず原 菜乃華さん。本当に素晴らしかったです。
色んな宣伝で見た想像通りの"鈴芽"でした。
ほかの声優さんたちも、え?どこに伊藤沙莉さんいたの?どこに染谷将太さんいたの?と分からなかったです。さすが
そして、今作は、前の2作とはうって変わって、物語、勢いで魅せる作品といった印象を受けました。歌がなくても、新海誠作品は面白い!って確信した人は多いんじゃないかな、とおもいました。
そんで、その物語、勢いがとてもよくて、
まず開始5分で掴まれました。すずめちゃんがかわいい。(立入禁止ゲートの飛び越え方や劇中の身体能力からして、おそらく陸上部ですね。)
勢いで、船に乗って→愛媛→神戸→東京と目まぐるしく環境が変化していきます。
物語の主人公と言っても、ただの高校生なので、しんどそ〜と思う瞬間が最初にありました。
が、杞憂でした。
旅の途中で出会う数々の人に助けられながら、力を借りながら(服とか帽子も含めて)、進んでいくところ見て、人の暖かさにグッとしました。
そこでさらに感心したのが、労働している点です。相手が親切でただその親切心を貰うのではなく、しっかり仕事をして、その対価を払っています。しかし、それを強く感じさせない。とてもよい描写でした。
すずめちゃんとそうたが行くところに後戸(うしろど)開くの都合いいなと思ってたんですが、ダイジンが案内してくれてたんですね( ;ᯅ; )
バトル作品さながらの、ド派手な演出もあってすごい楽しかったです^^
止まらないのでこの辺にしときます。
いくつか疑問があるので、意見欲しいです。
・ミミズが破裂したとき、なぜ水が出るのか。
・サダイジンはなぜ車に乗ってきたのか。
追記
戸締りをする際の「いってらっしゃい」や「いただきまーす」って言葉の数々は、以前そこに住んでいた人達が交わした最後の言葉なのかなー、って思ったりしました。
1番最後のミミズが破裂したときの雨で地面の火が消えました。そのための雨の演出なのかな?分からん
売り言葉に買い言葉
後半、叔母と主人公が言い争いをするシーン。
これは凄いなと。時に人は、制御が掛からず、本能のまま言葉を発する。人の持つ恐ろしさでもあります。どんなオカルト、スプラッター作品よりも恐怖を感じました。(このシーンだけです)
新海監督恐るべし。
後、違和感があります。
周りは全てその地域の言葉を話しているのに、何故主人公だけが標準語なのか?
廃墟となった遊園地に何故電気が点くのか?(通常、電気は停めるか、引込線を撤去します)
その違和感が邪魔をして、終始モヤモヤしてました。
しかしながら作品そのものは、素晴らしいと思います。
一言でいうなら「浅い」
公開初日に見に行き、気持ちが落ち着いたのでレビューを書きます。
音楽と画作りに関しては素晴らしいと思います。
一方で脚本は「雲のむこう、約束の場所」を思い出す酷さでした。
ネガティブな評価をしている人が深く語ってくださっているので、ポイントを絞って語ります。
主に浅いと感じたのは、
・すずめを中心とした人物の感情描写、感情の動き
・命と向き合うということ
の2点です。
この映画は最初から最後まで主人公と同じ気持ち、テンションになれるシーンがありません。
出会ったばかり(実際はそうではないのですが)の男への執着も、叔母さんへの想いもこちらがその感情についていけるようなシーンもありません。
詰まるところ、「このキャラクターのこと応援したいな、好きだな」と思えないのです。
その一方で道行く人との触れ合いを冗長に演出されるのですが、これもこれで「そこに生きる人」のようなものを描きたいのはわかりますが単調な描写です。
例えば出会った人、優しくしてくれた人の場所が「ミミズ」によって破壊されてしまったり、死を目の当たりにすることで成長をするなどがあれば「命」を強く感じたと思います。
主人公のバックグラウンドをふんわり描いてしまったこと、直接的な描写を避けすぎてインパクトがないことが挙げられます。
命と向き合うからこそ、「100万人の命」と「愛する人」の天秤に価値があると私は思います。
