ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
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視聴率争いが軸なのはおかしい
ハケンアニメという言葉があるんだね。
ある一定期間において一番ディスクが売れたアニメのことを指すらしい。
しかし物語において視聴率争いを2社?二者?で競い合うという設定に違和感を感じる。
確かに追い越せ追い抜けという思いはあるとは思うけど。
本来競い合うものでないものを争わせるという感覚がイマイチズレている気がする。
例えばこれがテレビ局や制作会社の経営者であれば分からなくもない。
それでも視聴率が1%2%で一喜一憂するものでも無いはずだ。
そこが根本的に物語のリアリティを感じさせないのだと思う。
また、2社で描かれているアニメ作品『サウンドバック』と『リデルライト』の内容が全く
分からず、何となく盛り上がりそうなシーンを流してあたかも感動させる感じがどうにも
受け入れがたかった。ある程度ストーリーを組み立てて見せないと、
最終回で無理やり盛り上げさせようとしても視聴者は何のことかわからず
置いてきぼりにさせられた感じが否めない。
また作中無意味に感動させようとするセリフが多用されているが
日常においてそのようなシーンは滅多にあるわけでもないのでしらける。
ただアニメ会社の監督がどのような立ち位置かがわかり見ていてちょっと苦しくなったな。
商品企画をやっていた自分としては自分のアイデアを商品にするまでには色々な
人に説得を試みたり、修正をお願いしたりと、ある意味商品作りの監督という立場でありながら
周りの人に気を遣ってお願いしなければならなかったからだ。
主人公の斎藤監督はまさに新人で他の各部署の人々が先輩であり、修正や複雑なお願いは
頭を下げてお願いする姿は自分のしてきたことと非常に重なり胸が苦しくなる一面もあった。
なのでこの作品においては2社間の視聴率バトルより新人監督がどのように立ち回り、
何を犠牲にして作品を作り上げていくのかということをもっと掘り下げて描いて欲しかった。
なんか安っぽいテレビドラマのスペシャルを見せられている感じがしたなあ。
必要以上に元気の出る作品。
内容は、テレビアニメ業界の同時シーズンのトップ視聴率やトップ人気(覇権・ハケン)を争うアニメ製作者側の仕事映画🎬其々のアニメーションに向き合う姿勢や価値観に違いがあり、すれ違いながらも総合芸術として皆が一丸となる作品作りに一抹の感動を得ることの出来る作品。印象的な言葉は、『あなたがあの子達のお母さん(生みの親)なんですね?!』神原画マン憧れの監督と初めて対峙した場面。この場面で原作では、凄く感動した事で期待していたのですが心情表現が淡白過ぎて思いが伝わらず残念だった事が記憶に残りました。印象的な場面は、やはり行城プロデューサーの影の応援です。あまりに斎藤監督との年齢差が近くて驚いたのと、途中から行城擁護に舵を切る心の機微が伝わりにくかった様に感じました。行城も冷たい表現しながらも温かさが滲み出てるのが残念でなりません。やはりもう少し年齢的厚みが必要だった様な気がします。物語全体としては時代の流れが急激に変わる現代で表現の混雑したオーディエンスの表現は統一性を欠き微妙で難しさを感じました。原作が10年前でそれを考慮すれば多少の違和感の干渉になったやもしれません。兎に角アニメーションという世界のある一つの裏側を表現したという事で、アニメーションに関わらず人の間として一つのモノを作り上げるには好き以上の気持ちが必要なのだ残酷な世界で生き延びるのは困難を極める。その解決方法の一つを見たようで元気の出る素晴らしい作品でした。
覇権
アニメがこんなに多くの人の集団作業であることを認識。吉岡さんは堂...
アニメがこんなに多くの人の集団作業であることを認識。吉岡さんは堂々の主演女優だと思った。瞬発力と集中力もある。柄本さんはかっこいい。脇役も揃ってた。ものを作る現場への愛に溢れてた。ED後のラストシーンがいい。
行城さんが良い感じにズルい
原作は2014年発行、確かに当時はオリジナルアニメが多かった記憶はあるが今は人気原作漫画をどれだけクオリティ高く表現するか、視聴率よりも配信やSNSの時代に移行している。
当時のアニメ業界は露骨に異質でプロフェッショナルな集団、それを束ねるのが監督でありプロデューサーで命を削るよな職業なのかと感服する。
今や働き方改革、コロナ禍での進捗変動があるので製作の仕方は大分変わってはいるのではと思うものの、夢見る世界を作り出す裏側の演出がリアルで先が読めない展開が純粋に楽しかった。
吉岡さんや中村くんの熱演も含め特に行城役の柄本さんのEDロール後のリアクションが個人的に後味が良く激しく同意する、上手くまとめられた脚本に爽快感のある終幕に万歳。
クリエイター必見!
