「悪しき時も肯定しきるヒューマニズム」ベルファスト N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
悪しき時も肯定しきるヒューマニズム
大人の理屈。
子供の無邪気。
愛と暴力と、絆と断絶と。
誰もがうまく、良く、生きようとするほどに
上手く行かないその相手が「世の中」という
これほど大きなものはないはずもまるで見えない相手。
翻弄される主人公一家はどこにでもいる
きっと平凡な家族で、だからこそ時代を象徴しているように感じられた。
監督の半生を題材にしていると聞くが
克明に当時を描写した演出が秀逸なれど、
それをノスタルジックだといったところでセンチメンタルにはなっていない。
モノクロで映し出されておな力強く、イキイキとした伸びやかさにまみれると
そこに作り手が人を強く信じていることを、その温かな眼差しを感じて止まなかった。
古くとも「良き」時代とは言えなかった当時だが、
それすら肯定するような人間愛が本作を骨太に押し上げていると感じる。
そんなヒューマニズムがじんわりと、底から確かに伝わる一作だった。
一見ダメ夫かと思いきや、頼れるとーちゃんだったり、
最悪な夫婦仲かと思いきや、信頼し合っていたり、
老夫婦のストレートなのろけにほんわかしたり、
子供らの悪さに眉をひそめたり。
光景には日本なら、「昭和」という時代を過らせるのではなかろうか。
それにしても洗剤を選んだ理由が、地球に優しいからは吹いたなw
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