物語を通して全てが「浅く」感じられ、軽薄な内容に思います。
天気の子で、帆高は「あの時僕は、僕たちは、確かに世界を変えたんだ。僕は選んだんだ、あの人を。この世界をここで生きていくことを」と自分が愛する人を選んだことで世界を変えてしまったことを再認識し背負います。
すずめには助けられなかった人、そして自分をしっかり見つめ直して、
その上で愛する人を天秤に掛け、それでもやっぱり愛する人を助けたいと決意する作品であってほしかったです。
そして3.11というテーマ性の重要性はわかりますが、大前提としてエンタメは「面白い」上でテーマを掲げるべきだと私は思います。
つまらない作品は、テーマを語る土俵にいません。
人により変わる視点、そこからどう想うか。
色々議論が生まれそうですが自分はとても面白い作品だったと思います。
震災を扱う上で賛否あるかと思います。被災した人、近しい方が被災した人、起きた事だけ知っている人、何も知らない人…色々な人がいます。どれかの意見が正しいとかただ断絶するのではなく観た人がお互いを想い寄り添い理解しあう為の作品だと考えています。
更地になった町の跡や舗装・整備された道路や高くて海の見えない防波堤、他にも新しくなった街並みとか、それを見てどう思うかは本当に人それぞれで私も誰かを傷つけるような事を言ってないだろうかと胸が締め付けられました。
私の家族が被災した事もあり被災地に行く事も多いのですが、終盤の震災当日の行ってきます、行ってらっしゃい。のシーンはボロボロ涙が出てきました。
それに観た直後と時間を置いてから一人で考えり他人の感想聞いてから噛み砕いていくとで感じ方が変わってくる作品だと思います。
例えばダイジンも観た直後は自分勝手な神さまだと思いましたが何十年、もしかしたら何百年も要石として尽くしてきて、やっと役目から開放されてすずめに優しくされてうちの子になる?と聞かれた時はとても嬉しかったのかな?と思いました。
よくよく思い返せば登場人物みんな完璧じゃない。時に傷つけたり助け合う。思いやる。
いってらっしゃい。いってきます。ただいま。おかえり。と言える日々が改めて愛しくなりました。
ダイジン サダイジンという一番の被害者
ダイジンの正体が最後までわからん。主人公の未来の姿とかならわかるけど多分違うよね、震災や使われなくなったところとかテーマにしてたのはいいけど、遊園地は廃墟のままで、ただ伝えただけでなんの解決にもなってなかったし、ただただダイジンが不遇すぎる、先の見えない中ひとりきりでで数十年過ごしてやっと解放されたと思って、閉じるの手伝ってたら勝手に悪者扱いされて、若い男女の色恋の道具にされる、やってることただの嫌がらせにしか見えんかった。
曲もなんだかなぁ、前の2作の方が個人的にはいいし、絶賛されてる分少し残念だったな。。。。
草太くんのお父様から色々設定聞けたらよかったのにな、ダイジンと対面してお久しぶりですみたいなセリフがあったのと、ダイジンが衰弱しきってたのは何十年に一回かは要石の交換が必要だということの伏線だと思ってたんだけど、ダイジンは好きじゃないと言われた途端、やせ細ったりしてよくわからんかったなぁ。
主人公とヒロインが要石になって終わるようなラストでもよかったんじゃないかなとは思う、ダメか。椅子の脚の一本がなにか大事な伏線になってたり、主人公ヒロイン枠のキャラクター設定が、あんまり特色ない気がするのでヒロインを少しSっ気のある子にして足台として使われた時に「踏まれて嬉しい?」みたいな掛け合いあったら面白かったのかな、ヒロインの体力すごかったし、私体力には自信あるんだみたいなこと言わせて要石にしたり、だったらできたのかな。。
追記
他の人も言ってるけど「新海誠」というブランドっていうのがしっくりくるね。
みんなブランドイメージにお金払ってるし評価しているような気がする、3.9もないとは思う。
3作品通してだけど、 君の名は が一番面白かったな...