原作は辻村深月さんの小説。
原作は
1.王子監督と有科さんの話
2.斎藤監督と行城の話
3.並澤と宗森の話
とあって3が一番長い。
これをうまく斎藤監督を中心にして映画としてまとめてあげた脚本がまず素晴らしい。
原作から時間が経って、今はBDの売り上げが重視されないとか、覇権という言葉が一般的ではないとか、深夜アニメが主流で視聴率が重視されないとか小さな問題はあるが、この映画の世界ではこうなんだろうと考えれば問題ないと思う。実際のアニメ制作の現場ではエンタメにしにくい。映画はフィクションで楽しむものなのだから。
アニメ制作の現場というと『SHIROBAKOが』あるが、SHIROBAKOは制作進行の目線で進むので、むしろ映画製作として『映画大好きポンポさん』の方が比較しやすいと思う。ポンポさんは実写の映画制作をアニメで表現した映画で、本作とは真逆。
ポンポさんとの最大の違いは本作ではライバルとの対立構造にしたところで、それによって物語に厚みが出たと思う。単純に悪いやつとか、足の引っ張り合いではなく、それぞれの陣営が相手に敬意をもって、発破をかけながら対立しているところもいい。
作中に制作するアニメにも手を抜かず、実質3本分の映画を観たような気分にもさせてもらえる。2022年を代表する邦画の傑作だ。
2022 187本目
何やら中途半端な映画だった。
結局のところ、斎藤瞳監督が、安定しているという公務員の職を投げ捨てて、アニメ界入りしたのは、なぜだったのでしょうか。
確かに、それらしいシーンは、ありました。「自分のような子供の心にも届くようなアニメを作りたい」と幼い頃に思ったと。
だったら、とうして王子監督と覇権を競う必要があるのでしょうか。
たとえ覇権を取れなかったとしても、自分で得心のいくようなアニメが作れれば、斎藤瞳監督としては、本望だったはずですから。
そして、子供の心に届くようなアニメを作りたくて斯界に飛び込んだのであれば、作品の構成としても、その思いを語る対話シーンなり、モノローグ的なシーンが、あっても然るべきだったのではないかと思います。そして、そこで、斎藤瞳監督がアニメにかける情熱が、ふんだんに語られたはずではないかと…。
そんなこんなで、評論子としては、いわゆる「お仕事映画」としてみても、本作は決して秀逸な出来とは言えないように思います。
(その実は、公務員の世界ではうだつが上がらないので、ひと山当てるために、畑違いのアニメ界に飛び込んだとみるのは、穿ち過ぎ?)
どうもに…あまりスッキリしない一本でした。観終って。評論子には。
<映画のことば>
「俺たちは監督のアタマの中を現実にするために、ここに来ている。」
「モノづくり」が重視されてきた今までは、デザインやサービス、アイディアは、いわゆるハコモノ(製品)の「おまけ」でしかなかったというのが現実だったと思います。
しかし、これからの日本は、世界的に優位のあるアニメなどの知的創造の産物を世界に売っていく「知財立国」を目指すということですが。
それならば、労働条件の面など、その製作現場を担う上記の「ことは」のような人材を大切にしないと成功は覚束ない…そう考えるのは、評論子だけではないと思います。
清々しい一本
想定内
吉岡里帆の役者色が顕著になった
イマイチ伝わってこなかった
アニメ業界の内幕を描くという素材は抜群なのに、それほど面白いとは思いませんでした。
全体的にストーリーのテンポがよくないような印象を受けた(とくに序盤に)。
もっと疾走感のようなものやワクワクしたものを期待していたのですが、意外と物語の展開が地味に感じました。
アニメ制作に関わる人々の奮闘する姿は描かれているのだけれど、どうしたわけか、イマイチ熱が伝わってこなかったです。出演者はなかなかの面子がそろっているのですが、脚本のせいか、カット割りが悪いのか、画(映像)が良くないのか、はたまた東映作品だからか、とにかく、あまり感情移入できなかった。もっとうまく主人公を引き立てる人物――キャラの濃い、愛すべき脇役というような人物――が登場しなかったのも理由のひとつかもしれません。
なんかスクリーンを見つめながら、「映画づくりってホントにムズカシイな」と考え込んでしまいました。
今回もエラそうなことをいろいろと書きましたが、映画の入場料は、こういう好き勝手な感想を述べる権利を買うためのお金でもあると僕は思いますので、どうかお許しを。
原作小説未読。2本の新作アニメの直接対決。覇権を目指す監督と支える...
