母性のレビュー・感想・評価
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人生は、誰かに気に入られるためでない。
狂気的な母依存。
無理もない。母親がくれていた丁寧な無償の愛が心地良すぎて、他の人がくれる愛では満たされなくなってしまっているのだ。カリスマ大地真央。
自立を育てなかった事が、母の最大ミステイク。
火事の中、娘がまず孫を助けるように、鋏で頸動脈を刺して命をかけてまで娘の母性発揮を願ったが、叶わなかった。
戸田恵梨香演じるルミ子は、もう取り憑かれたように、全てが母のため。母の気持ちを考えろ。娘の気持ちは無視。自分の気持ちは無視、というかない。
その目に映るのは母亡き後も母のみ。
最初は母親の大地真央の愛情に偏りがあるのかなと思ったが、愛情というより、過保護。
娘の結婚後もルミ子の要請があればすぐに訪ねてくるし、娘の夫が夜勤で留守でも、家にいる。
家族写真の手前に座る。
夫からしたら居心地良くはないだろう。
そんなにべったりならルミ子が結婚するまでに家事は教えてあげておけば。
ルミ子が意思を持つように育てたら良かった。
そして、ルミ子の父親も、ルミ子の夫同様に、ルミ子の母におされて空気だったのだろう。
ルミ子が、自分の娘があるがまま母親ルミ子を求めていてもその気持ちを受け取らない。娘が本当の望みを口にしても聞かない。それを見かねて、居心地が悪いルミ子の夫は幼馴染と浮気。
ルミ子は誰かに認めてもらわないと、自分で自分を認めることができないから、母親亡きあとも夫の母親に奉仕を続ける。最期には、痴呆の夫の母も「大切な娘」と認めてくれたけれど。これで満足なのか?
この世の全ての人間が、お母さん大好き!を我慢せずに済んで、心が満たされて、大人になったら今度は自分の子に限らずそこら中の子供の心を満たせたら。世界は平和に回るのに。
お嬢さまのおままごとと揶揄されてしまう家庭生活。
料理が苦手だったからいけないの?
本音を言えないからなのだろうな、おそらく。
ルミ子は話し相手が神父様しかいなさそう。
唯一の友人は夫と浮気。
ルミ子本人の心の声はわからないものの、話していても大丈夫?としかならないからなかなか交友関係は築きにくいだろう。頷ける。
夫も、父親の暴力に堪えていた過去がある。
言葉で言うと機能不全と言うのかもしれないが、
なんというか味気なく、温かい家庭生活を知らないから、ルミ子の代わりに娘に愛を注がない。何故!?
夫の母親を見れば頷ける。
夫の母も、高熱でも畑仕事に駆り出されていて、それをルミ子に繰り返す負の連鎖の中にいる。
娘の清佳は負の連鎖を繰り返さず、亨と幸せになって欲しい。また娘。怖い。
連鎖環境から抜け出した夫の妹も、駆け落ち後も子供を産んではいない様子。。
連鎖を止めるには、子供を持たない選択をする以外ないのか?