過去を共にする
新海誠監督の最新作。
「君の名は」「天気の子」に続く、ファンタジーの要素と新海誠監督ならでの心をにくる感じがあった。
トビラと3.11の地震をテーマにした作品で失った過去に残したものを呼び覚まし、それを受け入れて前に進もうというメッセージを感じた。
この作品の中でも地震が過去に忘れ去られつつある中で忘れては、いけないと思いました。
その日「行ってきます!」と扉を開けて出かけて行った家族が友達がそのまま地震に巻き込まれ、津波に飲まれ、失ってしまった多くの人がいた事を思い出さしてくれました。
誰かを失った悲しみは、簡単には、癒える事はないと思うけど、それでも悲しいままでも生きていける。
誰かが生きようとした明日が自分には、迎える事が出来るから。
そんなに気持ちで扉を開いてみたら、次の日を感謝して迎えれる気がしました。
絵、音楽:優 キャラ、シナリオ:可
絵は流石、新海作品クオリティ文句無しで優
音楽に関してもオリジナル曲のみでの評価として、普通に優
ただ、キャラクターに関してヒーローはまだいいんだけど、ヒロイン側の掘りが題材が題材だったので仕方ない部分なのですが、少なくキャラの重みが少々物足りなく感じました
ストーリーに関しても、題材が地震でフィクション世界とは言え現実世界にあった『3.11』も含めてしまっている為、加減が非常に難しく仕方ないと言えば仕方ない部分なのですが、こちらも少々物足りなさを感じてしまいました。
なんでやろうね
君の名は 以来久々に新海誠の作品を観ました。
作品の出来や面白さは満足。
ネタバレになりますが、最後に子供の鈴芽に現在の鈴芽が語ったことが全てだと思います。
震災に合われた方、貴方には好きな人も出来るし貴方を好きになってくれる人も必ずいる。今は真っ暗闇かも知れないけど必ず明るい日がやって来ると。だから前を向いて生きて欲しい。
そんな貴方を見れば周りの人も幸せになれる。
なかなか震災で家族を亡くされた方達には受け入れ難く辛いかも知れないし、未だに家族を捜されている人達も居ると思います。
この作品を観てそんなに割り切れるわけないと思う人もいるでしょうが。
鈴芽ちゃんが可愛いです。やっぱりエンタメはボーイミーツガールハッピーエンドでないとね。
追記
今週で終映と聞きましたので、急遽今日観に行きました。
凄く後悔しています。
もっと劇場に観に来れば良かったと。
鈴芽ちゃん、ソウタくんと幸せになって欲しいな。
すずめの戸締まり 続編は無いでしょうけど2人の幸せを祈ってます。
ぞわぞわした
・導入が急展開すぎるような気がしたけど、中盤くらいになるとあれぐらい早い展開じゃないときついかもな、とも思った。朝起きてすぐにイケメンに一目ぼれっていう、とても現実的とは思えずついていけるかなぁと思いつつ学校での日常かと思いきや早々にイケメンのために廃墟へと向かうすずめと必死なイケメンとかを観てたらやっぱりこの映画ついていけなさそうだなぁと負っていたら、地震を防ぐために陰ながら奮闘しているという使命の展開ですずめが彼氏と市民との命を天秤にかけられた辺りから、思ってたのと何か違うなと思い始め、ラストは東日本大震災への救済の願いへと展開していって、映画だけに収まらない現実との感情のリンクで驚きと感動でぞわぞわして泣けた。
・細かい所の疑問があったけど、すさまじい勢いで何か納得させられてそれも何だか気持ち良かった。映画は見始めたらとりあえずは最後まで観る前提だからこその展開という感じもして凄いなぁと思った。ラスト、幼年時代の自分と再会っていうのかしたのが、何で時間軸過去に?とすこし思ったけど、それまでの展開の説得力があってか泣けた。パッと終わったのも良かった。
・冒頭で出たコンクリートの建物の上に乗っかった漁船のシーンであぁ、これは夢なんだ、と思ったら、あれは現実にあった事だったんだと思い、なんともいえない気持ちになった。あとは沢山のいってらっしゃいが切なくなって泣けてきた。
