「☆☆☆★★★ 原作読了済み。 原作を読んでいたからこそ、予告編及び...」ハケンアニメ! 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 原作読了済み。 原作を読んでいたからこそ、予告編及び...
☆☆☆★★★
原作読了済み。
原作を読んでいたからこそ、予告編及びキャストを知った時には不安しか抱かなかったのですが。出来上がった作品は、思いのほか良作だったのは嬉しい悲鳴。
だからと言って、大絶賛するところまでは行かないのですが。原作の奥底に潜む…
《アニメーションは、出来上がるまでは製作側のモノではあるが。世に放たれてからは、それを受け取ったフアン1人1人のモノ》
との想いで書かれている…のでは?と、読みながら感じたのでした。
しかしながら、映画本編は結果的に…
《例え1人だけでも、その人の人生にとって欠かせないモノで有れば作り手としてこの上なく嬉しい》
とゆう想いを、作品本編から受け取りました。
原作は4章構造ではあるものの、実質的には3章構造と言ってよいか。
第1章 王子と猛獣使い (香屋子−アニメプロデューサー)
第2章 女王様と風見鶏 (瞳−監督2作目のアニメ監督)
第3章 軍隊アリと公務員 (和奈−作画女子)
それぞれの章には主人公となるアニメ女子がおり。その横には【天才アニメ監督】【辣腕プロデューサー】【聖地巡礼を成功させたい公務員】が3人のアニメ女子を支え・頼り・一緒になって作品の成功を喜ぶ《バディ物》でもある。
この3組に共通していたのは。それぞれに反目し合いながらも、結果支え合いながら作品の完成に向かって突きすすんで行く。
実は、原作を読んでいて個人的に1番面白くてページをめくる勢いが止まらなくなって行ったのは、第3章での《聖地巡礼》を巡っての話でした。
映画本編は、この第3章を8割くらいカットしていたのですが。この章によって小説の全体像は、聖地巡礼等によるフアンの盛り上がりから、新たな命が吹き込まれる…とゆうフアン目線に立っていた内容に思えました。
それを映画化では。基本的に、第2章の新人監督の瞳を中心に据えて進み。合間合間に、第1章の天才アニメ監督を支える香屋子の話が入り込んでいた。
原作読了組とすると、一見して「?アレ!」って感じるところは確かに有りました。
原作自体が、(最終的には)第3章に1番力が入っている気がしたのもその1つでした。
しかしながら、タイトル自体が〝 覇権を争う 〟とゆう意味合いでもあり。〝 天才監督と新人監督 〟の対決姿勢を通し、アニメ業界のあるあるを描きながら、アニメの魅力を観客に伝える…とゆう演出。だからこそ、原作を大幅に改訂した脚色だったのでしょう。
結果的にこの新人監督である瞳を中心とした脚色により。《聖地巡礼=オタク》の人達の、より深く作品を愛するフアンによる〝 アニメ愛 〟よりも。瞳本人が、過去に辛い時期を天才監督のアニメによって救われた過去があり。今それを男の子に自分を投影する映画オリジナルの巧みな脚色で…
〝 その人にとって欠かせない作品になりますように 〟
…との、原作とは違った【アニメ愛】に溢れていたところでした。
天才監督役の中村倫也は、予想以上に小生意気な役どころでありながらも、実はそこそこの小心者を好演。
でも最終的には、辣腕プロデューサー役の柄本佑が全てを持って行ってしまう。
登場して暫くは台詞を言う度に苛々させられる役なのに、少しずつ目が離せなくなって来る。
これぞまさに儲け役と言えるのだけど。これは見た目以上に難解な役だったと思う。
来年の賞レースに絡んで来るんじゃないでしょうか。
「◯○◯じゃない!」で笑う
2022年5月20日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン7
※ 大幅にカットされていたのですが。原作での第3章で、和奈のバディとして登場する公務員宗森。
工藤阿須加も悪くはなかったのだけれど。原作を読みながら、ハナコ岡部をイメージして読んでいました。
ピッタリだと思うんだけどなあ〜(u_u)