シラノのレビュー・感想・評価
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ポリコレ臭がキツイのは置いておいても、ヒロインの描き方破綻していませんか・・・
最高位の貴族から求婚されるほどの美貌のヒロインをめぐる2+1人の物語。
(主人公シラノ、同僚クリスチャン、伯爵 と ヒロインのロクサーヌ)
これまで数多くの男から言い寄られていたヒロインが初めて一目ぼれするのが黒人の男性。
中身関係なく外見だけで一目ぼれ。17世紀のフランスで。うーん、あり得ないんじゃないですか。
白人女性が白人男性に一目ぼれするのは、ポリティカルコレクトネスの観点でもはや許されないのかもしれませんが、現在ならともかく少なくとも17世紀フランスで黒人男性への一目ぼれはありえないのでは。
100年以上前に公開された演劇での主人公は鼻の大きなブサメンだったのが、今作では小人症の男性に置き換わっています。文才と剣術の才能に恵まれている設定は当初の作品と同じですが、小人症の人が剣を使いまわすことができるのかなと思ったりします。この変更の意図はなんだろう。
ヒロインの男性への嗜好が外見重視から内面重視に置き換わりますが、うーん、破綻していませんかねえ。彼女が一目ぼれしたのは、賢いイケメンではなく、単なるイケメン。中身なんかどうでも良かった。せめて賢いイケメンに一目ぼれするなら内面重視に切り替わるのもわかるのですが。
(まあ、そうなったら主人公が代筆する話が成り立たなくなるのでしょうが)
100年以上前の演劇をそのまま映画化しても面白味がないのかもしれませんが、ポリコレ臭がキツく感じられました。
ちなみに、シラノ・ド・ベルジュラックという人は実在の人物ですが100年前の演劇の段階でかなり脚色されているそうです。
実在する人物ベースなので注意。前提知識がないと理解がはまります(補足入れてます)。
今年55本目(合計328本目/今月(2022年2月度)27本目)。
「ガガーリン」が(まぁ、想定はできますが)天文知識を要求するなぁ…と思いつつこちら。今週は学術枠祭りなんでしょうか…。こちらは本当に文系のマニアックな知識がないとはまります。
まず、この映画「それ自体」は、ミュージカルであるほうの「シラノ・ド・ベルジュラック」をベースにします。しかし、このミュージカル作品の「シラノ・ド・ベルジュラック」もまた、史実として存在した同名のシラノ(読解が混乱しますので、人物としては「シラノ」扱いで統一します)をベースにして、作品として仕上げたものです。
最後にも表示されますが、元のミュージカルにもいくつかの版があるようで、ある版をベースにしたものを映画化しました、とは出ます。とはいえ、ミュージカル版といっても、章立てをどうするかなど細かい点で差異は出ても、あることないこと入れらませんので、あまりそこは関係ないかな…というところです。
このため、映画内で描かれるのは「シラノ・ド・ベルジュラック」であるため、最初に「木星や冥王星のような惑星のような輝きの美しさ…」という字幕が出るところ、冥王星の発見は1930年です。一方でシラノは(1619~55)と明らかに違います。ですので、ここでいう「冥王星」というのは、「太陽系(当時は、土星まで知られていた)でまだ見つかっていない天体」程度の意味合いなのだろうという点はわかります。
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※ もし時間軸がそうであるなら、アメリカやドイツ、イタリアなどの描写が一切でないのは明らかに不自然であることからの反対解釈。
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問題はここからで、シラノが1619年生まれ(17世紀のフランスの文学者、55年没)であることを知らないと、映画内では国名はおろか年号も何も出ず、手紙を代筆するだの告白がどうだのという部分はまだわかっても、「突然戦争にいってしまう」のが、何の戦争かわからない点、そもそも「シラノって言うけど、実在した人物なの?」「何をした人なのだろう?」という点です。ミュージカルの「シラノ・ド・ベルジュラック」を知っているか、人物としての「シラノ」を知っているかで断定・類推がききますが、ここはかなりマニアックです。
※ しかも、このことが、リアル今日(2022/2/26)も問題になっている「国際条約の順守」という問題と絡んでくるところが、何となく胸がちくっとします(後述)。
要は「前提となるミュージカル版を知っている」か人物としての「シラノ」を知っているかのどちらかの前提がないと本当にストーリーがわからない状況となってしまう点だろうと思います。その上で、人物として史実として存在した「シラノ」のことを知らないと、セリフの一部がわかりにくいところもあります。これらはまとめて後ろのほうに回します。
正直なところ、高校世界史ではギリギリいけるか…というくらいです。
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(減点0.5)
・ 結局、「ミュージカル版を知っている」か、偉人伝などで「シラノ」を知っているか、を知らないと、そもそも「どの国のいつの時代の話をしているのかさえ不明」な展開になってしまうので(冥王星の話なども混乱を招いてしまう)、そこが極端にきついです。ほとんど、去年(2021)の「最後の決闘裁判」のような様相となっていて、歴史ものという観点では極端に難易度が高いです。
最低限必要な知識、あると良いかなと思える知識は下のほうに載せました。
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▼ この映画で求められている前提知識
ミュージカル内で参照されている、人物としての「シラノ」とは?
