すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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松村北斗君にとっては初の声優、しかも椅子に感情をのせて演技するのは...
松村北斗君にとっては初の声優、しかも椅子に感情をのせて演技するのは難しそうですが、声自体が美しく聴きやすく、変な作為や癖がない言葉が率直に伝わってきて、期待以上の声優ぶりでした。新海監督が安心感を与えて力を発揮できるようにさせて下さったお陰もありましょうし、北斗君の声や技術だけでなく人となりを含めて選ばれた草太さんだったこともあるのでしょうか。とはいえ草太さんに使命感や自己犠牲を感じこそすれ、監督の仰る神聖さはあまり感じられず。確かにこれまでも北斗君の役は、祝詞を唱えたり矢で祓ったり鍵で封じたり英霊になってしまわれたりする何やら神聖な設定で、もれなく眉目秀麗。でも本作の草太さんは「ありがとう」の声やすずめを思い遣る言葉の抑揚に現れる誠実さのみならず、例えば焼きうどんにポテサラトッピングにどんびきする呟きや、何気ないリアクションにコミカルさもあって。登場した瞬間に「きれい…」とJKに頬赤らめさせてしまう「ザ・イケメン」でありながら、どこかおかしみの滲む、そんな草太さんの人物(椅子)造形は北斗君だからこそ表現できたキャラクターのように思いました。監督が北斗さんの不憫さや面白さに気付いて書かれたのか、北斗君という声優を通じて表現がそうなったのか。実際、あて書きとも思える位、人・椅子問わず草太さんの役柄、台詞、動き...様々な場面の草太さんから「私の知る北斗君」が匂い立ってくるようで、それが本当に心楽しくて。そんな役、制作者に出会える冥利を想像して、私まで幸せになるのです。本作を通じて北斗君の幅広い表現力、多様な魅力を多くの人に知って頂けそうで嬉しいです。
お話自体は「鹿男あをによし」や「帝都大戦」などでも親しんできた、人の世に災厄をもたらすものを封じ込めるというSF奇譚的モチーフに、震災の記憶と日本の地方の在り方という社会的テーマを絡めたもの。考察は再見時と原作読了後に譲るとして、すずめの真っ直ぐな逞しさに加え、ヒーロー然としていない草太さんの存在があったから、新海監督作品に私が感じてしまう一種の気恥ずかしさを本作では感じずに、照れや戸惑いなく初見では冒険活劇と成長譚として堪能できたのだと思います。背景にある東日本大震災の描写には被害の少なかった私ですら心の奥の記憶を揺さぶられて涙腺がゆるみそうだったので、仙台で被災した友人に勧めることは躊躇してしまいますが。 想像以上に心躍らされたのは草太=椅子の躍動感でした。椅子アクション史上最高の縦横無尽の動き、ミミズが天に拡がり蠢く様のスケール感は大きいスクリーンで観てこその醍醐味でした。「天気の子」「君の名は」はビスタサイズだったと思うのですが、本作がシネスコのアスペクト比で製作されたのは、その水平方向の拡がりと、北へ向かうロードムービーとしての性質からなのでしょうか。そのためせっかくの池袋の25.8×18.9m IMAXスクリーンで上下に余白ができてしまっていたのだけが残念。12日のTOHOシネマズ日比谷の新海監督ティーチイン付上映はスクリーン12のVIVEオーディオ、13日は夫を連れてTCX+DOLBY ATMOSで、と其々お気に入りのスクリーンで鑑賞するので、見比べ・聴き比べるのも楽しみです。
「すずめの戸締まり」は、私が目撃してきた中でも松村北斗君にとっての大きな転換点に思えるのです。それは内容や実績というよりも北斗君の在り方、受け止め方という点で、理由はこの宣伝期間の映像、写真の表情が、前述のように何か悟りを開いたかのような、すっきりした穏やかなものだったことです。年下の原さんを見守る立場だからなのか、監督はじめとする制作陣に委ねることができたという新しい経験によるものなのか。
