「(個人的な調査内容で恐縮ですが思ったところも)基本的に今週の本命枠。」すずめの戸締まり yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(個人的な調査内容で恐縮ですが思ったところも)基本的に今週の本命枠。
今年323本目(合計598本目/今月(2022年11月度)10本目)。
まぁ、「いろいろな意味で」評価は割れると思います。映画内で描かれている「ある事項」についての配慮の論点(公式サイトなんてみなさん見られるのでしょうか?)、あるいは、映画館が事実上この作品ばかりで他作品とのバランスがおかしい等いろいろあります。
ただそれらについてここで言い合っても仕方がないと思うので…。
個人的には、前者(特定の「ある事項」を連想させる内容)に関しては、現在でもセンシティブな事項で、もう少し情報を先に出してもよかったのでは…とは思えます(少なくともここでは出ておらず、公式HPにいかないと出てこなかった)。
アニメ作品といえばストーリーの解釈として、
・ いろいろな見方ができ、何度か見て、あるいは強烈なファン等がいろいろ調べて内容や隠された「意味」などを探るタイプ (本映画や「ヴァイオレット~」などが該当。後者は花言葉などまでまで知っていないといけなかった)
・ 一見何か隠された意図があるが、実は何もないもの
・ そもそも明確に存在しないもの(完全なギャグ漫画の映画化など)
…という3類型あると思いますが、一番最初のグループであり、かつ、映像もそこそこきれいです。こうした点は日本映画の誇れる点なので今後、2023年以降も続けばよいな、と思っています。
映画の趣旨うんぬんは他の方が多く書かれているし何度も書いても仕方がないので、個人的に思ったところです。
なお、「映画館の本数バランスがおかしい」は減点対象外、「特定の事項について配慮がやや足りない」は指摘はしてもそれだけで0.3以上はひけませんので、4.8以上ある時点でフルスコアにしています。
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(考察/「ミミズ」の指す意味は何だろう?)
・ この映画の一つのファクターとなる「ミミズ」です。
ミミズは理科上の「脊椎動物」にはあたらない生き物です。また、食物連鎖ということを考えると、一番下かそれに近いところになります。したがって、「食物連鎖に代表されるピラミッド」を考えれば「一番か、それに近いほど低い存在」であることがわかります(通常は、ヒトを一番上に置く)。この点においては「ヒトとミミズの差は天と地ほどある」わけです。
しかし、ミミズがある場面では逆転するところがあります。
先ほど「食物連鎖」とかきましたが、ミミズはその生物の単純さ故に、ある程度の悪環境においても生きることができます。そのため、汚染された土壌や、毒性がある土壌など、何らか「問題がある」土壌にも普通にも生きますが、ミミズはその生物の性質上、その毒や汚染物質等を体内に大量に蓄えてもそのまま生きます。
ここで発生するのが「食物連鎖」で、ミミズという小さい生き物は他の生き物に食べられ、さらに例えば鳥が食べ、それを人間が経て…と、数段階経て人間に届きます(人間は「普通は」直接ミミズを食べません)。このとき、もとのミミズが汚染された環境であると、毒性等が食物連鎖の「鎖」においてつながっていき、やがて「人間に悪影響を及ぼす」事例はいくらでもあります。経験則として(積極的な工場設置といった論点がなかった、古代中世から)知られていたことです。つまり、「状況によっては、ミミズが人を倒してしまうことがある」のです。これは映画で「ミミズの描き方」と(立場が)一致します。
・ ミミズは何かと存在が(日本人には)恐れられていたものでした。ミミズはその生物の性質上、眼を持ちません。したがって、「目見えず(めみえず)」と呼ばれていた地方もあります(今日(こんにち)においては差別的な表現になりますが、あえて使っています。以下も同じ)。この「めみえず」の表現がさらに変化し、今でも方言として「めめず」を使っているところはあるとされます(特に四国地方)。この「め」はもともとは「眼」であり、人にとって大切なもののひとつです。
そして多くの方が知っていらっしゃる通り、「ミミズに向かってお手洗いをしてはいけない」(表現を緩和しています)という伝承があります。これもその理由が「眼が見えなくなるから」です。もちろん科学的には根拠はありませんでしたが、古い時代には「お手洗い」の環境は良くなかったので、このような言い伝えが日本で発達しました(日本に限らない。文化の発達したヨーロッパの文化でも似たような言い伝えは多少変化しても残っています)。つまり、「ある意味」、人はミミズを恐れながら生活していたのです。
こうした部分は映画ではいっさい触れられていませんが「人とミミズの関係」が逆転するケースです。映画内では別の解釈がされていますが、人とミミズの伝承は私が別にあげたように他にもあり(ほか、ギリシャ・ローマまで含めるといくらでもあります)、こうした文化まで実は含んでいるのではなかろうか…というところです。
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その意味では、「花言葉」などまで含めて解釈する必要があった「ヴァイオレット~」などと同じく「噛めば噛むほど味がする」作品なのだろう(=換言すれば、2回3回行くことを想定している?)という気がします。