「お話はファンタジーではあるものの羨ましくもあり」ハケンアニメ! 豆腐小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
お話はファンタジーではあるものの羨ましくもあり
この業界の末席に席を置く身としてリアルな目線で観ると、「あー業界ファンタジーだよなぁ」となってしまう。だってリアルはもっと殺伐として生っぽいし、いびつな人のオンパレードだもん(笑)
まぁアニメ制作の内容に関してはほぼ正確だし、作品の端々には業界あるある的な要素もある。でもそれはあくまでも断片の集積でリアルさは薄いなという印象だ。
でもね、観ててなんとも羨ましく感じてしまったのも事実。時間もない中、ラストのリテイクで制作全体が熱く一丸となって、あんな風に神が宿る瞬間なぞないもの。あのシーンはまさに羨望の極みである。不覚にも目に汗が滲んでしまったよw
作品の作りはこれがまぁ贅沢なもので、作中に登場に登場するアニメ二タイトルがガチで作りこんでて感心した。正直、土曜夕方地上波アニメであの作画枚数とカット数はないわな…と悪態をつきつつも挿入される両アニメの出来の良さに感心してる。ずるいw
断片だけとは言え、どちらもマジで独立して1クールイケそうなクオリティの企画だ。そういうところを手を抜かずかなりな熱量でキチっと詰めてくるとこは大いに賞賛したい。おかげで作品に厚みが出てるもの。この辺はあの「映像研には手を出すな」と共通のものを感じた。
よく見ると結構アニオタネタを端々に突っ込んでるんだけど、陳腐なものが多くて割と不発なのが残念。今さら「親父にもぶたれたことは無いのに」とかはないだろうよw
あ、テレビ局編成の会議室のシーンがゼーレっぽくて好きだったがw
惜しむらくは、監督2人がアニオタっぽくないところか。
たとえば、女性監督の生活感のある部屋と男性監督の無機質な部屋の対比を見せたかったのだろうが、ぶっちゃ両アニメ監督の自室にフィギュアのひとつもないなんておかしかったりするんで。その辺はリアルさは欠いているなぁと。でもまぁガチオタの監督じゃ映画にならんかw
あと、あの時間帯での視聴率争いとかもチョットおかしいかな。だって女性監督のサウンドなんちゃらは明らかに土曜の夕方という時間帯のアニメではない。大きいお友達向けアニメだしw最後にBluRayの予約枚数で勝つとかもないよ。王子監督の作品は若年層向け設定だからBluRay販売に差が出るのは当たり前なのが現実。でもそこはファンタジー設定ってことで許容かな。
業界ファンタジー映画ではあるものの、関係者が観たら素直に羨望してしまう映画だと思いますよ、これ。ゆえに佳作です。 ホント「チョコじゃないぃぃ…」だw
あと、王子監督って広井王子がモチーフ?w
> リアルはもっと殺伐として生っぽいし、いびつな人のオンパレードだもん(笑)
あああ、そうなのかあ。原作者辻村さんだから、取材はばっちりだろうと思ってましたが。やはり、小説は小説と受け取っておくことにします。いろいろ実情教えてもらったおかげで、映画を倍
、楽しめてる感じです。ありがとうございます!!