「総決算」ウルトラマントリガー エピソードZ 出ぽっとさんの映画レビュー(感想・評価)
総決算
良くも悪くもウルトラマントリガー。
テレビシリーズの「ウルトラマントリガー」の辿った道に答えを見出すのが本作の映画であると自分は考えてます。
「人はみな光になれるし、光の化身もまた人になる」
「自身の定義をどう定めどう動くか」
というのを「イーヴィルトリガー」という本作の看板を通して皮肉こもごも伝えたかったというのが本作の魅力だと思います。
ウルトラマンの共闘やメインの防衛メカがお釈迦になって手持ち武器だけで戦うシーン、
空中からの合体光線など劇場版「ティガ&ダイナ」リスペクトなシーンもありましたね。
(どう捉えるか、当時のファンの方々や視聴する各々方の価値観次第ですが)
劇中ではウルトラマントリガー、ウルトラマンゼットの殆どのタイプ形態を登場させての戦闘シーンがあり、特撮は見所があります。
「光よ…光よ…」と呟きながら漆黒に染まるイーヴィルトリガーの目の演出など、良い表現をするなと関心しました。
ここからは不満点です。
トキオカ隊長が
「詰まるところ何をしたかったのか?」
といった説明がちょっと足りなかったように思います。
彼の行動そのものに自身の中の「空虚さ」を表したかったのでしょうが
それがどの程度、ウルトラマントリガー/マナカケンゴやガッツセレクト、ひいては一般民衆に“どう映ったのか”
という説明が殆どないまま、ラストでは総力を上げての撃退、後、“消滅”という幕切れをしてしまった。
TV本編の闇の巨人との闘いやエタニティコアの騒動を乗り越えた先の話で
トキオカや地球警護団の生き残りにとって「光」の定義、即ち「巨人になる」というのはどれだけの意義があったのか?
彼らはどれだけのことをしようとしたのか?
彼らを止められなければ野望や暴走の果て、
引き換えにどの程度のレベルの脅威が及ぼされたのか?
街が吹き飛ぶのか、文明が消失するのか、
はたまたエタニティコアと同様宇宙が吹き飛ぶレベルなのか?
一言で言えば「緊張感による場の深刻さや説得力」が足りていなかったのかなと。
(個人的にはトキオカはユザレの消滅も含め闇の巨人を強く憎んでいたようなので、光でも闇でもあるトリガートゥルースをぶつけ、イーヴィルトリガーとなって暴走する空虚さを穿ってもらって欲しかったし、『NEW GENERATION TIGA 』と銘打つなら、オマージュ元のイーヴィルティガのようにイーヴィルトリガーも徹底的に悪想念に踊らされて暴走させた上で、トリガー自身に決着をつけさせて欲しかった。あくまで個人的には物足りないというわがままなんですが)
セレブロの暗躍も突然だったので、なんというかこう、もう少し腹黒く行動して欲しかった。
あれだけ壮絶な“ゲーム”を仕掛けたセレブロを撃退した末にストレイジに隔離していたはずが、
ああもあっさりトリガー世界の暗躍に手を貸している形で登場してしまっては
ストレイジの面々の落ち度だけをハルキとゼットさんが尻ぬぐいに来てるように見えて仕方がなく、デストルドスにしても
あれだけの闘いがあった後の出現というのがあまりに報われないというか、
トチ狂った“ゲーマー”としては今回のセレブロには“マッドさ”や“思慮深さ”が足りなかった。
ウルトラマンゼットとなれるハルキの身体を掌握したかと思えば
言い方は悪いが、なんの話の弾みもなく尺もトリガーダークの登場も使い潰して、
追い出されたと思ったら安易な寄生先に乗り替えるというのは黒幕の一人としては「深刻さ」に欠けて残念でした。
ゲームや戦闘の達人であるヒマリ隊員だから出来たことなのかもしれないが
最終的に彼女がごく短いスパンでセレブロの本体を寄生の心配もなく網を捲いて捕縛してきた。
ということは、
「それってセレブロの暗躍が発覚してから事態の深刻具合から
ハルキが連絡を入れてタツミ元隊長辺りが探りを入れててもおかしくないのでは?」
と勘ぐってしまいますし、そこから
「危険度の見積もりが甘かったタツミ元隊長が乗っ取られてしまって暗躍の手駒にされるって展開もあったのでは?」
などもう少しひねった登場の仕方があったのではと自分は残念に思ってしまいます。
これはレビューではなく愚痴ですね。
これを読んで不愉快な思いをさせていたらごめんなさい。
いい大人が、大人気なくて申し訳ないです。弁明はしないです。
ご参考になれるのであれば幸いです。