シラノのレビュー・感想・評価
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そんなに伝言覚えれません
予告を見て少し興味が湧いたので鑑賞。「ウエストサイド・ストーリー」で少しは緩和されたものの、まだミュージカル映画は苦手。あまり期待はしていなかったけど、ミュージカル苦手でもすんなりと入ってきて良かった。
なんか引き込まれないなぁと思う冒頭。
それはしっくりこないなぁと思うラスト。
そんな間に挟まれた中身は、ちょっと難しい話だけど見やすくて面白かった。切なすぎるなぁ...。すれ違ってしまう様がよく描けていた。
何よりいいのが主人公シラノを演じたピーター・ディングレイジとロクサーンを演じたヘイリー・ベネットの演技力と歌声。なんと言葉にしたらいいか分からないが、とにかく美しかった。3人がそれぞれの思いを抱えながら歌うシーンはめちゃくちゃ良かったな。
美術も凄いし、ラスト前のシーンは緊張感があるし、さりげなく歌う姿がミュージカル苦手にとってはとてもよかったりと、品のある映画だけどそれだけでは収まらない良さがたくさんあった。どういうことなの?と意味がわからないシーンもあったけれど、基本的には丁寧な作り。舞台を見事に映画に落とし込んでいた。
でも正直、個人的には「ウエストサイド・ストーリー」の方がハマったし(比較するのは良くないけど)、完璧に話を理解して乗れたかと言われるとうーん...って感じ。とてもいい映画であることはもちろん分かっているんだけど、少し性にあわないなと思う場面もあってめちゃくちゃ面白かった!とは言えないかな。
それでも染みたり泣きそうになるシーンが多くあって、叶わぬ恋の苦しさが強く感じられる映画でした。ピーターディングレイジ、いい役者。
間違いがない正統派
絵的に完璧に美しい。
間違いがない正統派のミュージカル映画に仕上がっていた。
途中何度も心踊った。
なのに始まって3日目なのに客席7人よ。
なんでだよ。みんな隣のシアターのナイル殺人事件になだれ込んで行ったよ。
騙されたと思って観て欲しい。
バルコニーの3人のシーン、雪の戦場のシーン、どちらも素晴らしい!
当時は手紙力。
今ならメール力LINE力。
人の心を動かすものはなんなのか。無粋な男に出る幕はない!
いい声だねぇ((イケヴォ
最初からシラノの豪快っぷりを堪能できてめちゃくちゃ面白かった。
誹謗中傷は言葉の鋭い刃だがシラノは誹謗中傷して来たやつに本物の鋭い刃をぶっさした。
『なんとも皮肉な場面だ』と思ったのも束の間、シラノの剣さばきには驚かされた。
いくら小柄だろうと「フリーク!」と言われようとも関係ない彼には強靭な精神が宿っているのだ。
どう言われようとも屈しないシラノの姿は本当にかっこよかった。
シラノ役のピーター・ディンクレイジの声個人的には良かったけどなぁ。
めちゃイケ ハンサムでした。
この映画はミュージカル映画でも稀に見ない比喩表現がたくさん練りこまれていて、見ててクスッと笑ってしまう場面もあり、おお!と驚かされる所もあった。
品があり、ひとつひとつの曲が美しかった。
家庭の事情とか色々あるだろうけど、語彙力、表現力は高めたほうがより世界は広がり、美しいものとなる。そう感じた。
胸からこみ上げる何かはあったけど、泣きはしなかったです。
恋人には嘘を吐かずに正面から向き合おう。そして大切にしようと心から思った。
最後にシラノが愛したものは。
名作であるにも関わらずこれまで「シラノ」に触れたことがありませんでした。
ミュージカル映画が好きなこともあり、良い機会だと思って鑑賞。
一応、元になった人物と原作のあらすじだけは調べてから映画館に行きました。
①ストーリー
ストーリー自体は元が古典作品ということもあり、普遍的な内容で意外性は少ない。
よく言えばわかりやすく、悪く言えばありきたり。
