「単純に描いた複雑な構図」アキラとあきら ぱおうさんの映画レビュー(感想・評価)
単純に描いた複雑な構図
一見ベタのようで、実は複雑な背景が織りなす味わい。演技も総じて素晴らしく、率直に言って感動しました。
主人公とライバルは、どちらも東大出で将来を嘱望される若手エリート銀行員ですが、出自が対照的。
主人公は潰れた町工場の貧しい一人息子、ライバルは大企業グループの御曹司。
ここまでは表面的な話。
主人公の父親は、親戚の会社で人生を建て直し、その間に主人公が、当初憎んでいた銀行員に憧れるようになるきっかけが。人を救済出来る銀行員になりたいという熱い志を抱いて東大へ。
一方のライバルは、親戚の確執に嫌気がさして、家業を継がずに逃げるように銀行へ。父親を嘆かせ、弟には憎まれます。
主人公は、取引先の人々を救うために支店の現場で奔走し、ライバルは本社でエリート街道を歩みます。
そして、ストーリーは波乱を経て、人と人の出会いは偶然ではなく、乗り越えられない宿命なんかないというメッセージを込めた、感動的なハッピーエンドを迎えます。
濃厚なのに、一気に128分を観通せるのは、三木監督の力量かと思いました。
ぱおうさん
みかずきです
お久し振りです
お元気ですか
本作、正しく、池井戸潤原作作品に外れ無しでした。
青春恋愛映画が得意ジャンルだと思っていた三木監督、この手の硬派作品も巧く熟しますね。三木監督の影響でしょうか、本作は、従来作品に比べ、人間ドラマ色が強かったです。仰る様に、銀行の融資の話がメインなので、結構複雑なはずですが、三木監督の手腕で分かり易くまとまっていました。
営業本部役の江口洋介、銀行の権化のような冷徹さがgoodでした。
新入社員が入社した時の直面する会社の正義を体現していました。
新入社員だった頃の自分を思い出しました。
私は、二人のあきらの中では、竹内涼真の、高い理想を持って、それに愚直に立向っていく姿がgoodでした。
ラストはスッキリエンドで爽快でした。
捻りの効いた作品も良いですが、本作みたいに、どこまでも真っ直ぐな作品も心地良いです。
では、また共感作で。
-以上-