6回目は、この物語が欧州でどのように受け容れられるのだろうか、と考えながら観ていました。ある年齢以上の日本人なら日記の日付や陸に高くうちあげられた船等と結びつく震災の被害。事前に説明することなく鑑賞させたとして、震災の記憶が脳の特別な領域を刺激する私達と受取り方はどう違うのでしょうか。ロンドンで参加した東日本大震災のシンポジウムでは、被災地の映像に留学生達も心を大きく動かされたようでしたが、一方でアフリカ出身者が「我々の地域では飢餓や紛争で毎日この程度の人間が死んでいる。欧州は豊かな日本より我々にこそ目を向けるべき」と発言していて、はっとさせられました。現在戦乱が陸続きの国で続いている欧州でこの映画がどのような感情をもって観られるのか。そして、キリスト教文化圏の人々の自己犠牲や利他主義といった要素の受けとめ方にも興味があります。ただ、人種や社会文化背景を問わず普遍的な、幼きすずめに贈られたメッセージ、アニメならではの椅子とダイジンのアクションの痛快さはもちろん、日本の景色、津々浦々の土地の物語、すずめの成長譚、災厄に纏わる奇譚、友情、家族愛、ほのかな恋慕...多様な要素が世界中をきっと魅了するでしょう。ベルリンでは笑い声が多く聞かれたとの事ですが、私もこの作品のコメディ要素とアクションの楽しさが最も好きなので、そこがうけたのかしらと嬉しく想像しています。
違和感がいっぱいで没頭できないストーリー
うーん…
私にはノイズの多すぎる作品でした
劇中ですずめちゃんと草太くんの絆を育んだものが私には見つけられず、命を賭けてまで草太くんを助けたいとするすすずめちゃんの愛情がインスタントに感じられました
猫を追いかけるのに学校を欠席して女子高生が一人でスマホ片手に旅するのも…だったら設定を夏休みにすればよかった
出会う人がみんな女性で家に泊めたり子供を任せたりもそんな上手い話ある?と思っちゃったし、あれだけスマホを使っていてスマホの電源が切れたシーンは一度だけっていうのもね…
ファンタジーだからっちゃそうなんですけど、違和感が強かった
監督はジブリに畏敬があるんだと思いますが、ジブリ作品を思い起こさせるシーンや音楽が多すぎてうんざりするレベル
あなたのジブリ好きを垣間見たくてこの映画を観たわけではないのです
閉じ師も、祝詞は唱えていたものの、力技で戸を閉め鍵を回すだけではなく、何か儀式的な動作を加えたほうが良かったのでは?と思いました
力技にしたことで閉じ師のお仕事の重みが伝わりにくくなった気がします
すずめちゃんの震災孤児設定はいいんですが、東日本大震災の現場につなげたのは悪趣味に感じました
あと子供のすずめちゃん、4歳ですよね?4歳らしい話し方にしてほしかったです
監督のお子さん使ってらっしゃるのかと思う小学生くらいのしゃべり方で不自然でした
絵も良かったし声優さんたちもキャラクターと合っていて良かったんですが、作者が恍惚と自画自賛しているような作品に感じました
というわけで、この作品と私は相性が良くないのだと思いました
女子高校生がイケメンと異世界で暮らすバディものみたいなイメージを勝...
全く興味無く
たまたまTVでやってたので観てみました。
色々とびっくり。
まさか椅子が走るとか、地震の原因がミミズとか、、
もっと難しい話しなのかと思っていたらとてもファンタジーでした。
ハッピーエンドで良かったです。
勧められてみたけど
兎に角、神がかった話
3.11その時、私たちは、。
この傑作映画の為に用意された圧倒的な映像美とテンポの良いストーリー展開、個性的なキャラクターたちとその声優陣。映画としての何もかもに最高点が与えられて良い。
「君の名は」彗星を「天気の子」は異常気象がテーマであったが、それはこの「すずめの戸締まり」を作るための伏線ではなかったのか?と思えるほど地震の存在を大胆な発想と迫力ある映像で描き切ってきっていた。
映画を観終えてからも沢山の印象的な場面が今も私の頭をよぎってくるが、鈴芽が4歳の時の絵日記が3月11日からは黒いクレヨンで塗りつぶされていたシーンからは、私の涙腺は崩壊し、タイトルバックが流れるまで嗚咽を抑えていた。近くにいた方には申し訳なかったが、気持ちはわかってもらえたと思う。
大切な人と観る映画である。
タイトルなし(ネタバレ)
君の名は以来の新海作品をみた。「3.11」をテーマにした作品だというのは途中で分かったが、美しい瀬戸内海の風景など、映像美は素晴らしかったが、物語としては惹きつけられるものが少し不足しているように感じてしまった。
映像美は流石。だけれど...
