ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
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新人アニメ監督の奮闘
原作は未読ですが、予告で気になって鑑賞しました。
幼少期からアニメで育ってきた者として、久々に熱くなるストーリー展開でした。
今作では、アニメ業界で働く人達の大変さが描かれています。毎日夜遅くまで作業をし、精神的に追い込まれても、良質な作品を届けようと頑張っている姿を見て、彼らを応援する気持ちで夢中になることができました。
特に新人監督の斎藤瞳は、初めは気弱でスタッフの意見に振り回されますが、一人でも刺さるアニメを作るために奮闘している姿から勇気をもらいました。
王子監督も、強いこだわりを持った監督としてのプライドが伝わってきました。
また、エヴァンゲリオンやプリキュアなどのネタだけでなく、梶裕貴や花澤香菜などの有名声優も出演しているため、アニメ好きには嬉しい要素が満載でした。
最近のアニメは、視聴率や売上で作品の良し悪しを決められることが多くなっているように感じます。これはあくまで個人的に思っていることですが、どれだけ自分が好きでも、人気の低迷などでネガティブな印象を持つ人々を見て、残念に感じることも少なからずありました。しかし、この映画を見たことで、たとえライバルに負けてしまっても、クオリティを重視して少しでも受ける作品を制作したい監督もいることを実感しました。
今後は、様々なアニメを楽しむだけでなく、心を込めて制作している人達に敬意を払っていきたいと思うようになりました。
余談ですが、この作品は所沢などの西武線沿いが舞台になっています。私はその周辺に住んでいるので、馴染みのある場所が沢山出てきて親近感が湧きました。
時間があったら、映画の舞台へ訪れてみたいです。
もう少し前に映画化されていれば
良く出来ていたし、ストロングポイントもターゲット層も明確だったのに、これがヒットしなかったのは時代の感覚が急速に変化していることの現れだろうか。2017、2018年ごろならもっとヒットしているんじゃないかと思う。日本を代表するカルチャーとなったアニメに情熱を注ぐ人々のドラマを通して、ものつくりへの熱い思いをぶつけているわけだが、今そういう熱いものって受ける時代じゃなくなったのかもしれない。
それとアニメ業界がここ5年くらいで激変しているので、ここに描かれたアニメ業界がすでにちょっと古いものになっているというのもある。タイトルにある「ハケン(覇権)」という単語もアニメファンの間で使われていないし、視聴率競争はずいぶん過去のものだし、徹夜仕事も減ってきているしもっとデジタル化が進んでいる。
映画そのものは見ごたえがある。吉岡里帆は良い芝居をしているし、作中のアニメが本格的な作りで本気度がうかがえる。少し古い話だとしても、もうちょっと注目されてもいいんじゃなかろうかと思う。企画のタイミングって難しいなと思う。
懇願:サウンドバックを全話作ってください。
アニメ業界の裏舞台もの、とはいえ、監督自身が現実とは違うとわかった上で同じ時間枠での視聴率対決を持ち込んだように、あくまでもエンタメとして見せることを優先したお仕事映画。とくにアニメ業界に詳しい人には思うところもあるんじゃないかと思うが、吉岡里帆をはじめ「演技しすぎない演技」の按配がすごくよくて、クサくなりそうなところを絶妙に踏みとどまる感覚が心地よい。
ただ根性論や作家主義の礼賛、ふたつ出てくる恋愛要素など、価値観としていささか古く見える部分はある。わかりやすさとのせめぎ合いがあったのではないかと想像するが、そもそも物語自体がそおのめぎ合いについてであり、良くも悪くもメタなシンクロについて考えさせられる。
劇中アニメのクオリティが高く、そしてちゃんと「面白そう」に見えるのは稀有であり、本作の強みのひとつだろう。フィクションでは天才や名作が出てきたところでセリフの説明で処理されてしまうことがほとんど。それをきちんとアニメ作品単体でも観たいと思わせる力が凄まじい。豪華パンフレットに両劇中アニメの全話プロットが載っているこだわりも良かった。特に「サウンドバック」は超面白そうだったので全話作ってはくれまいか。
執念の眼力と多彩な人間模様に胸熱くなる
吉岡里帆が脇目もふらず一直線を見つめる。その眼力というか覇気に、まずとてつもなく圧倒された。髪を振り乱し、愚直に己の全てを投げ打って理想のものに近づこうとする。そうやってTVアニメ作品を一話一話、魂を込めて世に解き放つ新人監督の姿は、言わばこの映画の魂のエンジン。と同時に、本作にはいわゆる絵に描いたような悪役が登場せず、ライバルとなる天才監督もまた、彼にしか辿り着けない境地で孤独に魂を震わせるもう一つのエンジンだ。本作はこうして発射態勢に入る二つの製作陣営を、比べて、競わせて、ゆくゆくは共振させることで作品としての分厚さを得ていく。その過程でヒロインが視野を広げ、経験を積み、スタッフを信頼し、自分のビジョンを具現化するための言葉と人を動かす統率力を培う成長ぶりがまた素晴らしく、持ち前の眼力が透度と深みを帯びていく様に心動かされる。それを支えるキャストも細部に至るまでみんな見事に活きている。
今の世の中に必要な要素がかなり多く詰まった、いろんなものを考える際に重要なカギとなるエンターテインメント作品!
