劇場公開日 2022年5月20日

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「好きのために命を削る、0→1にする大変さと想いに駆られる」ハケンアニメ! たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0好きのために命を削る、0→1にする大変さと想いに駆られる

2022年4月14日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

興奮

キャスト登壇付きの先行上映会が当たり、鑑賞。アニメの覇権を巡るドラマを主軸にしつつ、情熱の到達点とその先を描く。あなたの情熱をバカに出来る奴なんて1人もいない。でも、その情熱を作るのは、1人では出来ない。

アニメ産業のデカさを考えると、こういう作品も生まれてくるのは必然かもしれない。この作品は、アニメの覇権を争いながら、0を1にする苦悩と熱量を引き連れて襲ってくる。それ故に、序盤から涙腺ウルウル。自分の好きなもの、それを武器に戦うことは容易ではない。その難しさを可視化しつつ、あらゆるものが苛みながらも前に進む様はアツい。

アニメ産業といっても、分業に次ぐ分業の為、ピースは細分化される。その中でも、監督と監督、スタッフに声優など、根を張る様に広がっていく。そのピントに凄く面白さを感じるが、どうしてもテンポは難しくなる。その違和は仕方ないが、とても楽しい。その人にしか分からない痛み、その人にしか見えない景色、その配分も上手い。吉野耕平監督の魅せる多元的な情報展開と、人間ドラマを主とした描き方に迷いがなくて面白い。

そして、なんといってもアニメが凄い。プロデューサーも苦労したという2者のアニメの制作は、どちらも1級品。エヴァとアキラを彷彿とさせるキャラデザと、たぎるようなストーリー。声優の視点もあることから、本筋を大いに補完する。きちんと題材に留まっていないのが魅力的だ。

主演は吉岡里帆さん。原作者の辻村深月さんを「私の書いた斎藤瞳だ!」と言わせた風貌は見事で、可憐さを削ぎつつも可愛さを残している。そのバランスを濃い脇役たちがさらに引き立てる。中村倫也さんは舞台挨拶の時と同じ様なゆるさを感じさせつつ、締め切る緩急は圧巻。天才は伊達じゃない。そして、柄本佑さんと尾野真千子さんのプロデューサー陣も凄く良い!彼らのことは多く書かないので、過程を乗りこなしながら楽しんでほしい。

就活していることもあり、好きの情熱が報われないことも分かってきた。また、こうしてレビューしていても、作品を生み出すことに比べたらどうってこともないちっぽけなのかもしれない。だが、好きは逃げない。報われる人間は努力をしているのだ。華のある様に見えても、実は地味なのかもしれない。それがなんだ、超えようぜ…!そう言ってくれる作品だった。邦画にしか成せない技であり、ハイクオリティな良作だった。

たいよーさん。
CBさんのコメント
2022年6月1日

> 好きは逃げない。報われる人間は努力をしている

もう、見事に俺の心に突き刺さった映画でした!!

CB
あんちゃんさんのコメント
2022年4月15日

参考になりました!

あんちゃん