ですが全体的に文学的なセリフが多いのは楽しかったです。
また、シラノの死の間際のセリフが気に入りました。
ロクサーヌに対して『I love you』と言うのかと思ったら、まさかの『I love my pride』。
日本語字幕では『誇り』と訳されてた気がする。(ちょっとうろ覚えです)
最後の最後で、シラノは自分自身を認めてあげることができたでしょうか。
人を真に愛するためには、まずは自分自身を愛することが必要なのではないかと思わされた。
②映像
映像はすばらしく美しかった。衣装も凝っていましたね。
全体的にうすぼんやりとしたり重苦しかったりする映像が多い中、最後の修道院のシーンの美しさが際立ちました。
真っ白な修道院に太陽が優しく差し込み、キラキラと光の粒が舞っている場面は作中屈指のシーンです。
③ミュージカル
楽曲自体は大きく印象に残るものはなかったものの、すべて完成度は高い。
キャストのみなさんの歌声も素晴らしかったです。
特に主演のディンクレイジさんの低音は心に染みますね。
ただ、今作のミュージカルシーンはイントロ等を挟まずに唐突に始まることが多いです。
(監督のコメントによると、あえてこの演出を取っているようですね)
普段ミュージカル映画をよく観る身としては、この演出に少し戸惑いました。
「これからミュージカルパートがはじまる!」というわくわくも、ミュージカル映画の好きな要素でもあるので。
あと本当に些細なポイントですが、ミュージカルシーンの布擦れの音が美しくて好きでした。
バサッ!!と音が揃うのは気持ちいい。
<最後に一言>
ストーリー・ミュージカル・演出、各要素に少しずつ物足りなさを感じてしまいました。
予告が面白そうだったので、ハードルをあげすぎてしまった感じはあります。
個人的にはそこまで刺さりませんでしたが、それでもいい作品には違いないと思います。
見えないように
SNSを通して匿名で誰かを応援していた自分を重ね、シラノが気持ちを言葉にするたび、ひたすらに泣き続けてしまいました。
エゴとプライドと自己卑下の先に、それでも自分の言葉が届いていたと信じたい気持ちは、この映画のように誰かに美しいと思ってもらえたのでしょうか。
ヘイリー・ベネットが歌も素敵だった
17世紀のフランスで、剣の腕と詩の才能を持つ騎士シラノは、背が低く外見に自信が無いため、昔から好きなロクサーヌに気持ちを伝えられなかった。シラノの思いを知らないロクサーヌは、シラノと同じ部隊のクリスチャンに一目惚れし、2人の恋の仲立ちをシラノに頼んだ。クリスチャンは文才が無いため、愛するロクサーヌの願いをかなえようと、シラノはクリスチャンの代わりにラブレターを代筆した。ロクサーヌは求婚されていた公爵の求めを断りクリスチャンと結婚したため、公爵の部下の2人は戦争の最前線に送り込まれ、クリスチャンは戦死してしまった。これからどうなる、という話。
ロミオとジュリエットに似てると聞いてたが、たしかに似てるし、先日観たウエストサイドストーリーにも似てるかな。
恋愛のミュージカルってどれも似たようなストーリーになるのかも。
シラノは容姿が悪いという設定で発育不全で低身長のピーター・ディンクレイジをあてたのは最初どうかと思ってたが、話が進むにつれて良いキャスティングだと思った。
ロクサーヌ役のヘイリー・ベネットはswallowの主役だった女優とは観賞後まで気付かなかったが、あの時の気持ち悪い妻役とは違って、可愛くて歌も良かった。
愛を貫く事で満たされるモノ。犠牲になるモノ。
結果的にですよ。シラノは自己の誇りへの愛を貫き通し、ロクサーヌは人の本質への愛を貫いた。2人が結ばれる事は無かった訳ですが、これは悲劇なの?社会通念上の幸福は得られなくとも、精神の孤高の中に過ごす日々には、切ない満足感はあったと思う訳で。その切なさは、悲惨でもないし悲劇でもないんじゃないかと。ココロが満たされ過ぎない幸せって言うヤツ?