新海誠監督の作品はある程度見たことがあり、この映画の存在は知っていたが見る機会がなく、かなり出遅れて、Amazonプライム・ビデオにて視聴。
やはり映像が美しい。劇中で実際の日本の風景が出てくるが、自分が愛媛出身なのもあって「あ、この場所見たことある!」という場面もあり、見ていて楽しかった。
ただ、ストーリーに関しては詰め込み過ぎ感があったこと、細かな説明を端折っているところも多く、上手く登場人物に感情移入ができなかった。
主人公のすずめが看護師を志している設定は、もう少し深堀りしてもよいのではと感じた。
おそらく母親が看護師だったから、という理由だけでなく3.11の時に何かあったと推測しているが、そこを細かくストーリー内で描写されていないが故に忘れてはいけないあの日を軽んじているように見えてしまっているのが残念だった。
旅を通して、地方の人達との交流を深めていく描写は良かったように思う。
7年ぶりの衝撃
がっかりのその先があった
映画館でお金払って鑑賞。
結論から言うと、"がっかりのその先"を初めて味わいました。
ご都合主義万歳。ファンタジー万歳。無理やりなドンデン返し万歳。そしてそこに今回はなんと!魔法と恋愛エッセンスもぶち込んでおきました!的な
カオス映画です。
辟易とする映画の典型という印象でした。
ここまでなら『がっかり』で済んだのですが、問題は3.11のリアルを中枢のテーマとして盛り込んじゃっていた事。感情は『製作陣に対しての絶望』まで達しました。この作品に対して期待をし過ぎたのだと思います。
少なくともこんな内容と知っていたら絶対に自分は観に行きませんでした。
ご都合主義ファンタジー恋愛魔法どんでん返しパクリ詰め込みアニメと、あの悪夢のような現実を一緒くたにして描くとは...。
今も震災によるPTSD等に悩んでる方々を、更に苦しめる事、リスク分かっててこの映画作ったってことですよね?
興行収入や名声に目が眩むと、こんな鬼畜の所業を成す人もいるんだなぁと、悲しい気持ちになり、ある意味勉強になりました。
新海誠作品バイアスがかかりすぎて、絶賛しまくっている人に対しても少し怖さを感じます。
『君の名は。』は確かにレベル高いと思えた作品だったので、新海誠ファンの考えが全く理解できない訳では無いですが...。
☆0.5は映像作った人たちとラッドウィンプスに対しての分。
素晴らしい映画をありがとう。
Amazonプライムにて視聴。
素直に感動した。このレビューでストーリー構成やらアニメーション周りの事に言及するつもりはない。
この映画を観て感じた事を残しておきたいという気持ちだけでレビューをする。
他のレビューでチラホラ見るエンタメだ〜とか、監督の覚悟が〜メッセージ性が〜とかどうでもいい。
十分あっただろメッセージ性は!寝てたんか。
ラスト、すずめが幼少期のすずめに言ってたろ!今はどんなに悲しくて辛いかもしれないが、あなたには未来があるのだから安心して生きろと!
それがこの映画の1番のメッセージだろうが!
