ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
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演出が気になる
面白い作品だとは思うけど、どうしても演出が気になってしまった。
具体的にはわざとらしいオタク台詞の多用。2,3か所なら気にならなかっただろうけどあまりにも頻度が多すぎる。オタクを描こうとした作品でありがちな演出でもあるけど、いつになったら効果的ではない演出だと気付くのだろうか。しかもこの手の演出の悪いところは、結果としてオタク的な人を一括りにして描いてしまうので、同じ属性の登場人物がフラットな印象になってしまう欠点まである。何よりも聞いているこっちが恥ずかしくなってしまう。
わざとらしいオタク台詞に頼らずに、映画「勝手にふるえてろ」のような言葉の端々や挙動からこの人はオタクっぽい人なのかなと観てる人に自然に思わせるセリフや人物描写だったらもっと自然に映画を楽しめたと思う。
誰が彼女にエクレアを渡すのか。
前半は感情移入し辛く乗れなかったが、トータルとしては丁寧な作りで良かったです。否定的な部分もありますが、とりわけ本作の後半の展開の腕力は凄まじく、生理的に感動させられてしまいました。
この話は「内向的な新人監督がチームの輪に入り、仲間と協力して自己実現を果たす」という話の、極めて真っ当なお仕事映画であり、その骨子を「エクレア」という小道具から考える。
主人公の吉岡里帆は新人監督。敏腕プロデューサーからは沢山の仕事を押し付けられ、スタッフからはクオリティよりもスケジュールを優先した(というように見える)提案を受けては捌いて、という忙しい日々を送っている。彼女が監督する作品は裏番組で天才監督、中村倫也が手掛ける作品と今期の覇権をかけて対決することになる…
序盤、吉岡里帆はスタッフたちからさまざまな提案を受けるが、すべて「絵コンテ通りで」という回答で跳ね除ける。製作チームとの連帯はなく、チーム全員が試写に向かう廊下でも1人で後ろから歩いていく。この序盤で彼女がチームから孤立している、アニメ製作において壁にぶつかっていることが窺える。
壁にぶつかるというのは具体的な画としても示される。帰り道電車から降りると足早にケーキ屋へ向かうシークエンスがある。彼女の好きなエクレアを買うためであるのだが、ここでは閉店時間に間に合わず、ガラスの自動ドアにぶつかることになる。
周りに振り回され、アニメ製作において壁に当たった彼女の求めるもの=エクレアは、本作では覇権や彼女の自己実現などのメタファーとも取れる。
その後も彼女はエクレアにありつくことは出来ない。打ち合わせや収録で事あるごとにケータリングのエクレアに手を伸ばすが、敢えなくプロデューサーの柄本佑に先を越されてしまう。
周囲から孤立して、フラストレーションが溜まった吉岡里帆は突然現れたライバルの中村倫也からの助言に従い、演技力の無さから厳しく当たっていた主演声優と和解する。この和解のシークエンスの頭で彼女はガラスの扉をこじ開ける。これはケーキ屋のガラスの自動ドアにぶつかったシーンの対比であり、吉岡里帆はアニメ製作の現場でぶつかった壁に対して、チームの仲間に心を開くことで乗り越えたことを意味する。
彼女はその後多忙なスケジュールから体調を崩して倒れてしまう。
救護室で目を覚ました彼女に対して、プロデューサーの柄本佑が声をかける。彼の手にはエクレアがあり、それを彼女に渡す。そして今まで山のような仕事を振っていた理由を語る。
吉岡里帆は他社から誘われており、前途有望な彼女が退社する前にアニメ作家としてなるべく多くの経験をさせてあげたかった、というのである。(最初から伝えとけとも思う)
上の世代のメンターから、新しい世代へと知識や経験を継承することをエクレアを渡すというアクションでも表現されている。今まで彼女からエクレアを取り上げ続けてきた柄本佑がついに渡したエクレアは、彼女の成長物語はここで完成していることを表しており、その後の展開では覚醒した彼女がチームの仲間と協力してアニメ製作を行うことで自己実現を達成する。
上記の物語において小道具としてのエクレアが演出上重要に扱われている。この丁寧な作劇が後半のアゲ展開を形作っており、そこに感動しました。
以下、個人的な不満。
