「事務的」アキラとあきら U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
事務的
面白かった。
面白かったんだけど…。
胸が熱くもなった。
熱くもなったんだけど…。
なんなんだろ、コレじゃない感が拭いきれない。
原作未読にも関わらず、原作もこんな感じなのだろうかと疑問を抱く。なんかボタンをかけ間違えてるような気がするし、何か芯を食ってないような…そんな不遜な感想を抱く。
観ていて思うのは圧倒的にスピード感が足りない。
小説で言うならば、次のページをめくらせる衝動だろうか?そんなものが足りなかったように思う。
何かが抜け落ちてた。そんな印象…。
衝撃的なエピソードが巻き起こるも何故だかそこまでの波を感じない。
銀行の目線からしてみれば、とある一例に過ぎず、事務的に対応する事で結末を迎える。
なんか…そんな感覚が充満してるというか、なぜ傍観者である俺がハラハラドキドキしないのか不思議だった。苦悩が足りなかったんだろうか?
いや、ちゃんと描いていたようにも思う。
その度合なのかもしれない。
兄にも弟にも破滅の一歩手前って危機感が足りなかったようにも思う。対比が弱かったのかなぁ。
が
一つ心当たりがあるとするなら芝居の質だ。
冒頭で進行を務める人物と、児島氏の芝居には萎えた。両者とも芝居がかっていて、作為がとても鼻についた。だからなのだろうか?冒頭で失速し、要所要所でブレーキを踏まれたような気分にはなった。
いや、まぁ、それだけでは決してないのだろう。
救済策が案外、普通だったのもあるのかもしれない。
兎にも角にも、お金ってな万能だ。
西尾維新氏が化物語って作品で、そんな事言ってた。何にでも替えが効くと。
そのくせホントに大切な物は替えられないとかなんとか。漫画の方で読んだので定かではないのだが。
見応えある話だったと思うのだけど、何だったんだろうか…俺の中では今一つ盛り上がらない。
池井戸原作で初めてハズレをひいたような気分だ。
初めてといえば、初めて江口氏をいいなと思った。本作の江口氏はとても好印象だった。
従業員とその家族の生活のことを考慮しなければ、同族企業の自業自得と尻拭いの話です。銀行のほうも、リゾート関連にロクな審査もしないで巨額融資をした三友銀行が不良債権を抱えて、はい、ご愁傷様❗️という話ですから、みんながみんな感動するような話ではありません。
池井戸潤さんの巧みなところは、そこに町工場家族の苦労や悲哀を絡めて、普通は天秤に計られることのない企業論理と人間的な心情を違和感なく融合してしまうところです。産業中央銀行は、良識(不動)と義侠心(山﨑瑛)の葛藤に