こんなにもシンプルで根源的な分かりやすい、そして生きていく上で最も重要なメッセージなのに、他にどんなメッセージならば満足出来るのか逆に聞いてみたい。
確かに3.11が元となっているストーリーなので、観る人を選ぶのは仕方ないし、当事者の方々からすれば軽く扱われたと感じる事はあるかもしれない。
けれども、世の中は当事者だけではないし、体験された方々も減って行くのが自然の常であり、3.11の事を忘れさせないようにと、こういった作品でもアプローチした事に何の不満があるのだろうか。何年かをこの作品製作に、そして震災に向き合った人に何故覚悟が足りないなどと言う事が出来るのだろうか。
アニメーションだからどうとか、新海誠作品だからどうとか、くだらない事ばかりで本当にしょーもない。
ストーリーに説明が足りない事も、ご都合な所があるのも、ツッコミどころはあるのも分かるが、それらを踏まえて尚この作品は素晴らしい。
人は自然に対してもっと感謝や敬意の意識をしないといけないのだと思えたし、それは決してスピリチュアルの話ではない。
どこに原発を作るのかもっと慎重になれただろうし、居住地をどこにするのかももっと慎重になれたかもしれない。なす術なく押し寄せる自然の脅威に対して、劇中のように抗う術はないのだから。
ダイジンに敬意や感謝、好意が必要だったのはそのメタファーだろうと勝手に解釈してる。異論はもちろん認める。
忘れていた様々な感情を、この映画のお陰で思い出す事が出来ました。歳のせいか泣き過ぎてしまいました。
とても良い映画をありがとう新海さん。
ザ・オールスター感謝祭
ザ・オールスター感謝祭と言うべきか様々な要素がてんこ盛り。
君の名はの時間跳躍、天気の子の人柱、3.11、Qべえ、鬼滅の刃っぽいロードムービーなど。
そのせいもあってか開幕からすぐに摩訶不思議アドベンチャーが続き、スピード感があって良い。毎度おなじみだが脇役たちが縁の下の力持ち的に主人公たちを支えて大団円。最後は閉じるのではなく開けることが重要なファクターになっていたのもよくできている。瞬時にエンドロールに入る流れも気持ちいい。
新海作品は、主人公が直面する事象は手を変え品を変え頑張っているが、筋となる話は毎回一緒なんで別のアプローチをしてみても良いのではないか、と次回作でも同じことを言ってそうだなー。
今回は、忍び込ませた切なさ
最近新海誠監督に興味が出てきたので、この作品をもう一度見返した。
やっぱり胸が熱くなる作品だった。
この作品の根幹的なテーマは「人の想い」だと思うが、それが物質化するとどうなるのかを想像した物語なのだろう。
この人の想いというものを群像化することに挑戦したのがこの作品なのかなと思った。
ただ、現世と常世とうしろ戸の設定に微妙な疑問は残ってしまった。
また、主人公の名前がスズメ 漢字では鈴芽と書くようで、母の名前がツバメ?
この名前の設定の意味も謎だが、もしかしたら巣立ちを象徴しているのかもしれない。
このあたりの細かな想いの散りばめも彼の作品らしいところ。
さて、
人の心という謎
タマキのように本心というか、腹の奥にある想い、ネガティブな感情
時にそれは決して言ってはならないと封印されていて、おそらく誰もがその封印した想いを持っている。
巨大な黒猫の左大臣はタマキのそれを解き放った。
それが、時には解き放たれるべきなのかどうかについては、私にはわからない。
タマキのように直接本人に向かって言うのが正しいかどうかの答えも出そうとは思わない。
おそらく一般的にそうだと思うが、この物語のように時と場合によっては本人に言うべきケースもあるのかもしれない。
この作品は東日本大震災をモチーフにして、日常というものがどれほど大切な宝物なのかを再確認させてくれる。
幼いスズメが母を探し回る光景は、あの場所で生き残ったすべての人がしていたことだ。
亡くなった方々の想いは、要石になったソウタによって代弁されていた。
「もっと生きたい」
廃墟に佇む「うしろ戸」
かつて賑わっていたいた場所のいま
忘れ去られて取り残されてしまった場所に残る人々の想い
物質はすべて形成された直後から崩壊に向かって進むが、人の想いは崩壊することはないのかもしれない。
エントロピーの法則
遊園地のうしろ戸もまた、当時の人々の思いが詰まった場所
楽しさや喜びというエネルギーとネガティブな感情のエネルギー
この物質世界では見ることはできなくても、それは確実に存在するというのがこの物語の設定だが、それを現世と常世で表現している。
魂 人の想いが行きつく先 常世
3本足のイス
スズメの母がこさえたイス
「いつまでだったかな、ずっと大事にしてたのって」
この言葉にこの物語の核心が隠されているように感じた。
消えるはずのない思いが、いつの間にか忘れてしまうこの世界。
捨てられる「想い」
忘れられる「想い」
当時感じた感情は、本当に失われてしまうのだろうか?
