「襲われたのはカトリック教徒の家。彼らがなにか?ただ宗派が違うだけよ。仲良く暮らしていたわ。」ベルファスト 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
襲われたのはカトリック教徒の家。彼らがなにか?ただ宗派が違うだけよ。仲良く暮らしていたわ。
まるで幻想の世界かと、時に見まごうモノクロの世界。険悪な大人たちのいさかいなど無縁のような美しい映像。その美しさは、過去の子供時代の記憶をたどっているからだろう。子供にとって、宗派の違い、という理由は理解しがたいもの。
心打たれるのは、この家族の愛の深さ。母の強い愛、父の献身、ばあちゃんの懐の深さ、じいちゃんのユーモアのセンスと格言のような諭し。そして、葬儀の後のパーティの雰囲気のよさ。それは故人を敬いうからこその皆のはしゃぎぶりに見える。そう、日本でだって、賑やかな精進落しはあるしそれでこそ故人は成仏できるというもの。「亡くなった悲しみよりも、出会えた幸せをかみしめて」とかそんな風なことを牧師さんは言った。たしか。それを確かめるかのような、夫婦のダンスはかっこよかったなあ。かっこよくて、なぜだか涙がこぼれた。
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