人の本質への愛を貫いたロクサーヌは、妥協と犠牲の結婚から自分の人生を守り。シラノは愛を犠牲にして自己の誇りを満たし続けた。と言う現代的合理性追求型価値からは程遠い物語りが、未だに舞台化され映画化される世の中は、捨てたもんじゃないかも。
本編の方はと言うと、まずはヘイリー・ベネットですよ。Swallowに続いてジョー・ライト監督とのコンビですが、歌がうま過ぎて「こりゃ吹き替えやな」と信じてたら本人歌唱だった。細目で透明感のある声が上に伸びること伸びる事。これはビックリもんですw
ミュージカルとしてのクォリティよりも、純粋に映画としてのクォリティの高さに拍手です。幕開け直後の劇場シーンの衣装・内装・調度品の手抜き無し感。金掛けてます!時間掛けてます!力入ってます!って言う作り手の本気度も好感が持てます。
言葉の持つ力をテーマにしてるだけあって、脚本・台詞にも神経使って仕上げた感じがマンマンですもん。要所を締める「決めゼリフ」がいちいち文学的でハッとします。
音楽はスノッブでキラーソングらしいキラーソングが無いってのが痛いけど、劇映画としての品質感だけで十分に満足できました。
良かった。結構。
ーーーーー
3/2 2回目
やっぱり音楽が今一つで、これが痛いですw
いや、なんか、ありきたりなんです。Scoreそのものが物足りないと言うよりも、演奏・録音なんだと思うんですけど。厚みを出すなら、もっと出して欲しいし。クリーンにするなら、もっとシンプルにして欲しい気がするし。中途半端だと感じてしまいました。
と。ですね。
キラーソングが無い。また、主役以外に、歌だけで観客を魅了する歌姫も歌の王子様もいない。これは、Musicalとしては致命傷にしか思えないんです。
一方では。純粋に映画としての造りこみは緻密でため息が漏れます。
お互いが姿を見ることなく愛を語り合う場面。
シラノが息を引き取る場面。
2回目の方が感情移入してしまい、2か所でポロリーン。
良かった。とっても。
我が思い出の映画のミュージカル作品
大昔、今から35年以上前にジェラール・ドパルデュー主演で同じ作品を映画化している。
この映画こそ我が映画史に残る第一位の作品と言ってもよい作品だった。
その「シラノ・ド・ベルジュラック」をミュージカル仕立てにしたのがこの作品。
ただ幾らか違うところもあって元々原作のシラノは鼻が巨大で
それが容姿のコンプレックスになっていると言う設定だった。
今作のシラノは鼻が巨大ではなく所謂小人症で
それが容姿のコンプレックスになっていると言う事。
あと昔の作品は基本的には原作の戯曲に忠実で
英語ではなくてフランス語で作られていた違いがある。
意外とこの違いは大きくマトリックス リローデッドのメロビンジアンの台詞を思い出す。
「フランス語はお気に入りだ。特に、相手をののしる言葉がね。まるでシルクで尻を拭くかのようだ」
まさにこの通り。
即物的な表現の多い英語では原作のもつ流麗さを表現しきれてない感じがする。
その点がマイナスだけど基本的にはストーリーはほぼ同じ。
物語自体がよく出来ているから
基本的には昔通り泣けた。
ただ戯曲にはある台詞がバッサリ無くなっていたりするのが少々残念かな?
シラノは毒舌家で有名だから敵も多かった。
だから修道院に向かう道すがら建物の上から木材を落とされ
それが頭に当たり致命傷になっているのだが
それが描かれてない。
だから死ぬ間際が唐突な感じがする。
あと本当はロクサーヌが「私が愛していたのはシラノだったのね?」と来られた時
本当は「違うんだロクサーヌ。」と最後の最後までシラノは打ち明けなかった。
何故ならそれはクリスチャンに義理を果たすためなのだが
今回その下りは最後の最後に「私が愛したのは誇りだ。」と一言で済ましている。
いやー違うよ!ここが最大の泣きどころなんだからさー。
もっとちゃんとやってくれよ!と思う。
昔の映画では最後の最後までロクサーヌに愛してるとは言わず
もちろんキスシーンも無し
「天に熨斗つけて傷ひとつない私のハートを返す。」と言う言葉でシラノは絶命する。
そこが良くてもう涙ドバドバ出て
それか流麗なフランス語と相まって堪らないのだけど
その点はちょっと今回残念かなあと思う。
いや泣けたは泣けたから悪くはないと思うけど
もうちょっと細部に凝って欲しかったなあと思う。
まあそう言うのは今の時代ではないんでしょう。
できれば昔のジェラール・ドパルデュー主演の「シラノ・ド・ベルジュラック」を見て欲しい。
ああそうそう。
ロクサーヌの配役だけど昔の映画は
アンヌ・ブロシェという女優さんで本当に息を呑むほどの美しさだった。
今回のロクサーヌはヘイリー・ベネットと言う人で
綺麗と言うより天真爛漫な可愛さのある人だった。
なんか昔の加護愛に似てるなと思った。
どちらがお好みかはいろいろあると思うけど
今回の方がより現代的かなとは思う。
まあでも昔ほどではないけど泣けました。
シラノは原作がよく出来てるんで
なんだかんだで名作だと思います。
昔の映画が5点満点だから一点引いて4点と言う評価ですね^_^
フレンチロックミュージカル!