→ 17世紀のフランスの文学者(1619~55)です。文学者でもあり哲学者でもありました。デカルトやモリエールとの文通も残っているという経歴もあります。一方で映画内では出ませんが、「月世界旅行記」(1656年(57年説あり)は、没した翌年(2年後説あり)に生涯の友人だった同じ文学者がまとめて出版)は、いわゆる「天文SF小説のはしり」とも言われるものです(実は、理系的な実績を残している人なのです)。
このため、作内でも描かれているように手紙を代筆することは、息を吸うのと同じ程度に当然にできていたのです。
そもそも、時代背景って何?
→ 本当に国も時代も出てこないのでわかりにくいですが、「三十年戦争」です(1618~48)。三十年戦争は「最大最後の宗教戦争」とも呼ばれます。最初こそ宗派(プロテスタント vs カトリック)で争っていたのですが、途中から土地争いの様相も出て、最後(4期と呼ばれる、スペイン・フランス戦争(1635~48(終戦まで))には本当に土地争いにしかならなくなりました。映画内で描かれているのはこの4期の中の1640年の「アラスの戦い」です(高校世界史で扱うことはありません)。相手はスペインで、宗教戦争で始まった戦争もただの土地取り争いに成り下がていたので、思想も何もなく相手を倒せ倒せになってしまったのがこの時代で、シラノはこの戦争に従事しています。
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※ 「アラスの戦い」で検索しても、もう1つの有名なほう(第二次世界大戦、1940年)のほうが多いので注意。
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そして、ヨーロッパの大半が参加したこの戦争の講和条約が「ウェストファリア(ウェストファーレン)条約」ですが、これこそが、「国際条約のさきがけとなる条約」であり、まだネットも何もなかった17世紀において「国際会議」という概念が(まぁ、ヨーロッパだけですが)できた、という、今日(こんにち)にいたるまで、重要な意味を持ったことがらです。
…ということを知っていて、はじめて「どうしてシラノは代筆ができたのだろう?」「戦争に行く行くって言っているけど、何のどこの戦争なのだろう?」という点が理解できるようになるわけですね。
知っておくとよいかなと思いましたので、参考までに。
美しい…、なんて、美しいんだ!
こんな、美しいラストシーンがあっただろうか…。
真っ白な衣装のロクサーヌと、ボロボロのシラノの愛が通じ合う。
決して愛されることのないシラノと、ロクサーヌの愛はすれ違う。
ロクサーヌの肉体の目が、彼女の心を惑わしていく。
ロクサーヌの心は、シラノに惹かれながら、肉体の目はクリスチャンを追いかける。
やがて、戦争がすべてを引き裂き、三年の月日が流れる。
シラノはクリスチャンの名で手紙を書き続けることで、ロクサーヌへの愛を貫いたのかもしれない。
人生の中に、こんな時間があるなんて、やっぱり映画は最高だ!