・閉じ師の草太の父親とかどうしたのかなぁと思った。アパート暮らしで実家は由緒ある家系のような感じもあっただけに謎だった。隔世遺伝のみなのか、選択してやっているのか…細かいけど。
・ダイジンって名前はネットで誰かが決めたような気がしたけど、実際はどうだったのかがよくわからなかった。草太もダイジンって言ってたので偶然、合ってたのかなとも思った。後半になって左大臣?っていう巨大な猫も現れたけど、あれは東京にいたダイジンって事で良かったんだろうか、にしてはなぜあんなに大きさが違ったんだろうと思った。あとは中盤でダイジンはすずめの事が大好きみたいだったけど石から戻したのと煮干しをあげただけに見えたけど、それだけでそうなったのか?少しわからなかった。
・立ち入り禁止区域の塀が簡単すぎないかと思った。もっといかついバリケードとか貼ってそうだなぁと思った。
・廃墟に思いを馳せないとミミズを抑えられないっていうのが凄く良かった。場所や物にも人の感情は乗っている宿っているかもしれないってて事を考えさせられる。そして、とても切ないのも良かった。
・後半に出てくる芹澤とのドライブが面白かった。草太が椅子にされててることで終始、悲壮感などを感じていたのであの辺が唯一気楽に見られた。芹澤も闇深いなぁとか見てる側の感想を言ってて一歩引けて良かった。
・サービスエリアでおばさんがすずめに本音を語ってぶっ倒れたけど、あれが左大臣のせいなのか急に感情が昂ったのかが謎だった。あれだと左大臣のせいっぽくて悪い奴っぽかったけど逆だったので余計に謎だった。あと左大臣でかすぎるのに二人とも普通で驚いた。
・宮崎から福島まで、どういったルートでどうやって行ったのかを細かく描いててとても良かった。フェリーが出てるんだ、とか勉強になった。道中の出会いの感じも。冒頭の学校の同級生二人が長く何とかするのかと思っただけに。お金はどうしたのかと思ってたら後はから電子マネーって言ってたけど、もうちょっと早くそういった処理をしてるとこを観たかったかもと思った。
・結果的に皆が幸せな感じになれたようで良かった。
焼きうどんにポテサラ
正直、観る前は不安があった。
キャラデザ田中将賀、音楽RADWIMPS、主演が新進女優、声優神木くん花澤さんなど継続要素が増えてきたから。
妙な縛りで変な作品にならないだろうか、と。
確かにまた早送り演出があったりと既視感のある部分もあった。
でも、挿入歌演出は控えめだったし、蛇口も今までと違う印象で使われてたり、正当な進化と変化を感じました。
物語としては、出会う人がことごとく善人だったりご都合主義の面は否定できないが、不思議とあまり気にならない。
キャラを絞ったロードムービー的なストーリーは理解しやすく、また出会う人たちのことをもっと知りたくなってしまう。
帰りながらお礼して回るエンディングでほっこり。
また、新海さんはキャスティングが非常に上手い。
最低限以上の演技力と、キャラや作風に合った声や、替え難い味がちゃんとあるから、俳優起用でも台無しになることがない。
今回はすずめの叫びがワンパターンだったくらいで、過去イチ素晴らしかった。
神木くん、あんな声もやれるんだなぁ。
オリジナルの用語も多様されるが、漢字が浮かびやすく、役割やイメージを瞬時に理解できてしまうネーミングセンスも、地味に凄い。
毎回ですが、今までの新海作品の要素も残しつつ、これからも期待させる素晴らしい作品でした。
それ故に、どうしても満点がつけられません。笑
結局、何ですか?
安定の映像美と実力ある声優陣はさすが新海作品。
だが、ストーリー自体は震災をテーマに土地や人との繋がりにアプローチしてるのは分かるが、結局のところ何を伝えたかったのかが不明。
もっと各キャラが震災を通して負ってしまった心の傷(トラウマ)を、すずめと草太の戸締まりを通して癒していく(復興していく)物語を期待したが、単なるミミズ(災害)抑制作業になってしまっていたのが残念。
自分も福島に住んでる身だが、例えば本作を観て将来に希望を持ったとか、生きる勇気を貰えたとか、震災のトラウマを払拭できたとか、そういう感情は一切湧かなかった。