まず本作は「アニメーション業界の舞台裏を知る事ができる」という意味でも面白いのですが、実はどんな業種であろうと「今の世の中を考える上で重要な要素が詰まっている」と思います。
この深い世界観を自然で面白い「お仕事ムービー」として仕上げている制作陣は、素直に「流石」だと思えました。
メインの中村倫也の安定感に加え、吉岡里帆の❝仕事人に徹した演技❞はこれまでで一番良かった気がします。
個人的には、プロデューサー役の柄本佑は、役柄も含めて、これまで見た作品で最も魅力的に映りました。
珍しく、他のどの役者も良くて、「本物」(本職)にしか見えない凄さがありました。
あえて挙げると、「神作画」を描くアニメーター役の小野花梨が光っていました。直近では、のん監督作の「Ribbon」で❝テンションの高い妹❞を演じていましたが、また違った興味深いキャラクターでした。
本作は想像を超えて出来が良かったので「あと少し頑張って欲しかったシーン」が逆に目につきました。
1つ目は、電車の中の「中吊り広告」のシーン。今は週刊誌の中吊りは無くなりましたし、そもそもアニメの話がトップに来る事はないです。いくら「覇権アニメ」であってもやや誇張になってしまうのでスマホのニュース記事のタイトルなどで良かったと思われます。
2つ目は、2人の監督が公開対談する際に、詰まった新人監督(吉岡里帆)に王子千晴(中村倫也)が助け船を出しますが、それとプレゼン画面がリンクするのは無理がありました。
本作は大きな点でこのくらいしかダメ出しする必要のない「圧倒的なクオリティーの高さ」でした!
今の世の中は「働き方改革」の名の下、本作の2人のアニメーション監督のようにこだわり抜くクリエイターは「ブラック」と見られる風潮もあります。もちろん、その大きな流れに異議を唱える訳ではないのですが、私は本作で描かれているプロフェッショナルな人達の「仕事の熱量」こそ、人や世の中を動かせるものだと考えています。
その意味で、こういうリアルな「本気を描いた映画」は、単純に楽しめるのと同時に、仕事の意義を考えるのにも適した意義深い作品だと思います。
なお、エンディング曲の後にも映像が続くので、席を立たずに最後のシーンを見逃さないようにしましょう!
アニメファンでなくても、多くの人の胸に熱い思いが刺さる実写映画
本作は、作品の作り手を描きながら、本業で支える人たち、応援している人たち、など様々な人の想いをバランス良くエンターテインメントとして成立させている。正直、見所が多くて何度も確認したくなる場面が多い。
と言いつつ、一度見ただけでも高い満足感が得られる作品であるところも素晴らしい。
本作では多くの名言があるが、私が刺さった一番のフレーズは「好きだから、頑張れる!」。
仕事においても、「好きじゃなかったら頑張れない人」に響かないかと思いきや、何かしら自分にもヒットする場面や人が現れ、目を逸らすことが出来ない。競争に勝つだけの憧れでは終わらない人情味に魅せられる。
「仕事の適正の能力」は人それぞれでも、とにかく頑張りたいという想いが沸々と湧いてくる映画なので、チャンスを見逃さないように自分のためにも見る価値のある作品だった。
「覇権」の裏にはこのような努力があるのかと、その深さも知ることができた。
かなり良かった
「SHIROBAKO」実写版?まあまあ面白いですけど、平凡すぎます。
わかる。わかります。面白くないとはいいません。コメディとしてはいい部分はあったと思います。でも、視点もドラマも凡作です。あまりに普通です。アニメの制作現場は大変でしょう。プロデューサーや製作は理不尽なんでしょう。劇中劇のアニメはいい出来何でしょう。
でも、それは「SHIROBAKO」の亜流でしかないです。本作は「SHIROBAKO」実写版と言ってもいいくらいです。アニメ制作の苦労はあるある系の作品は同作で終わっています。それを超えるにはあるあるではない創作論が必要なんだと思います。