Cyrano de Bergeracという戯曲の存在は知っていたものの鼻の大きな醜い男の愛する気持ちを押し殺した悲恋物、という程度しか知らず過去に舞台観劇にどハマりした時期でも観劇のチャンスはなかった。
その上での初見。
とにかく曲が良かった!!フレンチミュージカルに多いロック調の曲が含まれたナンバーは重苦しい時代のウェイトレス化を見事に担っていて、重さと軽やかさのバランスがとてもよく取られてると感じる。
ストーリーについては、欲しがり屋さんな自己チュー女子が見た目だけの能無し語彙なし男子とくっつきたいがために、身長こそ低いがそれ以外は頭脳明晰で剣術にも長けているユーモアとウィットも金揃えたパーフェクト💯男子に何とかするように(非常に上から目線で)命令する話。
ヴィランとして描かれてるド・ギッシュ伯爵についてもよくよく考えると手に入れたい超絶若い女子に振り向いてもらえるように貢ぎ物をしたり、求婚したり、戦地に送るどころか送らない措置を取るなんつー言ってみれば悪いところは正装時の化け物メイクくらいしか見当たらない頑張ってるおぢさんでしかないのに、狙った相手が悪く自分の欲求を叶えるためには手段を選ばないワガママ女だったせいで途中から“ぷっつん(←死語)”してしまったというだけ。誰かロクサーヌをちゃんと躾けてあげてよ……
主役を演じるピーター・ディンクレイジは超絶イケボ💕あの声であの愛の言葉を囁かれたら落ちちゃうでしょ〜オンナは。
でもたまにウィリアム・H・メイシーに見えてしまい、ドラマシリーズ『シェイムレス』のろくでなし親父フランクに思えてしまう場面も😅
シラノ氏について調べてみたら17世紀に実在した人物だとか。という事はこれは史実の戯曲!?
ピーター・ディンクレイジの憂い顔に惹かれる
往年の名作とあって、心に刻まれる良作でした。
シラノを演じるピーター・ディンクレイジの全身が映るのは引きが多かったけれど、
表情のアップでヒロイン、ロクサーヌへの複雑で秘める想いが伝わって、魅力的な役者さんでした。
ロクサーヌ役のヘイリー・ベネットは清廉で透明な輝きがあるものの、最初の登場の際、器量良しには見えなかった、、
ラストでシラノがロクサーヌに告げる最期の言葉が印象的で、
今迄のシラノの取った行動のシーンを回想せずにいられなかった。
オールドファッションの純愛映画リバイバルと見える
ミュージカル仕立てなのか空間が狭く、場面展開も少なく、重苦しい映画だった。
それにしても実に古臭い純愛もののストーリーでよくぞそのまま映画化出来たものだ。
老いた私には懐かしく古い映画を見るようでそれなりには良かった。
でもおすすめ度は★★★です。
シラノの恋敵となるクリスチャンがもう少し男前であれば映画に華やかさと緊張感が出てきたものと思える。
完全にミスキャストではないか?
「シラノ・ド・ベルジュラック」の見事なミュージカル化の見事な映画化。
①言わずと知れた永遠の三角関係の悲劇。しかし、21世紀にシラノを小人症の俳優が演じ、クリスチャンをアフリカ系アメリカ人の俳優が演じても少しも不自然に感じないところに、人間というものを適確に描いている古典が持つ普遍性と強さとを感じましたね。②目玉曲はないものの歌はどれも美しい。17世紀のフランスの風俗を取り入れた群舞シーンも巧く、一番のお気に入りのミュージカルシーンはパン屋を舞台にしたシーン。死線に向かう兵士たちのシーンに現在唯今起こっているロシアのウクライナへの侵攻が二重写しになって胸が突かれた。③ピーター・ディンクレイジは場面と相手のリアクションによって次々に変わる表情が素晴らしく観ていて飽きない。時には凄くハンサムに見える時もある。キワモノ的な役が多かった人だが一俳優としても力のある人だということがよくわかった。④ヘイリー・ベネットという女優さんは初見で、最初ロクサーヌ役にはもっと美人が良いのではと思ったが、頭の方のシーンでの恋に恋する乙女像と、ラスト修道院で暮らすようになった少し大人になった女性像とをちゃんと演じ分けていましたね。⑤
言葉で解かれてゆく愛
堅いことは抜きにして。
ロクサーヌよ、幼馴染というステータスはそこまでお主を鈍感にさせるか。
ただ一目惚れというのは相手がイケメンかどうかに関係ないと思っている。
シラノ:ロクサーヌを愛しているが、自身の容姿を気にして打ち明けられない
ロクサーヌ:シラノの幼馴染で、伯爵に求婚されている中クリスチャンに一目惚れする
クリスチャン:ロクサーヌに一目惚れした新米兵士
愛しているという結果を突きつけるだけでは伝わらず、逆に過程を伝えるだけでは気づいてもらえず。
解いた上で気づかせたことでシラノ、そしてクリスチャンも報われたのかなと思う。
クリスチャンだって愛する気持ちに偽りは無かったはずなのに、
「言葉」に出逢ったがゆえ遠回りをしてしまったのではないだろうか。
そしてシラノも、打ち明ける勇気が最終地点だと後押しされた。
登場人物すべてがそこにいなければ、愛はそれぞれの心の中に、幻想として埋もれていたままだろう。
各人のわがままさが露呈するが、それが恋の行方を追う糸となる。
今一度言葉の美しさを感じたければ是非。
フランスの劇作品を映画化した本作。 本作の主人公シラノを演じたピー...