むしろ無理やり感満載の恋愛描写を見せられて少し萎えた。
普通の良作なんだろうけど期待は超えなかったのが残念。
災いの戸を締めて、明日の戸を開く
おそらく多くの観客が新海誠監督作品に期待しているのは、美しい映像とRADWIMPSの音楽に彩られた、不思議だけど感涙のボーイ・ミーツ・ガール・ラブストーリー。
勿論本作もその醍醐味はたっぷり。
不思議な扉の先の、夜空に星々輝く異空間。日本各地の絶景。それらもさることながら、冒頭、ヒロイン・すずめの登校シーン。自転車で坂を下り、目の前に広がる九州の海辺の町の美しさ! 私は一瞬で心を奪われた。
予告編でも印象的に使われている今回の主題曲。観終わった後、ずっと頭の中でリフレイン。
すずめと謎めいた長髪の美青年・草太。これまでのような同年代の両想いではなく、すずめの淡い片想い風だが、切なさや甘酸っぱさもそつなく。
映画監督なのだから、期待に応えるのは当然。
それでいて今回は、描きたいテーマやメッセージが強く出ていたと感じた。
いや、何も今回だけではない。一躍ヒットメイカーとして名を上げた『君の名は。』『天気の子』の時もそれは描いていた。
災害。
『君の名は。』では隕石落下。『天気の子』では異常気象や東京水没。
将来絶対無いとは言い切れないが、あくまで絵空事。しかし今回は、真っ正面から描く。
頻発する地震、忌まわしきあの大震災…。
我々のすぐ身近の災厄、この身で経験した災害…。
これについては、作品評価もとより、早くも賛否両論。
あの震災を思い出させる描写、場所のみならず、実際のものとは少し違うが、緊急地震速報アラームが鳴り響く。
劇場の大音量であのアラーム音を聞いて不快を示す方は少なくないだろう。震災を食いぶちにし、思い起こさせる映画を観るのは勘弁と思う方もいるだろう。
終盤、母親を探しさ迷い、大粒の涙をこぼしながら泣く“幼い少女”の姿には、大切な人を亡くした人たちに重ね、痛々しくもある。
人それぞれの感じ方だ。一理ある。
しかし私はあの震災を体験した東北人の一人として、この二つの事を言いたい。
批判や苦言も出るであろう中、真っ正面から向き合ってくれた事に、心意気と感謝を述べたい。
劇中、震災跡地の描写もある。津波に流されたであろうヒロインの実家。そして我が福島のシーンでは、原発が…。
今尚心に傷を負う人を気遣って、敢えてそれを避ける気持ちも分かる。が、そんな描写を通じて、新海監督が私たち東北人の胸の内を代弁してくれたようだ。
あの日を、あの場所を、あの記憶を、あの事を、決して忘れるな。
日本各地に点在する災いの元となる扉を閉める少女の旅。
それは、日本中に残る廃墟や災害跡地を悼む祈りの旅でもあった。
シリアスなテーマを取り上げつつ、爽快なエンタメ作にも昇華している。
観るこちらもすずめと一体になって、最初は何が何だか分からない。
後ろ戸? ミミズ? 閉じ師? 要石? 常世? 喋る猫…!?
独特の用語や設定が展開と共にすんなり分かってきて、 重要な意味を持ち、巻き込まれではあるが、その使命を果たそうとする。
すずめらとこの不思議な旅に同行。
九州から始まり、愛媛、神戸、東京、東北と日本を北上。島国とか小国とか言われているが、改めて、日本って広く、美しいと思わせる。
旅はスリルと苦難であるが、ユーモアもたっぷり。素直に楽しく、面白かった。
前半は少女と椅子と時々猫。まあそりゃあ、そんな面子で旅してたら、誰だってまじまじと見るわな。
後半は面子を変えて。こちらも訳ありだが、なかなかユニーク。
カーラジオから流れる懐メロの中には、少女の旅と成長と猫にぴったりの、某アニメスタジオの名曲。まさか新海作品で聞けるとは…! その名作へのオマージュだとか。
他アニメを彷彿と言えば、見た目は可愛いのに辛辣な言動の猫“ダイジン”が、キ○ウべぇにしか見えなくて…。
毎度美味しそうな新海飯も勿論。にしても、鍋焼うどんにポテサラって…!?
