劇場公開日 2022年3月11日

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「監督の心情にシンクロできるか否か(後者が語る感想)」JO1 THE MOVIE 「未完成」 GO to the TOP LeoLeoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5監督の心情にシンクロできるか否か(後者が語る感想)

2022年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

予告を見るに、JO1の成長物語を軸に描かれているかと思いきや否。主軸は新型コロナウイルス感染症のパンデミックで有観客ライブができず、2年近く会えなかったJO1とJAM(ファンの呼称)との物語。

稲垣哲朗監督はインタビューで、「JAMを幻滅させるような作品を作りたくなかった」「JAMのファンになった」とおっしゃっていたが、その言葉通り優しい気持ちでJAMに寄り添った作品。ハイスピードカメラを多用し、空などの情景もいろいろ入れて、終始エモいトーンで映像が紡がれる。

念願の初有観客ライブ「2021 JO1 “OPEN THE DOOR”」の会場ではJAMの声を拾い、「感動のあまり泣きながら撮影していた」という監督の心情が投影するかのように、パフォーマンス映像にも、ファンが涙ぐむ映像が何度も何度も何度も、挟み込まれる。(ただ中年以上のJAM、男性JAMは巧妙に出てこない。SDGsのコアである多様性を尊ぶ現在の社会トレンド的にどうかと思ったが)

その監督の心情にシンクロできれば110分間はきっと涙、涙。美しく尊いJO1の世界がたっぷり堪能できる。

一方で、監督の心にシンクロできず、観たことのないメンバーの顔、知らなかった11人の関係性、明かされることのなかった葛藤などを期待していた私的には物足りなさを覚えた。

インタビューによると、監督が密着を始めたのは2021年3月から。それ以前の映像は、おそらく事務所スタッフらが撮影した映像で、韓国合宿など撮れ高がありそうなところでも、「MV撮影現場に密着しました」的なよくあるビハインド映像。

「知らないメンバー同士で結成されたから、当初はぎくしゃくしていた」「未経験者がいるし、自分が思い描いていた活動と違った」といったメンバーのインタビュー映像も出てくるが、それをどう克服したのかという具体的な映像はなく、回答的なコメントもあったものの結構あっさり。中盤は、「コロナ中はリモート中心にこんな活動をしていました」と、時系列で淡々と並べただけの映像が続き残念に思った。

その分の尺を、監督の密着後に準備がスタートした、有観客ライブに向けてのビハインドをもっと厚くしてほしかったなと。特に歌唱について。グンとうまくなった歌は、相当なレッスンをしていたはず。

イメージが大事なアイドル故に生々しい「裏」を見せたくないという吉本&LAPONEの意向なのか、監督の作品性なのかは分からないが、全体的にもう一歩踏み込んだものを観たかったです。

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LeoLeo