劇場公開日 2023年6月30日

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「今日は三日月の夜だね、二人きりで歩こう。星が綺麗な夜だから、明日もきっと晴れるね。」断捨離パラダイス 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今日は三日月の夜だね、二人きりで歩こう。星が綺麗な夜だから、明日もきっと晴れるね。

2025年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

エンディングソングを聴きながら、ぽろぽろと涙がこぼれてきた。ここに出てきた人たちは、どこにでもいる普通の人たち。でも、ゴミを片付けられないって事情を抱えている。そんな人たちと、そんな人たちに関わる人たち。なんで涙が出てきたのか、わからないけど、たぶん、ここには人を貶めるとか、攻撃するとか、そんな世知辛い世間はなくて、そっと寄り添う優しさがあるからだと思う。けして図々しくなく、押し付けがましくもなく、説教じみてもなく、ただ、いろんな人の存在を否定しない。もうひとつ言うと、肯定するとまでの積極性もない。そこに居心地の良さがあるのだと思う。だから皆、けして解決したとは思えなくても、肩の荷を軽くした表情で終わるのだと思う。そして最後にこの歌が、なんでもない世間話のように、月が出ているから歩いてみよう、明日も晴れるよね、とお相手(恋人だろう)に語りかける。そんな他愛のない話が、人生にとってどれほど幸せなことなのか、気付いている人にはとても刺さる映画なのは間違いがない。
(あと、あの彼はあのママと同じ仕事をしてたんだと思う。きっと。その匂わせ具合がちょうどいい)

栗太郎