劇場公開日 2022年5月20日

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「爽やかなグッド・ジョブ・ムービー」ハケンアニメ! bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5爽やかなグッド・ジョブ・ムービー

2022年5月26日
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鑑賞方法:映画館

直木賞作家・辻村深月原作の映画化作品。辻村作品のファンの一人としては、原作は既読。確かに、アニメ業界の製作側を描いたお仕事作品として、面白い素材ではあったと思ったが、それは文章としてのこと。これを映画化となると、ハードルが高いのではと思っていた。

しかし、本作は、いい意味て期待を大きく裏切り、このマニアックなアニメ業界を、人に夢を与える仕事として明るく照らし出しており、普段は殆どアニメは観ない自分にとっても、その存在価値の大きさに気づかされ、爽やかな余韻が残る作品だ。

ストーリーは、新米アニメ監督の斎藤瞳が、かつて自分自身の生き方に深く影響を与えたアニメ業界の伝説監督・王子千晴に、アニメ放映のゴールデンタイムの覇権をかけて、挑戦状を叩きつける所から始まる。悪戦苦闘してながらも、心に残るアニメづくりに奮闘する瞳。最初は、大きな差があった2人の間に、良きライバルとしての気持ちが芽生え、互いに、妥協のない作品作りに切磋琢磨し、最終回に向けて突っ走っていく。

こうしたお仕事ムービーは、これまでもいろいろあったが、ストーリーの中で、現実のストーリーが、アニメのストーリーとリンクしながら展開する構成は斬新で、心も惹かれた。特に最終回のシーンで、アニメの映像を通して語り掛けてくるような、製作者側の想いにも共感し、つい涙腺も緩んでしまった。

主役の斎藤瞳役・吉岡里帆は、原作とはちょっとイメージが違うと思っていたが、ストーリーが進むにつれて、適役とも思えてきた。決して上手な演技ではないが、ナチュラルで等身大の女性、そしてアニメへの深い愛情と共に、体当たりで製作に打ち込んでいく姿は、本物の若きアニメ監督を観ているようだった。

また、ライバル王子千晴役の中村倫也は、当初からはまり役と思っていた。クールで横暴とも思える伝説監督を演じながらも、人間的な弱さを所々で見せる演技は流石である。そして、今回、吉岡の演技を引き立てていたのがプロデューサー・行城理役の柄本佑。人間味の無い、冷静な立ち居振る舞いで、瞳を翻弄させながらも、最後の件はちょっとカッコよすぎ(笑)エンドロール後も、行城の最後のシーンがあるので、席をお立ちにならないように。

また、本作のアニメ製作スタッフに扮していた前野朋哉、古舘寛治、六角精児、矢柴俊博等は、本物のアニメ・スタッフと見間違うようだ。スタッフあるあるの風貌と演技で、脇をしっかり固めていたのも、リアル感が醸し出されていた要因だろう。

本作で手掛けてきた、『サウンドバック』と『デルライト』を、これで終わらせないで、本当にアニメ化したらどうだろう…?

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2022年6月8日

CBさん(^^)役者さん達も、本物のアニメスタッフみたいでしたね。確かに劇中アニメも観てみたいです。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2022年6月8日

CBさん(^^)役者さん達が、いかにも本物のアニメスタッフみたいで、頑張っていましたよね。劇中アニメ,確かに観てみたいです。

bunmei21
CBさんのコメント
2022年6月1日

> これを映画化となると、ハードルが高いのではと思っていた
なるほど。やっぱ、この二つのアニメを本気で作ったことが、成功の秘訣だったんでしょうか?俺も、フル作品として、両作を観てみたいです!!

CB