前半は各キャラクターに感情移入することが難しかった。これは映画の状況説明の為の仰々しい描かれ方が自分に合わなかった(対立構造を明確に打ち出す為のトークイベントのシークエンスとか…)こと、キャラクターみんながアンガーマネジメントしない系の作劇が古くみえたこと、現実の労働問題という視点をオミットして一般化されたお仕事映画として描かれていることが腑に落ちなかったからだと思う。
とりわけこの現実の制作現場での労働問題、ないしは搾取構造を無視して、いわゆる現代のアニメの現場を主題とした映画を作るのは不誠実だと思う。エンタメ映画なのだからこのテーマをがっつり取り扱えとまでは言わないが、深夜までの残業や無理なスケジュールを気合と根性で乗り切ることに対して美化するだけではなく、批判的な視点を入れることは出来たと思う。
2015年刊行の原作で映画制作にも時間がかかるので仕方ないけど、今見ると業界の描かれ方はちょっと前かも…と感じる。テレビの視聴率で対決して、円盤の売り上げを競い、配信サービスもほぼ出てこないのは、それだけ業界も変わったとも言えるけど、ちょっと古い気もする。
(特に女性への)結婚観が古い。最後のタクシーのシークエンスはキモくて、なんか可笑しみがあった。「俺が結婚してあげてもいいけど。」
作品前半で吉岡里帆がチームから孤立してアニメ作っているような描写として「絵コンテ通りでお願いします」というセリフがあるけど、後半で対比としてチームのメンバーの意見を作品に取り入れるシーンがあっても良かったと思う。主演声優に「最後のセリフはお任せします」というシーンがあり、素晴らしかったけど、脚本家や編集、制作進行の意見も聞いてあげて…
小気味良いテンポと清々しい感動
いろいろガチだ。
派遣会社から来たアニメーターがやらかすコメディだと思ってたんだけどww....ぜんぜん違ったww
イケメンわがまま天才アニメ監督とその手綱をにぎる伝説のプロデューサーvs元公務員の新人アニメ監督と凄腕冷徹プロデューサーの同時間帯のアニメ視聴率対決の話し。
別に凄い展開とかはなく業界アルアルのエピソードだけで2人の監督がプライドかけてガチで良い物を作り出そうとして成長し、スタッフの協力を得て努力してそれを形にして行く姿を描いている。未読だが、たぶん原作が良いのだろうかなりエモい。
話に出てくる二つのアニメも声優もガチ高レベルの本物。たぶんそれに呼応する形で撮影部も頑張っている。本編内のアニメと比較されちゃうからヘタな絵撮れないよね。役者達4人の熱量も高い、私は特に男性部が印象に残った。天才と呼ばれた男の努力とプレッシャーを中村。沈着冷静、売る為なら手段を選ばない柄本、彼のジャンプ長塚京三のウイスキーのCM思い出したわ。
あとアニメ業界はまだフィルムの名残でラッシュ試写って言うのね。
かなり胸熱な作品でレビューも高評価なんだが、、、、見終わったあと日本のアニメや映画製作者の薄給について考えずには居られなかった。良いものを作りたい、前へ出たい!そんな若者のやる気を搾取してこの二つのブラック業界は成り立っている。
中国アニメーターに比べて日本アニメーターのギャラは半分以下だという記事を最近見た。日本の映画監督もそれだけで食えてる人はほとんど居ない。
欧米の監督のようにプール付きの家に住む事など夢のまた夢だ、、スタッフのギャラなど押して知るべし。
この映画を見て業界に入る人達の事を考えると悲しくなる、、、搾取構造、日本の暗部である。
刺さりました!
原作があることすら知らず、映画館での予告もあんまり記憶に残らず(ごめん)、とりあえず主要キャスト4人の名前だけで観に行きました。
観て良かった〜。刺さりました。
きっと大変なんだろうなってなんとなく思ってただけのアニメ制作の現場は、実際のそれを覗いちゃったんじゃないかと思うくらいリアリティーがあって圧倒されちゃったし、そうやって出来上がった作品は、チラ見だけでも感動しちゃった。
(でも、あんなに大変なお仕事で、ちゃんと見合ったお給料もらえてるんだろうか、こんなの見せちゃってアニメーターになりたい若者が減るんじゃ?なんて余計なこと考えてたのはナイショです)
アニメのチカラは、私ももらった記憶があるから知ってる。
熱い大人たちが、言っちゃえば命懸けで、作ってるんですよね〜。
彼らの届けたい想いが誰かに刺さって、そしてその誰かのチカラになる。
アニメもマンガも小説もドラマも映画も、作る人と届ける人がいて、やっとここに辿り着くんだよなぁ。
皆さん、いつもありがとうございます。
ところで、『サウンドバック 奏の石』と『運命戦線リデルライト』、それぞれ単独でアニメシリーズとして作るなんてことは、ないのかな?
