「無限の彼方へ! 不完全な仲間達と共に!」バズ・ライトイヤー 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
無限の彼方へ! 不完全な仲間達と共に!
トイ・ストーリーの派生作品、という位置づけっぽいですが、ちゃんと独立したSF作品として十分楽しかったです。平均的なストーリーとも云えるけど、内容的に無理もなく、スルリと良い気分で見終えることの出来る秀作だったと思います。
映画に限らず、よくある作品の登場人物はみんなプロフェッショナルで優秀で、あまりパッと良い例が思い浮かばないけど漫画「沈黙の艦隊」も艦長・乗組員・政治家に至るまで、みんなそれぞれの分野で優秀で、それぞれの責任をしっかり果たしていたけれど、この映画では不完全でミスばっかりで、武器を投げて寄こせば、当たり前のように取り落として、ピンチが更なるピンチを呼んで、みんなジッとしてれば、むしろ穏やかに事が進んだだろうに、バズが新人を連れて行きたくないのはよく判る。皆さんもそんなことはないでしょうか。
現実の問題、今現在の私達自身の身の回りにある課題なんだろうな、と思います。この映画が解決策となるかどうかは判らないけど、これが私達の周りにある全ての課題じゃないのかと、問題提起した作品なんだろうな、と思いました。この映画でバズが新人や新しい仲間達を嘆いていたように、自分の身の回りの人間関係を嘆いてしまうことは無いでしょうか。私自身もそういうことは多いので、反省、反省。でもどうすればいいのか、その場に直面したらやっぱり判らないし、この映画一本で解決するなら、今頃はとっくに世界は平和なのでしょうが、世の中上手くいきませんね。
SF作品としても、ウラシマ効果とかパラレルワールドとか、流行の?テーマが踏まえられていて面白かったですが、「宇宙空間に無限に落ちていく恐怖」というのが新鮮で、見ていて思わずゾクッとさせられたのは私だけでしょうか。自分の生身じゃ即死だろうけど、考えるのを止めるしかなさそうですね。
最後の最後まで見届けましたが、最後にウッディが登場してオモチャのバズと語り合うシーンでも来るかと思ったけど、そういうのも一切無かったです。それはそれで独立した作品として良かったことだと思いました。でも時間に余裕があるなら、映画館の照明が点くまで席を立たない方が良いでしょう。大したことないけど、ちょっと笑えました。あ、そういえばお前が居たんだ、忘れてた、とか。
気に入ったキャラは、名前はアイヴァンでしたっけ。宇宙船のシリみたいなやつ。すっとぼけた花吹雪には吹いたw カートリッジをフーフーするところ、監督もファミコンで遊んだのかな。とにかく、視聴直後にここまで長文で書いてしまうほど、判りやすくて楽しかったです。