「ケネス・ブラナーがインディペンデントみたいな作品を撮った」ベルファスト かとしさんの映画レビュー(感想・評価)
ケネス・ブラナーがインディペンデントみたいな作品を撮った
ケネス・ブラナーは業界の大御所だけど、新たにこれほど瑞々しい感性の作品を撮るなんて驚き。彼の過去作とはかなり趣が異なる作品で、まるで初期のジャームッシュみたい。
まず白黒の撮影が見事。そして時折差しはさまれる懐かし映画のカラー映像が効いている。それに最後の空の青にはやられた。息をのむほど美しかった。
ベルファストという長年キリスト教の宗派対立の激しい土地の物語で、実際かなり過酷な現実があるのだけど、その中で生きる家族の日常が、どこかユーモラスだったり、愛おしかったり、とぼけていたり、その描写が素晴らしい。
そして主人公のジュード・ヒル君の演技の魅力。彼の演技と存在感は、文句なしにこの作品のキーポイントだろう。
脚本も素晴らしいので、これを書き、監督も務めるケネス・プラナーの才能恐るべし。
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