「ガッキーとこどもたちとの「距離の近さ」。」ゴーストブック おばけずかん ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
ガッキーとこどもたちとの「距離の近さ」。
少年少女が中心の映画はそれだけで清々しい。単純で真っすぐな動機と行動で問題を解決していくのは、おとなが中心の映画とは別の楽しみがある。また、現実として子役の成長が見れるのも楽しい。「万引き家族」の祥太少年の成長した姿には感慨深いものがある。ほかの子役たちも今後活躍してくれるとうれしい。こどもたちのキャラ設定も丁寧で好感が持てる。反抗的だが実は優しい太一、優しすぎて優柔不断な一樹、まっすぐで勝気な湊などいい所とちょっとだめな所があるのがちょうどよい。「試練への挑戦」の動機はちょっときれいごと過ぎるが、少年物語ならこれでいいかもしれない。
彼らが迷い込んだのが「おばけの世界」である。現実の世界とそっくりな「おばけの世界」があるという発想は普通だが面白い。山崎監督は「DESTINY鎌倉物語」でも黄泉の国を描いたように、VFXでそれらしいおばけの世界の雰囲気を出している。
おばけもコミカルで親しみが持てる存在である。敵としてやっつけるのではなく、おばけ図鑑に封じ込めたら協力してくれるのも作品全体のテーマにあっていると思う。可愛らしい案内役の図鑑坊が少年たちともよくなじみ、独特の存在感があった。
図鑑坊とは違う意味合いであるが、存在感があったのが瑤子先生である。分かりやすくやる気のない臨時教員になった彼女が、少年たちとの交流を通じて考え方が変わり、本当の教師になろうと決意する。瑤子先生の成長物語にもなっていることが、この作品に魅力を加えている。また、新垣結衣と子役たちとの距離の近さも感じられてとてもいいと思う。
こどもたち、図鑑坊、瑤子先生が、それぞれ存在感を持ちながら協力して困難に立ち向かう様子がうまく描かれている作品でした。