いや、人生は誰かに気に入られるためではなく、
何を思い何をしたいのかの心の声を優先させても良いということ。人のお役に立てたら素晴らしいし、思いやりは必要だが、人生の意思決定は自分でしてその責任を取らなければならない。
戸田恵梨香の演技が一貫して、すごく上手い。
若い頃からずっと、誰かに気に入られることばかりで、何を思うのかよくわからない役。
ずっと見ていても中を見つめない目線で見ているが、
「私が間違えていたのです」だけちゃんと瞳ごと見る。すごい。しかも歳はちゃんととって見える。
それでも、清佳の妊娠報告に「怖がらなくて良いのよ。私達の命を繋いでくれてありがとう。」と母に言われた言葉を繰り返す。もう、病気。
それがものすごく伝わる演技の戸田恵梨香。すごい。
人間的な…
愛されたい娘。愛そうとしない母。
それぞれを演じるのが戸田恵梨香と永野芽郁
歳は、それほど離れている訳でもないのにこれだけの親子をというもの演じるのは、すごいと感じた。
それぞれの視点から同じ場面をどう切り取ってみるのか?がとても面白いと感じた。
母性というものが女性ならでは、のもである。
女性が子供から大人になるにつれて、家族を持ち、子供を持ち成長していく。
その過程で娘から母に変わっていくのか。
それでもいつまでも娘でありたいと願う女性の心理も描かれていて、そういう感情もあるんだなと感じた。
ただ、姑といびりが酷いと感じる場面もあったが、身近の所でも同じ様な事があるのかもしれないと思ってしまった。
それぞれの生き方がある中で正しくあろうとすればするほど、狂ってしまう。
まさに人間らしいなと感じた作品でした。
演技上手い
全員の演技が上手すぎる。ここまでそれぞれの感情がリアルに伝わるのはなかなかだなあ流石としか言いようがない
母と娘それぞれの視点で見れるのも湊かなえって感じですき!母視点では抱きしめてるのに娘視点では首絞めてるのめちゃくちゃゾッとしたすきです、あと首吊るまで名前呼ぶ表現が一切無いのも良い
中盤めちゃくちゃ良かったけどラスト微妙かなー、娘ももしかして?!みたいな曖昧でえぐい終わり方期待しちゃった
超きもいし大嫌いだけどなんだかんだ義母がいちばん母性に溢れてるよね
親ガチャ失敗、毒親の鬱ストーリー
母性以前に普通に人格障害
恵まれた家庭で愛をたくさん注がれて育っても
やっぱりおかしいやつはおかしいんだなあ、の感想
父は早くに他界したと思われる
裕福な家庭で穏やかな時間を過ごす母娘
娘の母への執念がおかしくて、
結婚して自分に子供ができても最愛は母
実の母が亡くなってからは
義母に愛されることをなによりも大事に生活
もう5歳になる娘の死にかけに、娘の前で、
「娘なんてまた産めばいい」とか、
娘が自殺図ったときに
「母が命懸けで守った命だから返り咲いてほしい」
なんて言葉が出てくるの
本当に確実に頭が逝ってる人の話すぎて
親になるべきじゃない人
なぜ母親の死後、
実家に身を寄せなかったのか?
そうすれば少なくとも
義母からあんな仕打ちを受けることはなかったのに、
と思ったけど、母親に受け入れられたい、
そういうことだったのか?
夫は幼馴染みと妻の実家で不倫、
母親が自分の妻と娘いじめてるのに見て見ぬふり
こんなのが揃って良心なんて子供が可哀想すぎる
母親に愛されず、
友達ともうまい関係性築けなかったからこそ
居酒屋で隣の客に口出しするようなヤバいやつ、
っていうところだけ現実味があってよかった
とにかく怖い
出てくる登場人物全員が猟奇的
でも、これが人間。
私も人の子であり人の親であるけど
常々「子育て」とは恐ろしいものであると思っています。
大なり小なり、人間誰しも歪みを抱えていて
親の歪みを存分に受けて子供達は素直に育つので、親のやり方次第で悪人にも良人にもなり得る。
子供たちの能力のすごいところは、
親の仕草や表情や声色で、親自身は勘付かれないよう装ったとしても
それらをかなりの確率で汲み取る所。
