「少年の目が、訴えかけてくる」ベルファスト ダーレムさんの映画レビュー(感想・評価)
少年の目が、訴えかけてくる
ケネス・ブラナー監督が自らをを投影した、愛らしい少年が主人公。彼は生まれ育った北アイルランドの街で家族に慈しまれ、同じ路地に住む人々と笑い合い、TV番組や映画を、同級生の少女を、そして突如街を襲ってきた過激派たちを、目を見開き見つめる。その心に刻まれた喜びや悲しみ、戸惑いや疑問が、モノクロ映像を通して深く染み込んでくる。
結束の固い隣人たちの間に、宗派の違いというもっともらしい理屈を暴力的に投げ込み、憂さを晴らしにくる外部の大人たち。
悲惨な場面は撮らず、少年の目が捉えた世界を作品の軸に据えたところに、監督の信念を感じた。子どもは、未来は、守られるべきものであり、それは私たちの選択次第で可能になるのだと。
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