「虚構を信じて楽しめる力」グリッドマン ユニバース 終焉怪獣さんの映画レビュー(感想・評価)
虚構を信じて楽しめる力
語彙力をぶっ壊す映画でした。
私は原典の『電光超人グリッドマン』を視聴している世代でもあり、
アニメ版の『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』も鑑賞済み。
加えて特撮ヲタク...つまり100点満点の映画です。
正に「よくできました」と讃えたい作品です。
こんなにも「こまけぇこたぁいいんだよ!!」を体現したジェットコースタームービーは久々だったので鑑賞後に嬉しい溜息。
レビューは毎回、良かった点と悪かった点を挙げるのですが、今回は良かった点しか書きません。
と言うよりも良かった点しか書きようがないです。
○会話劇
『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』同様に自然体な会話が最高でした。
日本のアニメは文学的表現との親和性が高いので日常では使われない言葉回しもすんなりと受け容れてしまう。
しかし『GRIDMAN UNIVERSE』は、現実同様に他愛もない会話をする。
今作も現代の学生が使いそうな言葉や口調で会話をするので全編通じて登場人物達に共感ばかり。
○登場人物の心理描写
世界の危機を前にしても期末テストやら学園祭やら告白で頭いっぱいな裕太達。
名誉ある映画賞を受賞するような重苦しい人間ドラマは、そこには微塵もない。
しかし我々だってそんなに大層な人間ドラマなんてない。
学生らしく今ある学校生活を基とする悩みだからこそ現実味のある人間ドラマが生まれる。
○再会
当然ながら『GRIDMAN UNIVERSE』は『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』の後日談。
またグリッドマン達に会えただけで感動。
特にガウマと蓬の関係性が好きなのでガウマ隊再会は、ちょっと泣いてしまいました。
真夜中のガウマと蓬の会話も最高でした。
多くを語らず涙する蓬の頭に手を置くガウマ...
これだけでも観に来て良かった!
内海とボラーの再会も嬉しかったです。
相変わらずの足蹴りが見れた。
再会と言えば本編では叶わなかったガウマと姫。
他の作品なら感動的な演出をするのにそこはGRIDMAN作品。
北海道物産展で出会うと言うシュールな再会。
短いながらもお互いの関係性がよく分かるシーンでした。
○カメラアングル
カメラアングル・カメラワークが秀逸!
やはり円谷プロも携わっているだけあって通常のアニメにはない構図ばかりで新鮮!
今尚もウルトラシリーズで「まだこんな特撮手法があるのか!」と驚く事もありますが、『GRIDMAN UNIVERSE』でも斬新なアングルばかりで終始飽きません。
○物語
登場人物達が「サッパリ分からん」と言うように理解出来そうで出来ない今作の世界重複現象とその真相。
しかしそこは、何となくで充分。
この難しいロジックは、怒濤の戦闘ラッシュ&サプライズの前では添え物。
○戦闘
圧巻の一言ですよね。
もう喧しい位に合体したり、技を撃ったりするので画面がカオスな状態。
しかも全員で喋るし、SEもデカいし、オーイシマサヨシも歌う...全員、自己主張が強すぎ!
スタッフの「とにかくやりたい事、見せたいものを全部やってやるぜ!」と言う想いが伝わって来ました。
前述のカメラアングル・カメラワークの件同様に特撮作品の見せ方をするので視覚的に飽きないし、とにかく「スゲー!スゲー!」の連続。
語彙力が低下してしまう怒濤の戦闘に大満足。
○神様参戦
アカネちゃん&アレクシス・ケリヴ参戦もグッと来ました。
ラスボスコンビだっただけにあの余裕綽々な言動が良かった。
アレクシス・ケリヴ消滅時、アカネちゃんの無言で寂しげに見つめる姿も良かったですが、
「消滅なんて嘘だろ」「また見つけて封印してやる」と口を揃えて言う新世紀中学生の関係性もグッと来た。
アカネちゃんとアンチ君もようやくお互いの気持ちを伝えられてホッコリ。
○告白
実写・アニメで恋愛描写に心揺れ動かなくなって久しい私ですが、裕太×六花のもどかしさにニヤニヤしっぱなし。
蓬×夢芽もすっかり恋愛の先輩...と思いきや、ラストにニヤニヤ。
あの告白後のもどかしい2人からのエンドロールはズルイ!
○Cパート
このありきたりな日常会話で終わるのがGRIDMANらしいです。
笑いながら劇場を後に出来ました。
○再会を信じて
「また会おう」
「ありがとう、私の友たち」
そうそう、ヒーローの別れはコレでいいんですよ!
もう最高のユニバース映画でした!
劇中の台詞と同じく、虚構(フィクション)を信じて楽しめる人間って素晴らしい。
この映画を楽しめた私達は、人生を誇って良い!
GRIDMANシリーズは、まだまだ終わらないで欲しい。
退屈から救いに来て!グリッドマン!