「作家は大いなるスピリチュアルな人物」ホリック xxxHOLiC R41さんの映画レビュー(感想・評価)
作家は大いなるスピリチュアルな人物
面白かった。魑魅魍魎的なモチーフを使って「真理」を描いている。
最初は何を言っているのかわからなかったが、スピリチュアルな言葉が随所にちりばめられていたことで作家の意図がよく分かった。これは漫画の実写版だろうか。
ユウコさんとは「真我」 そしてジョロウグモは「自我」が強大化した「エゴ」だ。
自分勝手な欲望や決めつけているものが「あやかし」で、主人公にはそれが形として見えてしまう。
これが嫌で逃げ続けていたある日、主人公は自殺をしようとするが、そこに現れた奇妙な蝶によって導かれ、ユウコと出会う。
この物語は自分自身との葛藤や対峙を、異形世界の現象というものをモチーフに描いている。
主人公に対しユウコは「対価を見つけろ。本当に大切なものを、真の願いを」というが、これこそが私たちの真我が常に私たちに対し語っている言葉であり、真理だ。
それに対しエゴは、さももっともな言葉と「従来信じられてきた概念」を使って人をその世界にとどまらせようとする。
ジョロウグモは「考えても無駄、運命は変わらない」常にそういうが、それは常日頃私たちが私に対して言う言い訳の言葉と同じだということに気づかなければならない。
主人公は「こんな目に合うなら、みんなと出会わなければよかったんだ」というが、この世界での思い出、経験こそ人生におけるかけがえのない財産なのだ。
やがて主人公は4/1から抜けられなくなってしまった状況から、とうとう「助けて」と叫ぶ。
これが彼の本心だ。これを言葉にしたことで言霊が動き、新しいその先へと駒を進めたのだ。
ジョロウグモは、人々が勝手に持っている概念を遣って主人公を惑わす「運命すでに決まっている」
「嫌だ、嫌だ」 主人公の葛藤 自分自身との対峙 ユウコが授けたブレスレットは、「新しい視点」という武器だ。思い込んでいる、そんな概念を信じてしまっている自分自身との対峙。「別の角度から見なさい」
出来事すべてはただの現象 そう、人がこれに勝手な意味を与え、勝手に解釈し、勝手に苦しんでいるのがこの人間世界だ。
自殺を決意するとき、それほど追い詰められたとき、おそらく誰もが幻の蝶のようなものを見るはずだ。それは真我からの最後の導きだ。
最後に蝶になったユウコは主人公に伝える。要約すれば「出来事は変えられない。人は誰も環境を変えたがるが、環境を変えることもできない。でも、起きたことに関する捉え方を変えることはできる。つまり自分の考え方、思考を変えることはできるのだ」
ユウコは、ようやくそのことを理解した主人公の前から消える。
そして彼はユウコに変わり、悩める人を救う役割を決断する。
真理は語り継がれていくのだ。
対価とは、そう考えるそれそのものに対する見方のことだろう。別の視点が対価となるのだ。
観点を変えることで新しい気づきを得られる。嫌な部分がそうでなくなり、恐れが教師になる。
そして自分自身を否定することなく、そのままの自分自身でいることだけが「真我」が望んでいることなのだ。どんなことでも、そう思った自分自身を否定しなくてもいいのだ。それが嫌なら「何が望みなの?」 これが真我が叫び続けている。
だから本心で「望む」ことが大切だ。その時初めて本心というものがエネルギーを伴い、言霊が動き出すことで、望んだ未来を手にすることができる。
エネルギーの伴わない望みは、叶うことはない。
起きた出来事に一喜一憂し、勝ってな意味付けと解釈によって、勝手にもがき苦しんでいる。「人こそがこの世で最も摩訶不思議な生き物」だ。
とても明確でわかりやすく面白かった。