「人間の身勝手な争いは何年経っても無くならない」ベルファスト まっちゃまるさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の身勝手な争いは何年経っても無くならない
歴史上の出来事として認識していた北アイルランドの抗争の様子が、ケネス・ブラナーの幼少期の想い出として描かれ、また恐らく全く予想されていなかったウクライナの現状も生々しく心に過り観客の心にその情景は深く刺さるものとなった。子供の目の前で爆発が起こり突然近所が襲われる恐怖。そんな状況でも、子供らしく、いや、子供なりに、些細なことも観察しながら、頑張っていかなきゃ、という健気さが、時にコミカルに、可愛らしく描かれている。抗争の原因のひとつ、宗教の違いから、カトリックとプロテスタントの違いから、悔い改めの違いをネタにしたり、牧師の極端過ぎる善悪の選択についての説教が怖すぎたり、文化的に面白い部分も多い。人類が初めて月に降りたった頃。世界は希望に溢れているはずだったのに。去った者達、残った者達、失われた者達へという監督の想いは強く作品から感じた。
とにかくバデイ少年の表情が生き生きとして素晴らしい。おじいちゃんもおばあちゃんもまるで哲学者ように必要なものを与えてくれて、美人で強いママとパパ。ノスタルジーではなく、大切な故郷へのリスペクトとして、大切なものを受け取った感じがした。
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