劇場公開日 2022年5月13日

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「視聴側のモノの捉え方、思考で何倍も面白くなる壮大な作品」バブル らくださんの映画レビュー(感想・評価)

4.5視聴側のモノの捉え方、思考で何倍も面白くなる壮大な作品

2022年5月23日
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鑑賞方法:映画館

根本にあるテーマは「破壊と再生」
何億もの時の中で、ビックバンで宇宙が誕生した時から幾度となく破壊と再生を繰り返し、成長してきた宇宙。
舞台は街全体に異常現象で泡が降り積もり、泡に包まれ破壊された東京である。
この現象は、宇宙規模で幾度となく起こる破壊と再生の中の一つであり「バブル」はこの「破壊」をテーマに人魚姫の物語と交えながらストーリを展開していく。

「空から泡が降ってくる」ことにより
疎外された東京、その中でストリートチルドレンの様な子供が生活し、警察組織が存在しないが単純な暴力で物事を決めるのではなく、泡に沈み、崩壊した街に適した「パルクール」を用いて物資の争奪を行う。
主人公「ヒビキ」もまたそのストリートチルドレンの一人であり、耳が人より非常に良く優れているので、パルクールでも物体の位置を耳で判断することで他よりも突出した才能の持ち主である。
実際に東京がこの様に隔離されたらこの様なことに本当になるんじゃないか?ストリートチルドレン、謎の泡を観測する研究者が出てくること全てが必然的に起こるであろうと感じさせられた。

ヒロインである「ウタ」は泡である。
元々、泡として浮いていたが、ヒビキを見つけ
観測する中で恋焦がれ、溺れたヒビキを救う強い意志の元に、無数の泡の意識と共に人間の体を作り具現化された。人魚に誕生である。
ウタは、王子様(ヒビキ)と触れ合うことで体が泡に戻ってしまう。
ウタは、ヒビキを助ける為に泡の世界から出てきたのであろうと捉えれる。

物語終盤では人魚を助ける為に、王子様が助けに行き。最後は人魚が泡になって消滅するが、
繰り返し起こる破壊と再生の中で、いつかまた出会えるというメッセージを感じ取れた。
愛というものは素晴らしく、時には恐ろしい

この物語は映像の凄さ、グラフィック、音の使い方も(特にヒビキがヘッドホンを外すシーン)も勿論素晴らしいが、大抵の人は物語が理解できず、それだけでは面白くないという意見も多くなるだろう。
作品を視聴する上で、作り手が伝えたいメッセージ、何を感じるか?自分で考えることで気付き、物語の真髄に辿り着ける作品だと思い、メッセージ性の深い作品でとても面白かった。

らくだ