それと日本映画の演技演出のわざとらしさ、何とかならないですかね?ヒロイン吉岡里帆氏はそれでもギリ自然と言えなくはないですが、あの中村倫也氏、柄本佑氏、尾野真千子氏の主要な役柄の演技がいかにも日本映画の演技という感じなのがたまりません。
それに、尾野真千子氏がつるし上げられるシーンって何万回みたんだよという陳腐さでした。演技の陳腐さ演出の凡庸さは上げればキリがないですし、そこは本作だけではないですけどね。
無料でサブスクで見る分にはまあまあですけど、多分記憶から速やかに消去される類の作品でした。
現実は完全にハッピーエンドじゃない。っていう良さ。
この手のプロットはいくらでもあったような
最初の方は面白くて期待したが、話が進むにつれ、段々その平凡な内容に飽きてきた。視聴率争いで天才監督と新人監督が争うだとか、身内でいやな奴が実は一番の理解者で味方だと思ってた奴が影で悪口言ってたりとか、理想に燃える一途な主人公だとか、内容も分からないアニメの感動っぽいシーンだけ見せてお茶を濁すとか、スタッフが一致団結して感動を呼ぶとか、最後は主人公が視聴率競争で負けることが読めてしまうとか、などなど、見たことあるような話のてんこ盛りで、なんのひねりも新鮮味もないまま終わってしまった。吉岡里帆がよかったので甘めの星3つ。
苦悩と情熱
全然カワイソウじゃ無いっ!!!
ものづくりの執着を表した作品
吉岡里帆さんの新人監督役がピュア、不器用、でも徹底的なやり込み具合をうまく表していてとても良かった。
何かを創造すること、それは完璧を目指すほど自分の中での産みの苦しさや周囲の批判とのぶつかり、様々な戦いになるんだろうな。
新人監督が目指したものは「子供の頃の自分のような子供(不器用でちょっと世の中を斜めに見てる子)に伝えること」だった。ラストのシーンで、視聴率だけではない大事なものがあることを感じさせた物語だった。これからも斎藤監督は成長し、アニメを生み出していくのだろう。
王子監督も最初はいい加減な奴に見えたが、天才ゆえの孤独や不安との闘いの中にいた。そして作品のためにはどんな妥協も許さない。
そんな2人の作品を仕上げるための素晴らしい仲間たち。
誰かの心に響き、残る作品を作れる全ての方々に敬意を表したい。
ワガママを通す胸にあるものを思い知れ
原作未読。
12話完結アニメ製作の、死闘を思わせる群像劇。
その過程で他人を己の手足と使うという監督が、わがままを通すための根拠と責任。説明し、負い続ける胆力のチキンレース。
モノづくりは一人でも大変だが団体戦はさらに濃い。
その濃さと濃いからこその熱さを、
根性論かとうわ滑ることなく大人目線で描き切った1本。
スタンプラリーの取材シーン「リアル以外を豊かにする仕事」のくだりが、これまでとは違う角度で作り手へのリスペクトを表しているように感じ取れ、とても刺さった。
(安直に褒めるのではなく、自分にはよく分からない世界だが、自分には分からないくらいスゴイ世界なんだ、という謙虚さ込みのやり取りが斬新だった)
誰かの心に刺され。
会ってもいない人に数時間で一生の記憶を植え付けるなど、
仕事としてはとんでもない見返りだろう。
だけに負荷も相当。
挑み続ける人の胸にあるものを思い知れ。
そんなメッセージを感じ取る。
白組にproductionIGもいっちょカミだった。(きっとアニメパート)
ポンポさんも、バクマンも、大詰めで一度は倒れる。
劇中アニメ、物語を理解していないにもかかわらず、ラストは見入ってしまった。
そう、なぜか見ながら「愛にイナズマ」が脳裏をよぎった。
みんな必死で作品を作ってとっても大変なのは伝わってきた。が、監督の...
