劇場公開日 2022年4月29日

「「ラジエーションハウス」のデコボコなメンバー。」劇場版ラジエーションハウス ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ラジエーションハウス」のデコボコなメンバー。

2022年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

テレビドラマの「ラジエーションハウス」は大好きである。唯織と杏の片思い的な関係性が面白い。大好きな杏を支えるために世界レベルの技術を持った唯織と、子供の頃の事はすっかり忘れた杏とは想いがすれ違ってきた。杏が唯織を意識してアメリカ留学に行く直前から物語は始まる。杏を想う健気な唯織の奮闘にはいつも応援したくなる。今回の劇場版は、そんな微妙な二人の関係をベースにしながら、医療の問題をも魅力的に、ダイナミックに描いてくれた。構成としては、事故にあった妊婦の胎児をいかに助けるかという前半と、離島で発生した(感染症)との戦いの後半に分かれる。
前半では、治療に納得ができず妻の悲しい現実を受け入れられずに院内でテロ行為まで犯してしまう夫をいかに説得するかがテーマである。放射線の技術で、妻の心の動きを見えるようにすることで唯織は夫の心を動かすことに成功する。唯織の活躍が目立つがそれだけではない。広瀬の技師としてのステップアップだったり、軒下と田中の微笑ましいライバル関係、鏑木の名誉欲と医師の良心のバランス、大森の心配りなど甘春病院の内幕が楽しめる作りになっている。
後半で、いよいよ唯織と杏のおかしなヒーロー・ヒロインの活躍かと思いきや、やはり主役は「ラジエーションハウス」のメンバー全員である。唯織のスーパーな活躍が中心にあるが、ラジエーションハウスのチーム力が重要なんだと気付かせてくれる。デコボコだけど個性的な一人一人がこのドラマの魅力である。テレビドラマの良さはそのままに、劇場版らしいちょっと大きなテーマや舞台を用意したとても面白い作品になりました。

ガバチョ