マザーズのレビュー・感想・評価
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【“異形なるモノが鳴らすノイズ・・。”ジワジワ怖い、考察系マタニティホラー。貴方はどう感じたかな。今作は、男性と女性で感想が違いそうな、生理的に嫌な感じがじわじわと漂う作品である。】
ー アリ・アッバシ監督作品は、劇場で「ボーダー ふたつの世界」「聖地には蜘蛛が糸を張る」「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」を観たが、この彼の長編デビュー作は、異形なるモノを描いた「ボーダー ふたつの世界」に近い作品だと思う。-
■シングルマザーのエレナ(コスミナ・ストラタン)は、幼子ニコを祖母に預け、ルイス(エレン・ドリト・ピーターセン)とカスパー(ピーター・クリストファーセン)夫妻の人里離れた家へ住み込みの家政婦としてやって来る。
夫妻は資産家ながら自給自足の生活を実践し、電気も水道も通っていない生活を送っていた。だが、エレナはそんな二人と、徐々に親密になる。
そんなある日、エレナは”昔、何度妊娠しても流産し、子供が産めなくなった”ルイスから新しいアパート代を出す代わりに代理出産を頼まれるのである。エレナは迷ったが、お金の魅力とルイスの事を考え、了承する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤からずっと、画面が暗い。且つ不穏な雰囲気が流れている。
・ルイスもカスパーも、少し変わってはいるが一見、良い人である。だが、そこが怖い。
・エレナはルイスの凍結卵子を使って、無事に妊娠するがお腹が大きくなるにつれ、彼女に異変が起きる。夜に悪夢を見たり、皮膚が敏感になり痒みを持ち更に水を掛けても痛がるようになる。
・途中で”レオ”(ナント!ビョルン・アンドレセン!この人が出てくると北欧ホラーの香りが出るなあ。少年の時はムッチャ美男子だったのに。)という長髪白髪髭の老人が、手かざし等するが、効果はない。
・苦しむエレナは、到頭赤ちゃんを、裁縫棒を使って掻爬しようとするが、気絶して逆に彼女が病院で亡くなってしまう。この辺りの描写と、頻繁に聞こえる“ノイズ”が、じわじわ怖い。
・そして、女の大きな赤ちゃんは無事生まれ、ルイスが言っていたように、”シェリー”と言う名を付けられる。観た感じは普通の赤ちゃんだが、”レオ”がベビーベッドに寝ている彼女をじっと見ると、”シェリー”の眼が金色に光るのである。
・カスパーも、赤ちゃんの異常に気付いたのか、ベビーベッドに寝ている”シェリー”に対し、拳で殴る振りをするが、ルイスに咎められるのである。
そして、カスパーは居なくなり、ルイスは赤ちゃんを一人面倒を見るのである。
<今作は、じわじわと生理的に嫌悪感を催す作品である。私の解釈は、ルイスが何度も流産している事がキーかな、と思ったな。彼女の冷凍卵子自体が”異形なるもの”だったのではないかと思ったからである。
今作を女性が見ると、どう感じるのかなとも思った作品である。
若きアリ・アッバシ監督の、今作後に公開した「ボーダー」の匂いが微かにするが、特異な作品であり、彼の才能の片鱗が見て取れることには違いないであろう作品だと思います。>
内容は兎も角、産まれない方が良かった映像
内容は兎も角、夢を映像にしたような生まれないほうが良かった映像
代理出産が商業的に合法化されている国は大変に少ない。
こんなオカルト的な不気味さで表現するまでもなく、医療倫理上と女性差別に繋がる行為と言える。
全てがデフォルメの範疇としても男目線な女性差別と民族差別。生殖は男と女がいないと例え悪魔の子供であっても生まれない。それをこの演出家は理解していたと余り思えない。
子供を悪魔にするのは親や社会である。生まれながらに悪魔な子供なんて実存主義的にはあり得ない。
マタニティーブルー 静かな湖畔の森の影から言い知れぬ不安と恐怖がしのびよる。
アリ・アッパシの長編デビュー作。この監督の力量をこの頃からうかがわせる。映像美や物語に巧みに入り込ませる演出力、どれもとてもデビュー作とは思えぬレベルの高さ。
自然に囲まれた静かな湖畔に立つ家に家政婦としてやってきたエレナ。カスパーとルイスの夫婦が暮らすその家には電気水道もなく自給自足での暮らしをしており、妻のルイスは少々風変わりな女性だった。
大病を患ったせいかルイスは何かスピリチュアル的なものに傾倒しており、ヒーリングの施術を受けている。はじめは変わり者と思っていたそんなルイスとも打ち解けてゆくエレナ。しかし彼女は夜ごと、どこからともなく赤ん坊の泣き声や獣がうめくような声がするのを耳にする。
ルイスからの代理出産を承諾して妊娠したエレナの身にはさらに異変が起きる。前身のかゆみに襲われたり毛髪が抜けたり、次第に悪夢にもさいなまれてゆく。
身ごもった子供が自分を苦しめているのだと奇行を繰り返すようになり、ついには自ら危険な堕胎行為にまで及んで命を落としてしまう。しかしが赤ん坊は無事に生まれる。
シェリーと名付けられた女の赤ん坊。ルイスは満足していたが、今度はカスパーの身に異変が起き始める。エレナが耳にしていた獣の唸り声のような音がその赤ん坊から聞こえてくる。まるで得体のしれないなにかが赤ん坊に宿ってるかのようだ。ヒーリングのレオも赤ん坊に対面した途端に姿をくらましてしまう。
この赤ん坊シェリーには我々が到底理解しえないような超自然的で邪悪な何かが宿ってるのだろうか。
エレナもカスパーも奇行を繰り返し、いなくなってしまった。しかしルイスはシェリーを一人で育てるつもりだ。彼女にとって待ち焦がれた我が子をやっと授かれたのだから。
この作品自体が我々の理屈では到底理解できないような悪夢のような現象を見せつけて観客を宙ぶらりんにしたままエンディングを迎える。そうすることでこの世にはけして目に見えるものだけではない、我々が理解できない得体のしれない何かが存在するかもしれないという不安や恐怖を観客に植え付けることに成功している。
あえてこのようにすることで観客の想像力をかき立てるような余韻を残す作品は個人的にはかなり好み。逆にそれが災いしてか、いまいち世間の評判は高くないのも理解できるけど、作品のクオリティーはかなり高いと思う。
我々の目には見えない、得体のしれないものの恐怖、我々の理屈では決して理解できないものへの恐怖を見事に描いた。
結構ショッキングなシーンもあって、驚かされた。
想像力より創作力が必要です。
代理出産を頼まれた家政婦に不穏な事態が起こる話。
人里離れた森の中で、電気も水道もなく自給自足で暮らす金持ちカスパー&ルイス夫妻のもとに住み込み家政婦としてやって来たエレナが、子宮を摘出して妊娠できないルイスに頼まれ代理出産をすることになり巻き起こるストーリー。
妊娠して体調不良を起こしたり悪夢にうなされるエレナと介抱するルイスをみせていく件は不気味ではあるけれど、とにかくまったり長くて飽きてくる。
胎児が何か関係あるのだろうけれど…。
序盤からフリの為に存在しているとしか思えないそれにも中々辿り着かないし。
そして「どうなるんだ?」からの件も又々長いこと。
そして結局えっ?終わり???
何をみせられたのか良く判らない、消化不良というより何も消化しない、雰囲気だけ楽しめれば満足という人以外受け入れられない様な、ため息ラッシュの作品だった。
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