当代きっての美少女の描き手である新海監督。今作のヒロイン、すずめも魅力的。意外とリアクション豊かなのもキュートで、随所随所魅せる行動力と芯の強さ。ボロボロの服から少女の正装である制服に着替え、ポニーテールに紐を結ぶシーンは、過酷な運命に挑む意思の表れを感じた。
原菜乃華の瑞々しい声も良かった。前作『天気の子』はボイスキャストに一部不評あったようだが、今回は総じて良かったと思う。伊藤沙莉なんて地声丸出しなのに、妙に役に合っていた。
現代的センスを彩りながら、日本古来の文化や伝承を基にしているのが、個人的に食指をそそる。
神や精霊の世界に通じる扉である“後ろ戸”。民俗学的なアイデアから。
日本神話からも。ヒロインの名前や“戸”は、天照大神の天岩戸隠れや天鈿女命(アメノウズメノミコト)。
ミミズは地震を起こすナマズや、日本最古の神の一つで土着神とされるミシャグジが浮かぶ。
これら色々と考察出来、もっともっと知りたいと思う。
日本的な考えや教え、伝えである場所やものに魂や思いが宿る。
これは今回の重要ポイントの一つでもあるだろう。
すずめにとっては、亡き母手作りの椅子。
多くの人にとっては、廃墟や災害跡地。
人だから、時々それを無くす事もある。過ぎ去る事もある。忘れる事もある。
しかしそれに気付いた時、改めて思い出す。
それに、そこに、思い宿られた“心”。
誰かの事を思い、作ってくれた。
誰かの事を思い、そこに息づいた。
その思いはずっと、私たちを見守り、包み込んでくれている。
それは一期一会でもある。
たくさんの人々が生き死に、関わり合う、それぞれの出会いと別れ。
すずめの旅でも印象的に。
旅の中で出会った人々。触れ合い、別れる時、ハグする。日本ではハグする交流は浸透してないが、ここに直球で表現されていた気がした。
ありがとう。会えて良かった。元気で。また会おう。
人間関係が希薄と言われる今の時代。殊にソーシャル・ディスタンスと言われる昨今に於いて。
ボーイ・ミーツ・ガールのラブストーリーが苦手な方も多いが、それが新海作品の原動力でもある。椅子になり、要石となって常世に閉ざされてしまった草太を助け、元の姿に戻す。すずめの決して諦めぬ強さと成長を担う。
あの震災で母を亡くし、叔母に引き取られ、育てられたすずめ。悲しみからの二人三脚。時には重荷になる。過保護や口うるさく、心配過ぎにもなる。不満も募る。でもそれは、何より誰よりあなたを思うからこそ。気持ちをぶつけ合って、旅をして、また絆を深め合って、唯一の“家族”の良き思い出。
本当に今、生きづらいこの世界。
人それぞれの問題、苦悩。
震災の傷を今も抱える人々。
繰り返し続けるコロナ…。
見上げても、まるで暗雲(ミミズ)が立ち込めているかのよう。
でも決して、暗い世界ばかりじゃない。
そんな世界であなたが泣き、さ迷っても、きっと誰かが道を示してくれる。手を差し伸べてくれる。私たちが今居ていい意味と場所を与えてくれる。
そこから私たちは、また一歩踏み出す。
私たちは悲しみや過去の扉を締め、新しい扉を開け、歩き旅立って行く。
行ってきます、と。
帰って来る時も扉を開け、迎え待ってくれる人の元へ。
お帰りなさい、と。
私たちには自分たちの、進み帰ってくる明日の扉がある。
メガヒット一本で、本人の意思とは裏腹に、期待される存在となった新海誠。
宮崎駿や細田守よろしく、新作発表すれば賛否両論になるのは、これはもう人気アニメーション監督の宿命。
本作でも、その旅に挑み続ける。
本作でも、一貫するクオリティー、作風、テーマ…。
まだ知る人ぞ知る初期の頃からも、メガヒットを放ち当代屈指のアニメーションの担い手となった今も、そしてこれからも、
私は新海誠作品に魅了され続ける。
フィクションに徹して欲しかった青春冒険ロードムービー
題名から想像した作品ではなかった。新海監督お得意の美意識の高い映像美に加え、ダイナミックでスピード感溢れる作品だった。少女と青年が日本各地を巡って災い封じの戸締りをする迫力満点の青春冒険ロードムービーだった。
本作の主人公は九州で暮らす高校生の岩戸鈴芽(原菜乃華)。彼女は登校途中に廃墟を探している大学生・宗像草太(村松北斗)と出会う。彼と運命的なものを感じた鈴芽は草太の後を追い廃墟に辿り着く。そして廃墟に佇む災いをもたらす扉を開けたことにより、日本各地の廃墟にある災いをもたらす扉が開き始める。鈴芽と扉の閉じ師である草太は日本各地の災いの扉の戸締りの旅に出る・・・。
扉から出現する災いをもたらす化け物の災いの権化のような悍ましい姿に度肝を抜かれる。また、ダイジンと呼ばれる猫に扮した神に振り回されて、日本各地を巡る道中の描き方はジブリ作品を彷彿とさせる日本を強く意識したものである。鈴芽と草太は、日本各地を巡り、扉から出現した災いの権化を見つけ満身創痍になりながらも扉のなかに封じ込めてカギを掛けていく。冒険活劇風のロードムービーとして観れば、鈴芽の勇気に元気をもらえる感動作である。
しかし、本作が取り上げる災いは地震である。東北地方という実際に現実社会で大震災のあった地域を巡っていく。3.11という数字、あの朝の家庭の風景も描かれる。11年前という台詞も出てくる。誰もが東日本大震災を強く思い出すだろう。
本作は、フィクションである。フィクションに厳しい現実を加えれば、あの時の悲しみ、怒りを加えれば、観客の心の揺れは激しくなる。強く感動する。しかし、11年前は、歴史にはなっていない。今なお、東北地方の人達は11年前の厳しい現実、生々しい過去と戦っている。
本作が良作であることに異論はないが、フィクションに徹して欲しかった。
現実社会の厳しい過去に触れないパーフェクトフィクションとして描いて欲しかった。
宇宙が生んだ奇跡の物語!
