「感動の缶詰め」サバカン SABAKAN ヨークさんの映画レビュー(感想・評価)
感動の缶詰め
純粋で無邪気、そして不器用な子供の頃の懐かしい感覚を鮮明に思い出させてくれる。
些細なことでくっついたり離れたりする少年時代に於いて、唯一無二の親友とも呼べるふたりの物語がどこまでも瑞々しくて心の奥の方に響く。
隣町へ行くのにも冒険となる年頃に山を超えて離島まで行くのはもはや命懸けで、その体験を共にした彼らの繋がりはやっぱり特別なんだよなぁと、大人になったからこそ分かる。
でも当の本人たちはほんの少しのすれ違いで友達かどうかも分からなくなってしまう。この不安定さもまた子供らしさ。
大人になった私たちは断言できる。キミたちは最高の友達で、完璧なバディだよと。
そう、この映画は少年たちの青春物語でもありバディムービーでもある。そして家族の物語でもある。
さらに言えば、ただ懐かしいだけのノスタルジーに浸る映画ではなく、彼らの何倍も歳を重ねた自分にもハッとさせられるシーンもある。
それは弱い者イジメを見て見ぬフリをせず助ける事だったり、途中で諦めない事だったりと決して目新しいものではないけれどもこの映画だからこそ伝わるものがある。
個人的にはくじけそうになっても「決めろ!」と自分にこれからは言えそう。
ああでもいくら言葉を尽くしても表して切れないなぁ。圧倒的な作品の前にもどかしい。
もうそろそろ劇場での上映も終わる頃だけれど、やっぱり2022年No.1はこの映画かな。
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