原作の辻村さんがちゃんと12話分のプロットを書いてるし、なんだかすごい人たち(無知でごめん)があそこまで作ったんだから、あれで終わりはもったいない気が…。いや、あれで終わりだからいいのかな。。
吉岡里帆ちゃん、良かったな〜。彼女の出演作を全部観てるわけじゃないけど、当たりはずれ(失礼)があったもんね。コレはホント良かった。
柄本お兄ちゃんは最近すごい頻繁に見るけど、なんかずるいくらいずっとかっこいい。
中村倫也くんと尾野真千子さんはもう、さすがの存在感と演技力で。
最後のふたりの、あの"間"がサイコーでした。
コージーコーナーのエクレア、買って帰ろう♪
良かった
管理部門ではありますが、割と似たような内容の業界(ゲーム開発)にいるので身近に感じました。たくさんの関係者を調整しながら、かつ、クリエイティブでユーザーを楽しませるものを作る苦しみとできあがった楽しんでもらったときの喜びは共通なのかなと思いました。ラッシュをスタッフで観に集まるシーンで最初は監督は最後尾でついて行きますが、最後は皆の先頭を行くシーンとか随所のシーンも良かったです。尾野さんが自社の幹部陣に取り囲まれているシーンは碇ゲンドウがゼーレの会議に出てるシーンを思い出したり、主人公がもらったエクレアに「チョコじゃないのかよ」と突っ込んだところはクスリとしました。クレジットの後にもシーンがあるのでご覧ください。
リアル・感動・笑える三昧
ハラスメントと思わなければ時にウィンウィンをもたらす
【レビュータイトル候補その2】
2位じゃダメなんですか?
アニメ作りで視聴率を競う話。
ストーリーもギャグも良い、構成力も高く、普通に楽しめる作品である。
実写だが作中のアニメも良くできており、ある種、アニメと実写が見事融合している作品だとも言える。
観る価値高し。今年は大当たり作が多いか。
良い点
・演技水準が高い。皆。
・良いキャラの面々
・最近不適合役の多い中村倫也であったが、今作では結構マッチしている。
・信頼
・全容を見せていないのに作中アニメが感動的
悪い点
・梶裕貴がほぼほぼ本人役。こういう現実回帰要素は作品への没入感が落ちる。そのせいでまさに作中でも語られる人気要員になってしまっている。キャストとしては良いが。
・途中から見てと言うドケチ根性
・数値の意味合いが簡略化され体を成していない。分かりやすくはなるが。
・オチがやや読みやすい
その他点
・実際のところ放送開始後にあれこれ出来るものなのだろうか
「ハケン」を勘違いしていた
できるだけ事前情報を入れないで映画を見たい派なので、てっきり派遣社員がブラックに働かされる、最近多いお仕事コメディかと思ってスルーしていました。
評判いいらしいよって家族が言うので一緒に見に行ったら(見るまで家族も自分と同じく誤解していた)、熱い熱い映画で大変良かったです。
調べたら原作小説があってタイトルも同じなんですね。
でも原作を知らない層で私のようにタイトルで誤解して見に行ってない人が多そうなので、その点は実にもったいないと感じました。
きっとこの映画は現場の方からしたらあり得ない理想も含んでいて、全てが現実に即しているわけではないことは理解できます。
それでも人間このように自分の目指すものに向かって、もがいて生きたいと思わせてくれました。
劇中アニメが視聴率で競うという形を取りますが、最後には作り上げたものが順位関係なく誰かに「ささる」ことを心から実感し報われる。
この映画も私に間違いなく「ささり」ました。レビューを読むと他のたくさんの人たちにも。
それが制作に関わった全ての方々に届きますように。
結構面白い
意外と面白かった。アニメを作るまでの工程を知れた!