みんな必死で作品を作ってとっても大変なのは伝わってきた。が、監督の頭の中を形にするのがスタッフの仕事ならば、文句は出ないはずだし、監督もバタバタしないように先にしっかり完成形を用意しておけよと思う。それでも大変なことなんでしょうし、よりよいアイデアが締め切り直前に出てくることもあるのでしょう。でもバタバタしすぎ、そんな様子ばかりの映画だった。
しかし他にもいろいろな人間模様が描かれていた。見えてる人見えてない人てきとーな人頑張ってる人。そりゃみんなで作る仕事ならいろんな人間がいるわけだ。
そんな人達との和解のドラマのシーンもあった。
しかしまあなんというか、仕事現場のバタバタ感、テンパる女監督、チラ見せのアニメが散りばめられていたがこのチラ見せのアニメが気になってそっちをメインで見たいと思い始めた。
このアニメの両作品は実はちゃんとアニメ化されたりしてますか?
☆☆☆★★★ 原作読了済み。 原作を読んでいたからこそ、予告編及び...
☆☆☆★★★
原作読了済み。
原作を読んでいたからこそ、予告編及びキャストを知った時には不安しか抱かなかったのですが。出来上がった作品は、思いのほか良作だったのは嬉しい悲鳴。
だからと言って、大絶賛するところまでは行かないのですが。原作の奥底に潜む…
《アニメーションは、出来上がるまでは製作側のモノではあるが。世に放たれてからは、それを受け取ったフアン1人1人のモノ》
との想いで書かれている…のでは?と、読みながら感じたのでした。
しかしながら、映画本編は結果的に…
《例え1人だけでも、その人の人生にとって欠かせないモノで有れば作り手としてこの上なく嬉しい》
とゆう想いを、作品本編から受け取りました。
原作は4章構造ではあるものの、実質的には3章構造と言ってよいか。
第1章 王子と猛獣使い (香屋子−アニメプロデューサー)
第2章 女王様と風見鶏 (瞳−監督2作目のアニメ監督)
第3章 軍隊アリと公務員 (和奈−作画女子)
それぞれの章には主人公となるアニメ女子がおり。その横には【天才アニメ監督】【辣腕プロデューサー】【聖地巡礼を成功させたい公務員】が3人のアニメ女子を支え・頼り・一緒になって作品の成功を喜ぶ《バディ物》でもある。
この3組に共通していたのは。それぞれに反目し合いながらも、結果支え合いながら作品の完成に向かって突きすすんで行く。
実は、原作を読んでいて個人的に1番面白くてページをめくる勢いが止まらなくなって行ったのは、第3章での《聖地巡礼》を巡っての話でした。
映画本編は、この第3章を8割くらいカットしていたのですが。この章によって小説の全体像は、聖地巡礼等によるフアンの盛り上がりから、新たな命が吹き込まれる…とゆうフアン目線に立っていた内容に思えました。
それを映画化では。基本的に、第2章の新人監督の瞳を中心に据えて進み。合間合間に、第1章の天才アニメ監督を支える香屋子の話が入り込んでいた。
原作読了組とすると、一見して「?アレ!」って感じるところは確かに有りました。
原作自体が、(最終的には)第3章に1番力が入っている気がしたのもその1つでした。
しかしながら、タイトル自体が〝 覇権を争う 〟とゆう意味合いでもあり。〝 天才監督と新人監督 〟の対決姿勢を通し、アニメ業界のあるあるを描きながら、アニメの魅力を観客に伝える…とゆう演出。だからこそ、原作を大幅に改訂した脚色だったのでしょう。
結果的にこの新人監督である瞳を中心とした脚色により。《聖地巡礼=オタク》の人達の、より深く作品を愛するフアンによる〝 アニメ愛 〟よりも。瞳本人が、過去に辛い時期を天才監督のアニメによって救われた過去があり。今それを男の子に自分を投影する映画オリジナルの巧みな脚色で…
〝 その人にとって欠かせない作品になりますように 〟
…との、原作とは違った【アニメ愛】に溢れていたところでした。
天才監督役の中村倫也は、予想以上に小生意気な役どころでありながらも、実はそこそこの小心者を好演。
でも最終的には、辣腕プロデューサー役の柄本佑が全てを持って行ってしまう。
登場して暫くは台詞を言う度に苛々させられる役なのに、少しずつ目が離せなくなって来る。
これぞまさに儲け役と言えるのだけど。これは見た目以上に難解な役だったと思う。
来年の賞レースに絡んで来るんじゃないでしょうか。
「◯○◯じゃない!」で笑う
2022年5月20日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン7
※ 大幅にカットされていたのですが。原作での第3章で、和奈のバディとして登場する公務員宗森。
工藤阿須加も悪くはなかったのだけれど。原作を読みながら、ハナコ岡部をイメージして読んでいました。
ピッタリだと思うんだけどなあ〜(u_u)
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