原作小説未読。2本の新作アニメの直接対決。覇権を目指す監督と支えるプロデューサの人間模様。映画らしい胸アツ展開ではある。劇中内アニメの作りにもお金かけてる感もある。でも「万人ではなく悩みを抱える誰か一人の子に届け」がテーマなのに、作品を通じて放たれるのは団結、信頼、友情、商業主義との葛藤、プロフェッショナル魂といったドラマにありがちな一般論なのにギャップを感じてしまった。大声だす、物投げる、当たる、泣く、仕事の大変さの表現がコミュ障が絶対やらないのばかり。アニメ見た子供たちの反応や番組宣伝のチープさの描写もなんか薄い。これって『別にアニメ業界じゃなくてもよくね』っていったら怒られてしまうかしらん。
明日の仕事への原動力になる映画
「こうありたい」が純粋真っ直ぐに描かれる。
この世界に魔法なんかないし、現実は厳しくて苦しい。それでも、時に感動は人を救うし、自分のなんでもない想像も誰かの感動になったらと夢みてしまう。
もづくりをする人の「こうありたい」を真っ直ぐ純粋に描いてくれたこの作品は、私にとっても救いでした。あれ、私こうありたかったはずなのに。その気づきと一歩踏み出す勇気をくれる側面には普遍性があり、業界が違っても多くの人生を応援できる作品に思います。
そしてそれを制作陣が現実に体現する、作品へのこだわりや全方位から溢れる愛を感じて更に涙が止まらなくなりました。
ベタなはずの台詞たちが生々しいお芝居で止めどなく刺さり、脇の脇まで登場人物の設定が鮮やかで会話劇が楽しい。空気を変える小野花梨さん、憎まれ役を愛おしく魅せる柄本佑さん、中村倫也さんの捲し立てる長台詞は圧巻でした。何より吉岡里帆さんの体当たり感や生っぽさが想像以上でした。斎藤瞳役が吉岡さんで心から良かったです。
そして限られた予算で劇中アニメ12話分プロットを2本作る本気ぶり。吉岡陣営と中村陣営で異なる物語が進みながら、劇中アニメも2本楽しめてエンタメとしても見応え十分。エンドロールの演出、主題歌エクレール、最後の最後に飛んでくる爆弾。つくることへの愛を感じて、自分も、と胸ををいっぱいにしたあの日感じた気持ちが宝物になりました。
“お仕事映画”という難物
公開時気にはなったがスルーして興行的にも振るわなかった様だが作品の一般評価自体は悪くなく、何となく気になっていた作品だったので再映された機会に観に行ってきました。
鑑賞結果、客観的に見て確かに映画そのものとしての出来は良かったと思いましたし、ヒットしなかったのも勿体ないと思いましたが、個人的には色々とシックリと来ない部分も多々あり、評価し難い部類の作品でした。
そこで今回お話ししたいことは、タイトルの個人的な“お仕事映画”による評価基準の難しさでしょうかね。
まず、鑑賞前にこの作品のタイトルの意味が私は全く分からず“ハケン”も“派遣”を指す意味と思い込んでいたのが、鑑賞中に“覇権”という意味だと分かりました。
私は映画は“時代の写し鏡”だと思っているので、この作品の設定やテーマに対して若干の時代性のズレ(古さ)を冒頭に感じてしまったので、それが最後まで引っかかりとして残ってしまいました。
私が、Amazonプライムビデオに加入して何年経ったか忘れましたがもう数年は過ぎて、最近Netflixに加入してからも、今アニメを鑑賞するツールは完全にネット配信に移行してしまっているし、テレビの衰退が叫ばれてからもかなりの年月が経ち、今ではティーバーやらアベマなどテレビ番組まで配信コンテンツになっている状況で、今更テレビの視聴率争いを物語の主軸にするって時代感覚は、私の映画嗜好からは完全に外れていました。
まあ、アート系作品とか普遍性を扱った人間ドラマであれば違った角度から鑑賞出来ますが、現代劇でしかも娯楽映画の中の時代性のズレは、私にとっては入り込めない要素の一つになっています。
本作は大枠“お仕事映画”として分類される作品だと思いますが、私のもう一つの個人的な“嗜好”(こだわり)として、昔から“お仕事映画”が苦手なんです。
それは恐らく、個人史的に仕事現場に対して良いイメージがない人間なので、最終的に“仕事”を美化したり、仕事を頑張る事の素晴らしさをテーマとした作品に対して素直に肯定出来ないのが原因なのでしょうね。逆に様々な問題点が解決しないままに終わってくれた方が作品に対しての印象は良くなります。
まあ私の場合、今回の“仕事”に対して感覚は“会社”“組織”“団体”“国家”“政治”に対する感覚と同様で、客観的に良く出来た作品であっても、これらを最終的に美化する内容の作品に対してはいつも懐疑的であり、取り扱いに困ってしまう苦手な作品群ではあります。
今回の感想は私の映画の観方のスタンス表明みたいなものになってしまいました。
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