壮大なストーリーに、膝が震えました。隕石、洪水、そして地震と続く新海監督の面目躍如と言える作品です。ただし、宇宙に対する真摯な畏敬の念を抱いていない人には、理解し難いところもあるかもしれません。この作品は地震という災害をベースにしながらも、すずめの不幸人生への考え方を、決定的に変える草太との出会いによって、清々しく成長していく姿に、涙が禁じ得ません。母を3.11で失った悲しみを乗り越えた瞬間、すずめは希望の「明日」になります。素敵なセリフは続きます。「人生が幸せになるシナリオは決まっている」。そして母を失った時からすでに「幸せをもらっていた」と気づくのです。彼女のその健気な気づきは、実は私たちに対しても、大事な人生に対する視点を教えてくれているものでした。感激です。この宇宙に生きる幸せを、見事に描いているとしか思えません。この作品では、すずめはいつも幸せを呼ぶ招き猫です。移動する先の旅館やスナックを繁盛させます。それから、好き嫌いはあるにせよ、巧みな例えがすごいです。地震はみみずです。愛する草太は椅子になります。地震を封じるのは2匹の猫です。また、移動距離は宮崎から宮城まで。そして、懐かしい懐メロ満載に、作り手の深い愛情を感じました。いずれにしても、新海監督の背後にある宇宙の力が生んだ傑作だと私は確信します。
フィクションとリアルの狭間を描く対厄災映画
新海作品は、『秒速5センチメートル』から全作観ている程度のライトファンです。
感想
売れ込みの“新海誠監督集大成にして最高傑作“ とまではいなくても、新海監督のメッセージ性を最も感じる“傑作“世界系 ディザスター×ガールミーツボーイ×ロードムービーとなっていて率直に感動しました。
・物語構成
物語としては、女子高生のすずめが閉じ子である青年草太と共にネコ型のキーアイテムダイジンを追って、日本中の扉を閉じながら厄災を未然に防ぐという物語。
過去作とは異なり、今作はロードムービーである為、説明は必要最低限でハイテンポに次々と場所移動して、出会う人々に励まされながらダイジンの捕獲、扉の閉扉をしていきます。
一見単調に見えるかもしれませんが、ガールミーツボーイとしての愛情を育む重要なパートで、アクションシーンも多いので楽しくみる事ができました。ダイジン、椅子のメインキャラクター達が、終始可愛く癒されました。
・災害という宿命
そして、メインイベントである3.11との真正面対決です。SF展開からの、まさかのリアルとの融合です。今を生きる日本人誰しもが抱える悲しみの権化とのまさかの度直球対決には複雑な心境を持ちました。被災者であるすずめが、過去の苦しみを受け入れ、成長して幼少のすずめに希望を持たせて励みます。最高です‼︎災害大国で生きる我々日本人に新海監督が一つの解答を示すラストは涙無しには見る事ができませんでした。
・過去作との類似点
集大成的要素として、災害、年齢差のある恋愛模様劇、楽曲の使い方、駅のホームからの電車、美しい背景描写などの要素があり、安定した深海節に浸ることができました。
・音楽
昨今の新海作品では当たり前となっていた曲とクライマックスを融合させるMV風の演出が今回は殆どありませんでした。
この選択が、今作のメッセージ性一本勝負の大人向け作品として見事に昇華させていて素晴らしいと感じました。
総評
新海誠監督作品では、『君の名は。』の次に好きな作品(※1位は『言の葉の庭』。)。
被災者ではない為、被災者がどの様に災害描写を受け取るのかが不安ではあるが、個人的には前向きに生きようと励ませるポジティブなメッセージ性を受け取った。
素直に感動できた傑作だった。
「天」と対を成す「地」の話
冒頭のシーンで即ピンとくると思いますが、
地震がテーマです。
お、前回は天気で今回は地震か。
その前は時空❓今回で一旦まとめかな❓