愛情でさえ歪んでしまえばそれはもう次の新たな大きな歪みの形成になるから。
その恐ろしさを表現したような映画。
母と娘の話
まず、母親からの目線。次に娘からの目線で物語が進む。自分の母親に依存して判断基準は母親。そんな娘が母親になって、天災で孫を助ける為に自殺した祖母。自分の娘を助ける為に依存していた自分の母親が死んだ事で、更に我が子である娘を愛せなくなっていく...でも、自分では娘を愛していると思っている。そして、リアルな世界でも自分はそんなつもりはなく、こうしたと思っていても受け取る相手が違えば自分が思っている事とは違った様に見えて受け取られるってことが描かれていて、子育てをしている最中ですがハッとさせられました。
母と娘、果たしてあなたはどちらの立場か
ただの憎悪劇かと思っていたけれど、そうではなかった。
誰しも人間になら予め備わっている我が子を愛しいと想う気持ち。当たり前のように描いてた「母性」が必ずしもそうではないとしたら。これは母性の在り方の問題にも捉えられ、又、母性の有無の問題にも捉えられます。
娘を愛せない母と愛されたい娘。
お嬢様のように大切に大切に母(大地真央)からの愛情を受けて育ったルリ子(戸田恵梨香)。
ルリ子にとっては母が全てで、我が子を慈しみ娘に母として慕われるより、ずっと母に愛され続ける娘でありたかった。
だから愛する母のことを否定するような行動や態度は嫌い、どんな時も娘より母が最優先だった。
一方そんなルリ子の娘の清佳(永野芽郁)は、幼い頃から自分に愛が向いていないと気付きながらも、気を遣いながら必死に母からの愛情を望んでいた。
突如として最愛の母を亡くしたルリ子は旦那の家で義母から虐げられ、こき使われ、益々娘を愛せる状態ではなくなります。
清佳に向けられる言葉や態度はどれも棘のようで傷つくものばかり。
こうまでされても、清佳は母に愛されようと、義母から母を守ろうと努力しました。
その清佳の行動全てがルリ子にとっては「余計なこと」でしかなかった。
そして清佳はルリ子の最愛の人であるルリ子の母がどうして亡くなったのか、その真実を知ります。
ラストシーンで清佳のお腹に新しい命が宿っていることが分かります。
自分が子を持つ母親となった清佳は果たしてどちらの立場となるのか。母性とは一体何なのか。
深く考えさせられる作品でした。
母性より父性を問いたくなる!
ミスリードその①
事故か?自殺か?他殺か?
この予告編でこの映画はミステリーなのかと思って観ると、
これがミスリード。
謎解きの面白さはほとんどありません。
検証その①
大地真央の子育ての失敗例が戸田恵梨香
戸田恵梨香の母親役が大地真央・・・
そう聞いた時、これ以上ないキャスティングだと思った。
大地真央って《嘘臭さの塊り》
ぜんぜん人間臭くなくて歌ったりセリフを話すAIみたい。
(生活感が全くない人です。)
原作を読んでいたので、これ以上の適役は考えられない。 と思いました。
戸田恵梨香をお姫様に育てたかったの?
婿というか娘の夫を選ぶのもまるで下手。
終わりの方で、父親はビーフシチューも食べたことなかったって?
えーっ、あの聖母様がビーフシチューも教えてない?
作り方を知らない?
実は母子家庭で生活に困窮していたのが現実だったのかもしれません。
検証その②
《これが書けたら、私は小説家を辞めてもいい!》
これって湊かなえの強烈なコマーシャル。
自己プロデュース。
嫌ミスならぬ嫌らしプッシュ・・・
かくしてベストセラーは生まれた。
ご本人がそう語る程の作品じゃない気がします。
湊かなえの小説としては面白くない。
2時間観ててクスリとも笑えなかった。
仮説その①
原作も予告編もレビューも一切みないで、
白紙の状態でみたら3倍は楽しめたのではと思う。
仮説その②
戸田恵梨香の母親が高畑淳子だったら?
高畑淳子は大地真央みたいにオブラートをかけた愛し方をしてない。
無我夢中で愛を注ぎ憤死する、みたいな!
