「ベルファストを見つめる家族の視線」ベルファスト シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
ベルファストを見つめる家族の視線
北アイルランド紛争の中心であるベルファストを舞台に、ケネス・ブラナーの少年時代を瑞々しく描いた秀逸なドラマでした。少年の視点で描かれているので、政治的、宗教的カラーはおろかノスタルジーさえ抑制したタッチがかえって効果的です。一方で、隣人が迫害される事への少年の素朴な疑問は、いまだに世界中で繰り広げられる非寛容性を鋭く突いてきます。そんな少年の問いをしっかりと受け止め、間違った行いは厳しく糾す両親の姿勢は、慈愛に溢れていて感動しました。決して暗いシーンばかりでなく、歌ったりダンスしたりと当時のベルファストの住民の生活感が、美しいモノクロ画面で見事に映し出されますが、彼らの視線はどこか寂しげです。役者は全員当て描きしたような適役だけど、あえて言うならジュディ・デンチ。ラストの大写しに、女優魂を感じました。
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talismanさんのコメント
2022年3月30日
ディクトさん、私も泣いたです。環境は異なりますが、大好きな祖母がすぐに出てきました。お寺系のイベント好きの祖母!着物縫ったりいつも仕事してた、私たちのばあちゃん💞