最初は声優さんなどと関係が上手くいかなかったけどだんだんみんな心をひとつにして制作に取り組んでいてかっこよかった。自分みたいな子供に届いて欲しいっていう思いが最後ちゃんとたいようくんに届いていて感動した。
ハケン(覇権)にこだわるな!
吉岡里帆、中村倫也はじめ俳優さん、みな良かったですね。
映画ではハケン(覇権)という言葉が使われていましたが、それそれのアニメ監督(および制作グループ)が、ベストを尽くして自分がやりたいことを実現していく過程を追っていました。
・中村倫也は、8年前にやりたかったができなかった主人公殺しを実現するため最後まで粘る。
・一方の中村倫也に憧れてアニメ制作を始めた吉岡里帆は、主人公殺しの予定で制作していたが、最後の最後に殺さない方向(希望を持たせる方向)に変更した。
ここが面白かったです。
でも映画としては、どっちがどうでも関係なく、それぞれがそれに集中して全力でやっていく姿が良く伝わりました。
何事も(恋愛でも仕事でも)、結果ダメでも全力をだしたならば、後悔は少ないし切り替えもうまくいきますな♪
良質な密度の濃い映画
感動しました
僕はこういう感動系ドラマに弱いんです。
天才と呼ばれる王子監督と新人の斎藤監督の差?みたいな。
天才の王子監督はスタッフに対しては自分の意見を押し通して作りたいものが作れるけれど新人の斎藤監督はスタッフが言うことを聞いてくれなかったり。
人の違いがはっきりしている、いろんな人がいるというのはドラマ的でいいと思います。
その上で、新人だからうまくいかない部分もあれば、実績があって天才と呼ばれていても天才のレッテルのために重圧を感じたり、制作会社に縛られて描きたい結末を描けなかったり。
そういう不自由な部分?
脇を固めるスタッフも、行城プロデューサーはカップ麺とコラボしたり、番組の露出を増やすためならどんなことでもやる嫌な人のように見せておいて、実は斎藤監督の入社面接の場にいてその夢を知っていて、できる限りの方法で全力で協力していたとか、斎藤監督が「可愛いだけで実力不足」という評価を下していた声優が、実はアニメの場面のモデルになった実際の場所へ行くなどして役になり切るために頑張っていたり、自分はただの客寄せで実力不足だと承知しながら、それなら客寄せで多くの人に番組のことを知ってもらおうとしていたとか、中盤意向そういう一面だけ見てもわからない隠れた部分を明らかにしていくことで良い人も嫌な人も、優秀な人も能力の低い人も、みんなが自分なりの方法で番組を成功させる同じ目的を目指しているっていうのもよかったと思います。
そうして斎藤監督と声優の関係が改善されたら上映会の後で「声が良くなった」と言われるようになっていったり、最終回の最後のセリフについて「言い方は任せる」っていうのは、声優が監督と十分な信頼関係を築いてコミュニケーションすることで監督の頭の中のキャラクターを理解したとか、つまりチームが成長した、強くなったってことでしょう?
王子監督が最終回のコンテを有科さんに渡して言いたいことはあるかって尋ねたのに対して、監督はこれで良いのかって聞き返した場面も。
終盤は感動して泣くポイントがいくつもありました。
映画を観た後本屋へ行って原作の文庫を買ってしまいましたよ。
とても良かったです。
仕事に前向きになれる
ハケンは覇権であって、派遣ではない
てっきり業界のブラックな内幕ものかと思ったら、マジで胸アツのお仕事ドラマでした。最初は、主人公の新人監督がイケてなく空回りな感じが、段々と周囲の人たちとの関わりから仕事の本質が分かっていくのは気持ちよく、観客も一緒に成長して行く感じです。凄まじい重圧と執念の狭間にのたうち回るクリエイターと、それを実現させようとするプロデューサーやスタッフの情熱と心意気に、分かっていてもジーンときます。劇中劇のアニメ作品もしっかり作風を分けて作ってあり、吉野監督のクオリティへのこだわり振りは、まさに劇中の二人の監督みたいでアッパレです。役者では、主人公の成長を眼力で表現した吉岡里帆にグッときました。中村倫也の緩急つけた演技もいい感じです。プロデューサー役の柄本佑は、場をさらってしまう美味しい役どころでしたね。
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