「何を観せたいのかわからなかった」ベルファスト りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
何を観せたいのかわからなかった
北アイルランドのベルファストで、9歳の少年バディは、家を空けることが多いが優しい父と母と兄、祖父母と平和な毎日を過ごしていた。しかし、1969年8月、プロテスタントの武装集団がカトリック住民へ攻撃を始めたため、穏やかだったベルファストの街は、バリケードで分断され、暴力と強奪の危険な街となり、バディと家族たちは故郷を離れるか決断を迫られる、という話。
もともとアイルランド全体がイギリス領だったけど、1921年にアイルランドが独立した時、北東部の一部はプロテスタントが多く居て、イギリスに残った事が背景に有る。1998年のベルファスト合意以降もIRAの活動など紛争地域という印象がある中で、1年前の2021年4月にも暴動が有ったし、この1969年8月だけじゃないだろ、って思い、特段見るべきものを感じなかった。
シリアやアフガニスタンを描いた作品や、現在のウクライナなどの方が遥かに危険で、そこに暮らす人達の方が感情移入出来る。
また、宗教だけの争いじゃないはずなのに、そこだけに焦点を当ててるのも違和感が有った。
ベルファストって北アイルランドの首都で人口30万人、都市圏60万人のそこそこ大きな街なのに、田舎の小さな街みたいに扱ってるのもおかしく感じた。
なぜモノクロで撮影する必要があったのかも不明。
唯一魅力的だったのは祖父母の優しい表情くらい。
評価が高いようだが、自分には響かず、良さが分からなかった。
そうですね。宗教や言葉の違いではないですよね。共感します。だから、この映画では、争いが起こる瞬間がうまく描かれていないと僕も思いました。
IRAやケベック州の独立闘争は『和平合意』と言うことで、今は封じ込められていますが、まだ、相当の熱がたまっていると思います。ウクライナとロシアの関係よりも根は深いと思います。なにしろ、相手は大英帝国ですから。拡大解釈をすれば、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドはイギリスですからね。この映画相当に大英帝国に忖度していると思いました。