「ケネスブラナーの祖国愛、ベルファスト愛」ベルファスト Masatoshi Matsumotoさんの映画レビュー(感想・評価)
ケネスブラナーの祖国愛、ベルファスト愛
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戦争は大人の都合。子ども目線では、戦時も平時も変わらない。
この映画は戦争ではないが、北アイルランドの事実上の内戦状態のベルファストが舞台の映画。その中で、主人公の少年バディの毎日を描いた。ここで内戦がなければ、クラスの女の子が好きになって、ドキドキしてみたり、クリスマスプレゼントでサンダーバードの仮装に喜んでみたり、そしてあの愛くるしい眼。映画館で家族と映画を楽しむ。
そんなに突飛な話ではない。
でも北アイルランド最大の都市、ベルファストの街は内戦状態。最終的にバディの一家は生命の保全のためにロンドンに移り住むのだが、子どもにとっては、カトリックであろうがプロテスタントであろうが関係ない。そこにあった毎日がすべて。引越したら、その女の子に会えなくなると泣く。戦争という大人の事情よりも、バディにとっては女の子と会えなくなる方が大問題。
結局、戦争は大人の事情で日常生活を壊す所作。その最大の犠牲者は子ども。逆を言えば、子ども目線はかつては、すべての大人が持っていたわけだし、それを思い出せば戦争の不合理さに思いは及ぶはず。
本編はモノクロだが作品の冒頭と終わり部分のみがカラーで、1998年のベルファスト合意で平和が訪れ、繁栄しているいまのベルファストが描かれている。今のベルファストにも一度行ってみたい。
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