これが監督が彼自身に問いかけた言葉だったのかもしれない。
閉じて封印する本心
誰もが日常的にするこの行為
しかしそれは消えることなくずっと封印された場所で燻り続けているのだろう。
そして何かの時に、それは一気に爆発的に噴出する。
それが人で、それをタマキに代弁させた。
束ねられたその封印されたネガティブな想いが、常世の中にあるというこの物語。
閉じ師
陰陽師的存在によって、人間の心の秘密を暴き、現世と常世を隔てるうしろ戸を封印する仕事。
さて、、
要石にも「想い」があるのだろう。
この作品の原動力
ソウタのセリフ「気まぐれは神の本質」の一言で、ダイジンの不可思議な行動を説明してしまっている。
左大臣は、ダイジンが引き抜いたから出現したのだろうか?
左大臣が大人の猫であることと彼が「人の手で元に戻す」と言っていたので、小さなダイジンは子供で、この騒動は子供の神のいたずらということなのだろうか?
神であるが故、すべてがお見通しというふうに考えることもできそうだ。
封印された世界とこの世界は違う。
その均衡を守るための要石
では、
うしろ戸とはいったい何だろう?
現世と常世 この世と死者たちの世界をつなぐ扉
災いを現世に引き込む場所という設定
もしそうであれば、3.11との因果関係を描く必要があり、それがないのでこれがファンタジーの域を超えない。
さて、、、
物語はスズメが母を探し続けた夢と、そこで出会った未来の私も忘れてしまったことに起因するのだろう。
これはすべての人がすることで、それに正邪はないはずだ。
正邪はないが、常世とうしろ戸の存在を明らかにする。
ダイジンによってイスの中に入れられてしまったソウタを見たことが、否応ない状況を作った。
二人を追いかけフェリーの中に入ってしまったこと。
冒険物語の鉄板の型
しかし、
スズメが踏切でUターンしたのは、友人に赤くなった顔を指摘されたこと。
それが彼女の初恋となったのだろうか。
この行為が全ての始まりだが、、、
例えば線路にあのカギが落ちていて、それはきっと彼のものに違いないとスズメが思って行動したというのでもよかったかなあと思った。
彼に対する描写 速度を緩めた自転車 すれ違う瞬間に感じた彼の雰囲気 そしてその彼が持っていたであろうカギ それらの展開があった方が自然だと思う。
また、廃墟でソウタを探すスズメ セリザワ そして学校の友人たちの雰囲気は「君の名は」「天気の子」とまったく同じというところが少々気になったが、これが彼の作品だと匂わせているのだろう。
更にセリザワが車で登場したシーン
そこにタマキとダイジン
その後の展開は良かったが、、、セリザワがソウタのアパートから出たスズメを見かけたシーンだけでも挿入してほしかった。
また、
スズメが「死ぬのは怖くない」と何度か語るシーンがある。
彼女は幼い頃に東日本大震災で母親を失い、自身も生死の境をさまよった経験がある。
この経験が彼女の死生観に大きな影響を与えたのだろう。
彼女にとって、死は突然訪れるものであり、避けられない運命の一部と感じ、そのため、死を恐れるよりも、受け入れる姿勢を持っているのかもしれない。
ただ、「私が要石になる」と言ったのは少し共感しにくい箇所だった。
幼い頃からの彼女の心境から、誰かのためにという思いは多分にあっただろう。
閉じ師の片鱗とも思えるあの行動で、小さな神様は「仕方ないなあ」と思ったのだろう。
彼女のあの言葉がなくても、おそらくダイジンは元に収まったと思う。
猫 愛し、愛されるのが彼らの使命
神が肉体を持った猫に化けたのは、愛し、愛されたかったのだろう。
少々憎たらしい猫の本質
スズメがソウタへ向けた愛をほんの少しだけ分けてほしかったのが、彼の本心だったのかもしれない。