ロクサーヌ嫌いだわ〜
2022年劇場鑑賞52本目。
剣豪にして哲学者、詩をたしなむが大きい鼻がコンプレックスの実在の人物シラノ・ド・ベルジュラックを描く有名な戯曲の何度目かの映画化。
昨今鼻が大きい位じゃ弱いと思ったのか、鼻どころか全体的にちっちゃくなっちゃっています。
ロクサーヌ(他の作品だといとこでしたがこの作品にその設定あったっけ)に恋をしているのですが、当の本人はイケメンに一目惚れしたわとシラノ本人に言う始末。自分の想いより彼女の幸せと仲を取り持とうとするシラノがいじらしい・・・。と言いたいところですが、冒頭の自分をよく見せたい為に起こす騒動や、ロクサーヌが高慢で鈍感で性格もあまりいいとはいえず、正直そこまで絶世の美女という感じでもないので全然感情移入できませんでした。
ミュージカル苦手な方にもお薦めです
私はミュージカル作品が苦手で『イン・ザ・ハイツ』も『ウェスト・サイド・ストーリー』も今ひとつでした。
これは観れる・・・てか、サントラCD買おうか、ネットでハイレゾ買おうか悩み中なくらい。ミュージカル苦手な人でも、すんなり観れるかと。しかも短い・・・と思ってたら2時間04分もあった。
大ヒットは無理かもしんないけど、プチヒットくらいしてほしいな。
観れたらまた観に来ます。Blu-rayはぜったい買うだろなあ。
複雑で分からん
36本目。
いつもより、ちょっと肉体労働でお疲れモードで、眠い。
我慢、我慢。
ミュージカルを映画か?
好きだから気にならないし、歌を今っぽくアレンジしたのか、聴きやすい。
古典の割にノッていける感じがいい。
でもあるシーンで、あれ観た事あるぞ、このシーン。
いや偶々かと、なんか気になってしまう。
後で調べたら、納得だったけど。
でもあの終わり方って、クリスチャンが浮かばれないと思うと同時に、女心って分からん。
いや分かろうとしてないのか?
オフ・ブロ-ドウェイ・ミユ-ジカルの映画化
ジョ-・ライトの新作ということで期待して観ました。同じ文芸物の「アンナ・カレ-リナ」ではカリカチュアのやり過ぎで失敗してましたが、今作はオ-ソドックスな作風でとても良い出来でした。
音楽も良くて、美術も素晴らしかったです。
ピーター・ディンクレイジは(いつも通り)魅力的!
シラノ・ド・ベルジュラックという物語が持っている力や時を超える魅力を信じているけど、本作はミュージカルだからか時が経ったからか、場面のつながりやキャラクターの言動に時折"急"な印象や違和感を感じてしまった。戦火の悲恋『つぐない』も撮っている英国人ジョー・ライト監督の甘く美しく切ない綺麗な映像世界は、個人的好みは置いといて、本作を --- それもミュージカルという形で --- 語り直すのに合っているように思えた。楽曲もよかった!
こんなにロマンチックな人がどれほどいるのか不思議な今となっては、このリアル"美女と野獣"的物語を現代に当てはめるなら過度のルッキズムへの警鐘や、代筆ゴーストライター、なりすまし、詐欺写真に留まらずLINEなど文面では大きく出るのにいざ対面すると萎縮しちゃう人だろうか?ケルヴィン・ハリス・ジュニアのキャスティングも。
にしても今までの映像化を見ても何も感じていなかったと思うけど、今回はロクサーヌが流石にシラノになんでもかんでも頼みすぎだろと思ってしまった。同郷のよしみか義兄妹的関係か知らないけどさ、もはや開口一番「ドラえも〜ん!」って泣きついてくるのび太かそれ以上にタチの悪い強制約束であまりに多くを求める。天真爛漫策士ヘイリー・ベネット!我らがベン・メンデルソーンは安定の悪役っぷりが板につきすぎ。
久々に観たぞ‼️本物のミュージカル‼️
いやー、予告編で、小人が主人公の時点で、イロモノかと誤解してた、ごめんなさい。
みんな歌上手い、歌も素晴らしい、演奏も良い、クオリティが高い。
これだけでミュージカルとして、大成功。
堪能しました、上質なミュージカルは時間を忘れる、夢心地です。
映像も素晴らしい、衣装とか、美術とかで、アカデミー賞取るんでしょうね。
ミュージカルファンなら、必ず観るべし!
