「満足感とこれじゃない感」チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい M Tさんの映画レビュー(感想・評価)
満足感とこれじゃない感
ドラマ版は概ね満足で映画も楽しみにしていました。
主演二人の再現度と演技は素晴らしかったです。
スクリーンでイケメン黒沢とあれだけもさい役作りしてもに終始可愛い安達を見られるのは幸せでした。赤楚衛二さん町田啓太さんありがとうございます。赤楚さんは痩せ体質なのに体重を増やすのも一苦労みたいでお疲れ様でした。
ドラマ愛ゆえに厳しめの評価になりましたが、高評価の方を否定する意図は一切ありません。
ただ私はドラマ版のテンポの良いラブコメ感が好きだったんだな、と映画を見て感じました。
それが減ってかなりシリアスな作りになっていました。
安達の長崎転勤、別離による互いの不安、一緒にいるための安達の努力や成長。
互いの家族への紹介、結婚式。
安達の父と黒沢が場面では思わず泣いてしまいました。
風間監督の丁寧で静かな画面の美しさは素晴らしいのに、なんだか見ていてしんどい。
原作既読で熟読はしていませんが、特に黒沢のキャラがもっと前向きで楽しいんですよね。
町田さんの演技力なら難なくこなせるでしょう。
映画では繊細さがヒューチャーされすぎていたからしんどいのかな。
安達もすごくがんばったけど、やや脚本に丁寧さが足りず、脚本的に決意表明的な強いセリフが唐突に思えるところもあった。安達が過労で倒れる場面は上手すぎて本気でドキドキしました。
安達の成長が目覚ましい一方、そこに至るまでの描写にもう少し丁寧さが欲しかった。
結婚式がまるで安達(黒沢)の想像や願望かと思わせかねないラストの演出は何故?
今回は特に控えめだった安達が、あんなにがんばったんだからそりゃないよ。
制作側の同性愛カップルの現実を描こうとしている姿勢は素晴らしいのですが、私の求めているものが微妙にずれていたんだと思います。
BLは詳しくありませんが、主に海外のLGBTものはそれなりに見ているせいかもしれません。
また、題材に限らずもっとシリアスで重い題材の映画でも鑑賞後の気持ちは暗くならないものはいくらでもあります。
黒沢安達は二人とも真面目で誠実、タイプは違えど優しさも強さも繊細さもある。
イケメン俳優二人だからだけじゃなく、見ていてとにかく応援したくなる人柄です。
現実は日本や法律のみならずもっと厳しいところもあるし、カミングアウト出来ない人たちも多い。
ドラマで感じた幸福感は確かに感じました、
でも予想外に少な目で、見た後なんだか落ち込んでいる自分がいて混乱しました。
隙間を想像で埋めれば、何があってもこの二人は大丈夫なのでしょう。
でも、この作品にはもっと文句なしの多幸感を求めていたのだと思います。
でも役者、原作者(すごく良く出来た方ですよね)、監督、プロデューサー、スタッフには感謝しています。
文句ばかり言ってしまって勝手なものですが、テレ東ドラマは誠実で着眼点や質が良いものが多く、ずっと前からもこれからも応援しています。なので出来る限り課金しました笑
テレ東でなければこの作品は生まれなかったと思います。ありがとうございました。