「本年度ベスト級」サバカン SABAKAN ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
本年度ベスト級
子供の頭をぶっ叩いたり、きん○マポリポリだったり、コンプラギリギリを攻めた昭和の家族の日常描写のリアリティにやられ、とある少年との出会いから非日常へと誘われ、不思議な冒険を経て、(ちょっと大人になって)日常へと戻っていく。
ストーリーはいわゆる「スタンドバイ・ミー」的な王道のジュブナイル映画なのですが、とにかく子役達の表情・言葉・行動の魅力が凄まじく、後半は何故がずっと泣いていました笑
特に主演の一路君の表情には笑わされ、泣かされました。
ラストの健ちゃんとの別れのシーンで号泣する久田を背中から撮っていたのも悶絶。「子供は背中だ!」と子役の演出論を語っていた是枝裕和監督の言葉を思い出す。
ここまで散々久田の色んな表情を見せてくれたのに!1番感情を爆発させているその顔を見せてくれないのかぁ!!とこっちが号泣(笑)
草彅剛さんのYouTubeチャンネルで金沢監督が出演された際に、元は金沢監督のmixiでの日記が発端で、そこから草彅さんのラジオドラマになり(企画はなくなってしまいますが)、色々あって映画化になったそう。
最初から最後まで草彅さんに朗読してもらうことにこだわり、子役もオーディションで演技力ではなく、監督が好きになった子を選び、ストーリーも監督の半自伝的のようなお話で、全て監督の好きが詰まった作品。
やはり魅力のある作品はこういう映画なのかな。
ただ一点、ラストの現代の主人公の帰郷+健ちゃんとの再会シーンはちょっと蛇足だったかな〜。と感じる。
全く健ちゃんを描かないか、主人公がふらっと立ち寄った寿司屋で出て来たのがサバカン寿司だったみたいな健ちゃんとの再会は匂わせくらいにしとくのが良かったかな〜と個人的に思った。ただの個人の好みですが!笑
監督の半自伝的な映画は最近だとケネス・ブラナー監督の「ベルファスト」、後はアカデミー外国語映画賞を取ったアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA」などがありました。
日本では本作「サバカン SABAKAN」!ってくらいやられた。夏休みシーズンの今見れて良かった。