「水と油みたいな作品、展開と世界観が混じりきっていないのが惜しい」ホリック xxxHOLiC たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
水と油みたいな作品、展開と世界観が混じりきっていないのが惜しい
何だろう…凄く混じっているように見えて、実は水と油みたいなことになっているような。麗しき世界観で押し込んだ様な終盤が勿体ない。
割と『人間失格』を楽しめたこともあって、不安視していた訳ではない。だが、ビジュアルファンタジーと形容していることもあり、中身が不安だった。
分業が故なのか、次第にビジュアルに説得力がなくなっていく。突いた主題が現実的であり、メッセージ性を孕んでいる。何度も台詞を繰り返し、その尖りに丸みを帯びるようになり、その麗しき世界観が陰っていく。テンポもちょっと悪かったりして、後半は割と退屈だった。華やかさを持っているはずが、常に持っているため、クライマックスらしい勢いも感じられず。瞬間を描くのはいくら美しくても、飽きが生じるのだ。
と言いつつも、やはりビジュアルは蜷川実花監督さすがの一言。幻想的な世界観を終始展開しており、その独創性が入り口を広げたことは間違いない。渋谷や外のロケーションにおいても、非現実的な雰囲気を醸し出している。単純にそこは魅力的だし、見ごたえを感じる。
そして何より、本作はキャストの魅力が底上げされている点が大きい。主演の神木隆之介さんと柴咲コウさんも素晴らしいが、艷やかな女優陣にホレボレする。橋本愛さんや大原櫻子さんといったスポットも良いが、やっぱり吉岡里帆さんがダントツ。色っぽいし何より美しい。悪女な点も心をくすぐる。これは自分がファンだからでもあるが…。笑
やりたいことはすごく分かるし、世界観の再現も申し分ない。ただ、見せ方としては考えるべき点が多かった。それだけのことだと思う。悪くはないが退屈だった。惜しい。
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