「【”消えない事、守る事、そして絶対に泣かない事。”。今作は少女によって生まれたイマジナリー、ラジャーが少女との繋がりを求め、仲間のイマジナリーを救うために”現実”と戦う冒険ファンタジーである。】」屋根裏のラジャー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”消えない事、守る事、そして絶対に泣かない事。”。今作は少女によって生まれたイマジナリー、ラジャーが少女との繋がりを求め、仲間のイマジナリーを救うために”現実”と戦う冒険ファンタジーである。】
ー ご存じのように、イマジナリーフレンドは幼き子供が脳内で作り出す。そして、今作のアマンダの母リジーの様に大人になると忘れ去られてしまう。
アマンダは自分を可愛がってくれた父が亡くなった哀しみから、ラジャーを生み出したのではないかな・・、と思いながら鑑賞した。-
◆感想
・ラジャー少年が少女アマンダに生み出されて、3年3カ月と3日と冒頭ラジャー少年が自ら語るが、もしかしたら3年3カ月と3日前にアマンダの父は亡くなったのかなと思いつつ、二人が架空の世界で楽しそうに遊ぶ姿が印象的である。
部屋の中の段ボール箱に二人で乗って、いつの間にかオーロラが見えるスキー場を滑っていたり。
・ある日、リジーが営んでいた閉店した本屋に謎の男ミスター・バンキングと黒い服の女の子が訪ねて来るシーン。
ミスター・バンキングは”良い匂いがする。”と鼻から空気を吸い、一方黒い服の女の子はラジャーを羽交い絞めにし、捉えようとするが何とか逃げる。
ー その後、ミスター・バンキングが”新鮮”なイマジナリーであるラジャーを吸い込むために執拗にラジャーを付け狙う。黒い服の女の子もイマジナリーであるが、腐ったような匂いがするとラジャーが言ったことから、きっと大昔に彼女を生み出した幼き子が亡くなってからずっと消えらえずにいたのだろう、と勝手に想像する。-
・ミスター・バンキングに再び狙われたラジャー。アマンダは母リジーに助けを求めようとするが、車に跳ねられてしまう。
ー そこに現れた猫のジンザンは”俺についてこい”と言って、ラジャーを”忘れられたイマジナリー”たちが暮らす街に辿り着き、ラジャーはゴーグルをつけたエミリーと図書館で出会うのである。エミリーは生み出してくれた子が亡くなってしまった為に”忘れられたイマジナリー”となっている事がその後に分かる。-
■ラジャーはアマンダに忘れられないために、現実世界に戻り苦労してアマンダが入院している病室を訪れるシーン。
ラジャーはアマンダに呼びかけるが、そこに又ミスター・バンキングと黒い服の女の子が現れる。母リジーは最初、ラジャーに気付かないが、幼き時に自分を襲おうとした赤白のまだらの大蛇が現れた事で、自分のイマジナリーであった老犬の冷蔵庫の事を思い出す。すると、老犬は昔と同じように大蛇を始末する。
一方、ミスター・バンキングは再びラジャーを吸い込もうとするが、目覚めたアマンダによりラジャーは力を取り戻す。そして、ミスター・バンキングは黒い服の女の子を吸い込んでしまい、”なんだ、この匂いは”と言いつつ、消えてしまうのである。
ー このシーンは解釈が分かれると思うが、数百年も”新鮮な”イマジナリーを吸い込んで生きていたミスター・バンキングが、”腐ってしまった”黒い少女のイマジナリーを吸い込んだ事で、霊力を失ったのだろうと、私は推測した。-
<今作は、やや難解な部分もあるが面白きファンタジーであった。子供心を忘れたオジサンが見てもナカナカな作品でもありました。>