ロードムービーだと予想してなかったけど、
神戸、東京、仙台と、地震あった所ばかりだ‼️
アレ❓宮崎と愛媛って地震あったっけ❓
すずめは「ミミズ」が見えるから、
「閉じ師」の才能もあり、
それ故に草太と会ったのかもしれない。
草太の生い立ちも、
すずめと似てるのかもしれない。
今回恋愛要素は薄かったですね。
胸キュンな所は少なかったかな。
新海作品て、結構SFなんだけど、
誰一人欠けずに終わる所が良いですよね。
星を追う子どもの精神的続編
率直に言って期待を軽く下回ってしまった。
物語は、震災や災害をテーマにしたファンタジーで、もっと練れば面白くなる要素は沢山あったのに、それを上手く使いこなせず、振り回された感じがした。
震災で親を失くした少女すずめと災いを封じる閉じ師の青年草太の成長物語、らしいのだが、彼らは状況にその都度対応するだけで、特に成長した様子が全くわからない。
そもそも物語初めの段階で、震災の喪失感、未熟さや挫折、コンプレックスみたいなものが、観ている人に感じられず、物語後に何かを得たとも思えず、これを成長物語だというのは無理がある。つまり、物語の前後でキャラクターに何も変化が見えない。(草太に関しては、全く過去が描かれないので成長も何もなく。。。)
これは、完全にキャラクターの描きかたに失敗しており、この映画では致命的である。
また、映画の構造的にも無理がある。ストーリーを至極簡単に言えば、幼いすずめを成長した今のすずめが救いに行くお話、であり、主人公はすでに震災後を生き抜いてきて試練を克服しているように見えてしまうのだ。
やるのであれば、震災のトラウマがある少女が青年や旅先の人々とと出会って、性格が少しずつ変わったりトラウマを克服して、過去の自分も救いつつ成長してこれからを前向きに生きていく、というプロットにすべきだ。
つまり挫折→試練→克服→成長という一連の構造は崩すべきではないのだ。
また細かいところで、よく分からない設定や出来事が出てきたりして、疑問符とストレスを感じた。
なぜSNSでネコがダイジンと名付けられるのかよく分からないし、もう一匹は自分でサダイジンと名乗るし。
(ダイジン=大神という意味が含まれてるらしいが、なら何故狼でなく猫?とも思ってしまう)
なんでダイジンは草太を椅子にしたのか?とか、なんで災厄の出る場所を教えてくれてたの?とか、それなのになんで普通に説明して教えてくれなかったの?とか。
神様だから考えはわからんって設定はさすがに無理があるし、何かしら背景はあるのだろうが説明がないので何もわからない。
こういう細かいストレスが積み重なり、次第に物語への興味が薄れていってしまった。。。
絵面は、それなりに綺麗だが、あくまでも現状維持にとどまり、見慣れた映像だ。むしろ過去作より少し劣って見える。新海作品を初めてみる人にはどう見えるかわからないが、これまでの作品の所見時と比べて驚きはない。
音楽は、あまり記憶に残らず、この点でも残念ながら及第点とはいかない。前作、全前作が良かったというのはあるのだろう。(挿入歌を入れろと言うわけではない。BGMそのものが悪い意味で無味無臭)
個人的には共作になった影響かな?とも思った。
最後に一番気になる点。
ジブリモチーフが多いな、というところ。
厄災を具現化したミミズは、少しデザインを変えた獅子神様(もののけ姫)だし、ダイジンや挿入歌は魔女の宅急便、草太のビジュアルや、様々なキャラが集まってキャラバンを形成するところ、異空間で過去のキャラと出会いループするシーンはハウルの動く城。
これらが上手く作用してれば良いが、正直そうではなかった。
そして思い出すのが、星を追う子ども。
この映画はその精神を受け継いでしまった、精神的続編と言える。
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