「確固たる目標もなく、流されるまま生きている主人公淳。 その主人公と...」冬薔薇(ふゆそうび) ベムラーさんの映画レビュー(感想・評価)
確固たる目標もなく、流されるまま生きている主人公淳。 その主人公と...
確固たる目標もなく、流されるまま生きている主人公淳。
その主人公とは真逆ともいえる人生を歩んできた伊藤健太郎が、この役をどう演じるのか興味があった。
意思のない虚ろな表情に覇気のないその風貌、伊藤健太郎とは別人の淳であった。
演者は役になりきる時、愛情を持つほどにその人物を深く理解し、初めてその人物になれるのだと思う。
その演者の淳への愛情が、殺伐とした人物をも、愛おしく思わせるのだろうか。
淳が愛おしくてしょうがないのである。
淳の両親(父義一:小林薫、母道子:余貴美子)の思いが私に宿ったのも多分にありそうだ。
この淳という人物を救ってほしい、心をあたためてあげてほしいと強く思った。
しかし、まだまだ淳は彷徨わなければならないのか…
雪が降る中の三崎(永山絢人)と淳の二人のシーンは圧巻だった。
(敬称略)
全体的なことを言うと、
この映画、静かに内面に切り込んでくる。
自分の生きてきた過程を顧みずにはおれない。
いつもは、見ないようにしてきたことが、浮き彫りにされる。
ボディブローを喰らったようなダメージを受けた。
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