「行政法規の観点から説明不足に思える…。」夢みる小学校 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
行政法規の観点から説明不足に思える…。
今年64本目(合計337本目/今月(2022年3月度)6本目)。
大阪市では1か月以上遅れていたもので、ストーリー(といっても、ドキュメンタリー映画になるので、ストーリーというストーリーは存在しない)についてはばっさり省略します。
他の方も触れれいた通り、作内には3つの学校が存在するところ、最初の学校(ここは学校教育法で定められる私学の扱い)が大半で、ほかの2つがおまけでよく趣旨がわからない点、音声が突然音量が厳しくわかりにくいなどあるかな…と思います。
映画って、何らかの意味で「これからどうしようか」という問題的のタイプ(ドキュメンタリー映画や、いわゆる「人権枠」と言えるもの)はあると思うのですが、なにせ小学校ですので…。この映画をみて「いや、小学校からやり直したい」というのは教育行政法上も想定範疇を超えると思います。
裏を返せば、「こういう小学校の取り組みもありますよ」という点で作りたかったのではないかと思いますが、いかんせん「明日から実行できる取り組み」ではない以上、「趣旨は理解できるが、問題提起・人権枠」という観点では評価点は下がるのではないかと思えます。
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(減点0.8) この映画には3つの学校が出ます、大半は最初に触れた私学で、もう2つはおまけ程度に出る程度です。
私学であれば、いわゆる「越境入学」の観点がないので、「常識的範囲で通える範囲」であれば、試験等によって合否判定は出ます(さすがに、北海道から行くだの、非現実的なものは書類レベルから落とされる)。
問題は「申し訳ない程度にでる2つの学校で、この2つは「公教育の市立の小中学校」であるという点です。
日本ではいわゆる「越境入学の禁止」が強く言われていて(今でも「越境入学はやめましょう!」とか看板・ポスターはありますね)、一方でこのようなフリーな小中学校があるかと思えば、もう一方では普通に小学・中学(中学では、中間期末試験もあります)もあるため、損得関係が異常に激しい問題を抱えます。
小中学校においては、住民票などをもとにして「●●小学(中学)を指定します」という通知がきますが、このような「緩い学校」があるのなら、形式的にアパート等を借りてそれらの学校に入ることも許されることになります。しかし、学校の入学定員にも限界は当然あり、また、それをみんなが繰り返せば他の小中学校が定員割れ・定員割れ寸前になることも想定できることです。
そうであるなら、まだ私立ならともかく「公教育である行政が行う県立・市立の学校」で住民票のみをもって極端に有利不利が生じる(1つは中学校なので、中間期末試験がないことから有利不利が明確に生じる)のは、国民の責任ではなく「学校の入学者数を均等にするという行政の政策」に過ぎませんが、国民はそれに従う義務はありません(憲法/行政法)。換言すれば、それらの学校に入りたいためだけに住所を一時的にうつせば行政は何も言えなくなることになりますが、みんながみんあそうすれば学校はパンクします(そして、他の「普通の」学校は定員割れないし、それに近い状況になる)。
私学でそれをやるのは否定しませんが、公教育(県立・市立)でそれをするのは、「国民が行政に協力する義務などない」(憲法/行政法(地方自治法))の観点では「少なからずの人が住民票をうつせばどうするのか」という問題提起がまるでかけていて、これはこれでどうなのか…というところです。
※ 特に「中学校が入っている」という点(高校は義務教育ではないが、内申点を加味して選抜されるように、事実上の義務教育となっている)がまずい、という論点です。
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この映画、文科省選定ということになっているのですが、文科省としては「そのように潜脱的に住民票をうつして学校教育を混乱させることを容認しているのか」すらも不明です。
※ もっとも、映画の趣旨的に「いろいろな学校、これからの学校の在り方を見てほしいという点で選定したのであり、こういう点は論点にしなかったのではないかと思いますが、都道府県立・市立は地方行政の範囲で、「そこに問題を押し付けられても」困ります。