「何度も観たくなる映画」チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい redさんの映画レビュー(感想・評価)
何度も観たくなる映画
ドラマから映画になる時、ラブコメの場合同じようなテイストでは軽すぎて映画館の大画面や音響の良さや静まり返る空間を生かしきれない場合が多いが、これは良い塩梅で作られてると思いました。
ドラマでは人に恋する心を、映画では人を想う愛情を描いていて、ファンタジーと現実の不思議な境目の曖昧さと地続きが、冒頭で出てくる「おとぎ話」が心が読める魔法の事ではないと気付くラストにハッとされられます。
映画にふさわしい圧巻の仕掛けだと思いました。
気になる点もあるのですが、(例えば安達が神社の黒沢の事を思い出してるシーン。黒沢の目線は安達に向けてるので思い出す時はカメラ目線になるのでは?とか、終盤に黒沢家の両親の前で安達が「黒沢」と呼ぶ所は原作の緊張してそう言っちゃったみたいなシーンがないとちょっと常識を疑われそうとか)まあ原作者の監修の元、入れてないので大きなお世話かもしれないですが。
ここはこうした方が良いのではと思うのは、前半のデートのキャンプのシーンではもっと黒沢の心の声をうるさいくらいに聞かせた方が後半の魔法消失の静寂が生きると思いました。蕎麦を食べる2カット目を削ってこの心の声に尺を使うとか。
気になる所もここはこうした方がな所も、どの映画にもある事で気にならない方もいると思いますが、私はいくつか気になりました。
にもかかわらず星が5なのは、とにかくキャストの演技が素晴らしかったからです。
安達と黒沢の幸せな笑顔から、お互いを想って切なくて好きで愛おしくて堪らないといった表情が本当にウソのない瞳で映し出されたスクリーンを見つめて過ごすこの時間の贅沢さ。
この何とも言えない柔らかで幸せな気持ち、少し心をひっかいてく余韻、観終わった後に誰かと話したくなる。
観終わった後、またじわじわと観たくなってくる。
ドラマを知らない人にも見て欲しいし、映画を先に観て、後からドラマを観ても十分楽しめると思います。