「ポリコレではなくシナリオがダメ」バズ・ライトイヤー わきどんさんの映画レビュー(感想・評価)
ポリコレではなくシナリオがダメ
今更になってレビューを書きますが、ポリコレどうこうではなくシナリオがひどい映画です。
話の大筋は、バズが乗っていた宇宙船が異星に不時着、故郷に帰るために必要なワープ部品のテストを行うものの、なかなか成果は出ず…しかも、ワープテストの副作用である相対性理論(日本語版ではウラシマ理論)により、バズ以外の仲間たちはどんどん歳をとっていく…
とまぁ、SFとしては王道な展開ですし、ここに文句はありません。
しかし、ひどいのはバズの周囲の人間関係と、そのシナリオ展開です。
宇宙船が不時着した段階で、バズの同僚(上司?)にあたる黒人女性が出てきます。
この時点で(ははぁん…?)とは思いましたが、スルーしました。強キャラ黒人女性なんて洋画じゃ全然出てきますからね。
前述したワープテストの場面で、彼女が年を取り家庭を築く描写が入ります。この時の彼女のお相手が白人女性なわけです。ここから、この映画に一切の説得力がなくなります。
せめて「未来の技術で同性でも子作りが可能」だとか「クローン技術が発達し、人的資源が調達可能」というような描写が挟まっていれば納得できます。しかし、そんな描写は一切ないわけです。当然、どうやって子供を作ったんだ?という疑問があります。
そして場面が変わり、今度は彼女の孫が出てきます。この子がかつての彼女の顔に似ているということで、物語のキーパーソンとなるキャラクターです。
しかしながら、子供を作った理由が不明なまま孫の登場により、一切感情移入ができません。バズは「この子は彼女の孫だから」ということで色々面倒見るわけですが、全く共感できません。
そして、物語の最終局面の話になりますが、ザーグの正体は別の宇宙のバズだった!という描写が入ります。
おいおいおい…と。
トイストーリー2での、あの下りは何だったんだ?…と。
そういう衝撃をうけつつ、別の宇宙のバズが言うには「宇宙船が不時着する前に時間を戻せば、すべてが元通りになる。」というものです。そしてバズは答えます。「では、今まで生きてきた彼女たちの人生・歴史はどうなるのか?」と…
正直、バズが懸念している今までの仲間たちの消失には、全く共感できないわけです。
むしろ、別宇宙バズの言い分の方が納得できます。
先述の通り、どこから生まれたかもわからない仲間たちだから!
そんなこんなで別宇宙のバズは倒され、物語は終劇。
異星の地にてバズたちはスペースレンジャーとして活動するという
・微妙なシナリオ展開
・原作の原作無視
・故郷に帰るはずが異星の地にて生きる選択
という、誰が幸せになったのかよくわからない終わり方を迎える映画でした。