劇場公開日 2022年4月29日

「無理にまとめず、淡々と依頼こなす系でよかった」ホリック xxxHOLiC 映画好きさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5無理にまとめず、淡々と依頼こなす系でよかった

2022年5月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトルのとおり、無理にまとめず、淡々と依頼こなす系でよかった、と思います。

個人的に、ホリックの醍醐味は謎めいた女主人の侑子さんとその侑子さんに振り回される四月一日が数々の願いを叶えていくところだと思っていて(多くの人もそうだと思いますが)、
願いを叶える過程で四月一日が見聞きし、体験する出来事が、これまた謎めいた、少し怖いものだったり、どこか懐かしいようなものだったり、心が暖かくなるようなものだったり...
といったところにこの作品の魅力が詰め込まれていて
、そんな中で百目鬼くんやヒマワリちゃんの背景があって、物語があって、特別な作品になっていると思っています。

ミセに客がきて願いを叶えるというお決まりの展開は冒頭の一件のみで、あとは映画ホリックをフィナーレにもっていくためのストーリー展開でした。

いろんな願いを叶えていく小話をせめて3件ほど見られると思っていた私には、これはかなり残念でした。
小さな依頼をこなしつつ、お話をまとめ上げる方法はいくらでもあったと思うのですが..

原作の象徴的なシーンを不自然に詰め込んで、大きな敵を倒すような展開で無理にまとめ上げる必要はなかったのでは、と疑問でした。

ホリックのような作品でこういったストーリー展開を選ぶのはかなり挑戦だと思いました。逆に、映画は映画として割り切って、全然別の話にするならそれはそれで需要はあるのかもしれませんが、

中途半端に原作を踏襲しているので、変な端折り方というか、時間足りてない感、解釈違いの印象が拭えませんでした。

全体のストーリー構成以外でも、
メイクのコスプレ感、ミセの全く落ち着かない毒々しいライトとごちゃごちゃと並べられた装飾品、四月一日の暗すぎるキャラ、百目鬼くん・ひまわりちゃんとの原作とはかけ離れた関係性、女郎蜘蛛の下品で馬鹿そうなキャラ、"そういうのキライ"と言った対象が全くの見当違い
違和感、違和感、違和感...の連続でした。

作り込まれた映像美という蜷川ワールドは楽しめるとは思いますが、なんだか毒々しくて、表現する作品がホリックである必要はなかったのでは、合っていないのでは、と感じました。
静寂の美しさのなかにハッとさせられる凛とした美しさ、鋭さというものを表現できなかったものでしょうか。

これが舞台なら、よくここまでまとめた、と言えるのかもしれません。限られた時間で、実写でよく頑張った!というように。
ですが、CGも使って良い役者さんも使って、低コスト映画ではないでしょうに、様々な点で何故もっとこうしなかったんだろう、、と悔やまれます。

ホリックの世界を正しく理解し、表現できる人にもう一度映像化してほしい、と願ってしまいます。

役者さんの演技は全体的に良かったので、そこにかなり助けられている作品でした。

侑子さん役の柴咲さんは、きれいな方なのでコスプレメイクさせなくて良かったと思います。もう少し深みのある低い声を出せる人、どこか畏怖される美しさの凄みのある人が良かったのではと思います。
女郎蜘蛛の吉岡さんは、どうしても優しそうな印象があるので合ってなかったと思います。女郎蜘蛛が原作通りのキャラのほうがまだ合ってたかもしれません。

映画好き