最初の狼藉場面がいらない。最後の描写も詳しくして
人は見かけでは無い。
だから私は
陰徳というか忍ぶ恋を観たかった。
中盤からは安定。
ただ劇的なクライマックスには今ひとつ
人の死はもっと物悲しく盛り上がるべき
二人の恋のライバル
双方ロクサーヌを想うが故の複雑な胸中
複雑な行動。もうチコっと詳しく描いて欲しかった。
この作品は手塚治虫のブラックジャックのエピソードしか知らない。
男女二人のハーモニーが良い。バルコニーでのやり取りも、ロクサーヌを想うシラノの自己犠牲も良い。
ただ、最初の劇場での狼藉、スタンドプレーは要らない。大根役者でもなんでも、相手の立場、思い遣れよ
人は勿論見かけでは無い。ただ相手の立場に思いが至らないのなら・・最初の印象というか心象は大事。
オリジナルなのかオーソドックスなのか
ちょっと最初からスタンドプレーすぎる。
中世フランスの描写は秀逸。ミュージカルとしても良い。テンポ良い。でも今一つ足りない。
やっぱり、忍び具合、例えライバルでも通わす「情成分」情の詳しい描写がもう欲しかった。
ちなみに「ウエストサイドストーリー」よりは良かった。原作の力か、伝統か?良作。
献身ってなにかが分かるかも..!? 知らんけど・・
ミュジカルというより古代騎士道の醍醐味を知る映画としてみればいいかも
献身とは一身を捧げること。自己犠牲の物語。
確かに自分に自信が持てない男の生涯として観てみれば、はかなくて寂しくつらい話。途中恋敵まで助け、彼が気づくまで恋心が燃え上がるってなんなんだ!?
今は自己犠牲なんてつまらないって、思う人が多そうやけどホンマもんの恋は本当はこんなふうに突っ走っていき、人の迷惑 顧みずってのが本質でしょうね
ああなかなかこんなふうに愛情を現す男気の人っていなくなりましたね~。(もちろん私も含めてですよ、ウン 笑)
美女と野獣の愛
意外にも良かった!シラノ役の顔が苦手で感情移入はできなかったが、、、切ないラブストーリーだった。
ミュージカルも自然で苦手な自分でも聴きやすかった。
王道ラブストーリーで万人に観やすい内容かと思う。
内容いいのに人気がないのか、TOHO新宿なのにガラガラだった。。。
穴場すよー‼️
「泣かないで」
前線に配置された部隊。3人の兵士がそれぞれの思いを手紙に託す場面。一人は妻に、一人は恋人に、一人は父に。3人ともが最後に伝えることばは「僕が死んでも泣かないで」。ロシアがウクライナに侵攻した翌日にこんな場面を見るとは。
鼻でないシラノ、優雅で残酷、いままでどれだけの誹謗中傷を受けて胸を痛めてきたか。フリーク、フリーク!ーそれしか言葉を知らないのか!と挑発するシラノ。強さと教養が宿る眼にはいつも悲しさがある。不完全さは完全でもあるとクリスチャンを鼓舞する。言葉に陶酔したいロクサーヌ。最初はこのバカ女!と思ったけれど、多分、本当はある時からわかっていたんだと思う。それが彼女の愛し方だったのかも知れない。歌もダンスも自然でミュージカルという感じもしなかった。それ程音楽が馴染んでた。シチリアのノートという街だろうか?正面に長い階段の教会、蜂蜜色の街、シチリア・バロックの愛すべき街。そして美しい衣装にセット。現代の街とは思えないほど美しい。リアルでもあり舞台のよう。夢は嘘で真実。
I love you.ばかり繰り返す素朴過ぎるクリスチャンに「反復の純粋な驚き」とのたまうロクサーヌ。笑える箇所も沢山あって幸せだった。でももう一度ロクサーヌのことば「戦争が憎い」。ディンクレイジ&ベネット、適役で素晴らしかった。
おまけ
シラノが劇中劇の映画、昔見たなー、どうにか調べたらあった!邦題「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」、原題はシラノ原作者名の"Edmond"。2020年11月に見てる。フランス・ベルギー2018年製作、フランス語。劇中劇の最後の場面がとても美しかったことを覚えている。でももうコロナだったから自分のレビューもコロナ恨めしい!が炸裂していた。すごく面白くて笑えて活気があって美しい映画でした。また見たい。ジャン=ポール・ベルモンドが演じたシラノも見たかった💧
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