少しやり過ぎたことで、ダイジンは目的の愛を受取れなくなってしまった。
この部分に新海監督の真骨頂である「切なさ」が忍ばせてあった。
仙台の地で、幼い時にくぐってしまったうしろ戸の中に入る。
全ての記憶が蘇った。
「行ってきます」扉の鍵を閉めながらスズメの言った言葉。
もしかしたらスズメは、ずっとあの場所にいたのかもしれない。
拭えない思い 忘れられない出来事 刹那的になること
彼女は「大事なものはもうずっと前にもらっていたんだ」ということを思い出した。
だから彼女は、過去を収め未来に向かって旅立ったのだろう。
月日が経ち、やがてソウタが戻ってきた。
「おかえりなさい」
この言葉は、彼女がさらに新しい未来を迎え入れる準備が整ったことを指し示した言葉かもしれない。
冒険の旅と成長の物語
そしてそこに忍ばせた切なさ
切なさは監督にとっての重要なアイテムなんだなと再確認した。
最高でした。
地震ネタを軽く流した感じ
ストーリー的にはさわやかな初恋という感じ見ていて心地良い。ダイジンが次に地震が起こる場所に案内していたというのも痛快。
なんか、松任谷由実の歌が多く出ていたのが気になった。
地震はトラウマになっている人にはつらいと思う。
でも、まぁ、良くできた作品だと思う。
あらためて見直してみた。
古傷がえぐられるような強い感情の揺さぶりがくる映画だった……
3.11が扱われてるというのは事前に聞いていて、トラウマがあるとかではないがなんとなく見ていなかったのだけど、アマプラに来ていたので初視聴。
自分は直接被災した人間ではないのだけど、この映画を見てものすごく強く感情を揺さぶられた。普段映画を見て感動で涙がウルっとするくらいのことはあるのだけど、今回は古傷の奥のまだジュクジュクした部分に指を突っ込まれて掻きまわされるような、軽い吐き気を伴う強い感情の揺さぶりだった。被災から復興していない・まだ復興途中の街の風景、がれきだらけで被災直後の街の風景、おばさんとすずめの喧嘩、4歳のすずめのセリフ、その他諸々。直接被災したわけではないのにここまで強く感情を揺さぶられてしまうのが自分でも意味不明だし、これを被災者が見たらどんな気分になるんだろうと思ってしまった。
でもレビューを見てるとみんな普通にエンタメとして受け取ってて自分のような感想は50件に1件くらいしかなく……、
・主人公の動機・恋心の描写が足りない&よくわからない→落ち着いて考えると確かにそうなんだけど…見てる間は全然気にならなかった
・ダイジンの考えがわからない、結局ダイジンってなんだったの→まあ確かによくわかんないんだけどそんな重要か……?
・映像がきれいだった、音楽が良かった→確かに良かった、良かったからこそ地震の記憶が強く思い出されて感情がヤバいことになった
ってな感じで全然ほかの人のレビューが別の映画の話してるみたいで、自分がおかしいのか?と思ってしまう。
監督は3.11の風化や知らない世代へのメッセージという意味を込めてこの映画を作ったようだけど、予想以上にエンタメとして受容されてて、思ってる以上に風化してるのかなと感じたり。
自分は直接被災はしていないけど復興支援業務や観光でちょこちょこ関わってて被災3県もあちこち行ったから、東北なんて一切行ったこともないという人よりは被災者寄りの立場で見てしまうのかもしれない。一方でここのレビューには実際に被災された方もいるが私より穏やかに映画を受け止めてる方もいて受け止め方は人それぞれなのかなあと感じた。
とりあえず2回目見るにはもうちょっと時間おいてからでないときつい……。
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