フランスの劇作品を映画化した本作。
本作の主人公シラノを演じたピーターディンクレイジが剣術に長け、勇敢な性格だが繊細さを持ち合わせたシラノを演じきっていて、劇中で圧倒的な存在感を放ち、物語を牽引していた。
シラノ、ロクサーヌ、クリスチャンの3人が心の内を伝え切ることができず、そこでもやもやとした感情を抱いてしまい、フランス古典への勉強不足ゆえにストレートに本当の事を言えばいいのにという考えを抱いてしまった。物語を通して少し内容が湿っぽいと感じた。とても期待していたので拍子抜けしてしまい、大満足とはならなかった。
音楽や作品の描写はとても美しく、その当時の情景を鮮明にイメージすることができた。
ヘイリー・ベネット推し
1897年の初演以降、世界中で映画化やミュージカル化されている不朽の名作「シラノ・ド・ベルジュラック」を、「つぐない」「プライドと偏見」「ハンナ」「スワロウ」のジョー・ライト監督が再構築して描くロマンティックミュージカル。シラノ役を「パーフェクト・ケア」などのピーター・ディンクレイジ、ロクサーヌ役を「スワロウ」「イコライザー」などのヘイリー・ベネット、クリスチャン役を「WAVES ウェイブス」「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」などのケルビン・ハリソン・Jr.が演じた。17世紀のフランスが舞台のプラトニックラブ&恋文代筆友情物語。ヘイリー・べネットの透き通るような美しさとピーター・ディンクレイジの男の色気のある表情演技が素晴らしかった。前から5列目ぐらいの真ん中で観ることをおすすめします。シラノ・ド・ベルジュラックは鼻が大きいことで強いコンプレックスを持っていて、戦争での負傷と飢えではなく実際は梅毒で死んだとのこと(Wiki)。鼻の大きい男はあちらも大きいといいますね。梅毒はコロンブスが15世紀末に中南米の先住民の風土病を持ち帰ったやつ。イタリア戦争で瞬く間にヨーロッパ中に広まった。シラノはたぶん足しげく遊郭通いしてたんでしょうね。そこんところは大目に見てあげましょうや。
とうとう彼が主役を張る日が…
ピーター・ディンクレイジを初めて観たのはいつの何だったか?子供の体型に、童顔の反対は老け顔?悪人顔?のアンバランスさ(恐らくセクシーさ)が何とも言えない魅力を発している人。
シラノ・ド・ベルジュラックの話は有名だし、それ以外にも美女と野獣的な似た話は多いが、だからと言って観る価値が低いわけではない。ただし、セリフの間に歌が入り、踊りでなく歌メインのコテコテミュージカルの映画化。歌詞を字幕で理解しなければならないところがイマイチ入り込みにくい点かもしれないなー。
恋愛としては単純化すると三角関係な訳だが、厳密にはロクサーヌに求婚している権力者を入れると四角関係とも言え、時代背景もあって戦場の前線に行かされる。明日出征で明日死ぬかもしれない、という時、シラノは準備しておいた手紙をクリスチャンに渡す。いつもは中身を見ずにロクサーヌに渡していたクリスチャンだが、読みたいとシラノに頼み、読ませてもらうとインクが涙で滲んでいるのに気づき、そこで初めてシラノもロクサーヌを愛しているのだと気づく。自分とは全く違う外見の彼が、まさか自分と同じ思いを持っていたとは想像すらしなかった、というのが、悪気がないだけに何とも言えない。更に、出征を控える3人の兵士が、愛する人を思いながら別れを歌う。ウクライナに同じ思いを現実に持っている人が今いるのではと思うと、堪らなかった。
また、ぱっと見が素敵な男性クリスチャンの対称が中身が素敵なシラノである訳だが、要は豊かな表現で想いを伝えられる知性ということ。言葉というものの重みや重要性も描かれている。
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