それでも娘は出て行くんだから、育て方も愛し方も
関係ないのかもしれない。
疑問点その①
父親の存在感が薄すぎる。
姑にいびられ、こき使われる妻をまるっきり見ないふりをする夫。
知らんぷりにも程がある。
母親が娘を愛さなかったら父親は娘を不憫に思い溺愛するでしょ。
高畑淳子に夫も殆ど出てこない。
大地真央の夫も出て来ない。
(男不在なのです。)
ホント嘘くさい映画だった。
唯一正直なキャラクターは永野芽郁の演じる娘。
彼女が居るから救われました。
娘が母をかばうと、
母親・戸田恵梨香は、あなたの態度が私を悪い立場に
追いやる・・・と娘を叱る。
子供にベターっと依存するママ、
自分の思い通りに子供を私物化するママ、
毒母よりは良いかな!!
疲れる映画だった。
個人的には面白かったです!
(ネタバレですので鑑賞してから読んで下さい)
意外に他レビューの評価は低いようですが、個人的には面白かったです。
おそらく低いレビューが多いのは、(一般的に想像する)「母性」のないルミ子(戸田恵梨香さん)に対してほとんど理解が及ばなかったのが理由なのではとは思われました。
しかし、時代背景がほとんど描写されていないから分かりにくいですが、ルミ子の夫(三浦誠己さん)とルミ子の親友(中村ゆりさん)が学生運動をしていたとの描写から、ルミ子は団塊の世代(現在で言うと70代~)であることが分かります。
となると、ルミ子の娘の清佳(永野芽郁さん)は団塊ジュニア(現在で言うと50代前後)の世代になると思われます。
つまり、学生運動後の高度成長期にがむしゃらに働いていた夫と、夫に家庭のことに関心をほぼ払われず精神的に孤立していた専業主婦の妻とその母親、そしてその専業主婦の娘の話だと考えれば、この映画のストーリーもしっくりくるのではと思われました。
こういう精神的に孤立していて、あのような振る舞いしか出来ない女性はある時期確実にいたのだと思われます。
仮に、こんな(一般的に想像する)「母性」のないルミ子や、ひたすらルミ子に嫌味を言い続け実の娘を一方的に溺愛しているルミ子の義母(高畑淳子さん)などの感覚が理解できない人が現在では大半なのであれば、今の時代は女性にとっては幾分かは当時よりはましな精神状態に置かれるようになったともいえると思われます。
そういう意味では、この映画はしっかりと初めから時代背景は現在とは違うと描いた方が良かったのかもしれません。
個人的には、火事でルミ子の実母(大地真央さん)が自ら命を絶つ場面は、さすがにそれはないだろう、とは思われましたが、それ以外は時代背景踏まえて個人的には、面白く見ました。
あれ…?思ってたほど印象に残らなかった
原作好きで、結構期待していたんだけど、終わり方というかなんか不完全燃焼な感じがしました。
戸田恵梨香さんも母親役をやるようになったんですねー!
大地真央さんとの母娘具合はとても良かった!
お母さんが大好きで大切に育てられて、自分の娘までもお母さんに取られた感じがしてるところとか、なかなかでした。
子役の子も聞き分けの良いところを演じるところとかよかった。
高畑さんの嫌な姑関係とか、それでも甲斐甲斐しく世話するところとか、見ていて泣けます。
それでも最初は良かったのにね。孫はいい子だと褒めたりしてたのに。家に転がり込んでから冷たくなったのね。
お母さん側からの視点は悪くないのに、娘からの視点が分かりにくかったかなあ。
めいちゃんがそんなに印象に残らなかったのが残念。
これは演出もあるかも。お母さんがそこまで嫌な人に見えなかったのは、気持ちがそっちに持っていかれたからなんだろうなあ。
娘からはもっと違う側面の母がみえてもよかったのにな。
そして母の味方すらしない父親も情けなかったなあ。最後酷すぎでしょ。
妻の実家で何してんですか、人でなしか、、あの二人も結構どうなったのかよくわからなかったなあ。
最初、死んだ高校生が娘かと思ってて、生きてるし、あれ?とわからなくなってました。
教師になったってて同僚の元学校で事件があったってことなんですね。わかりにくかったなあ。
それぞれの娘の物語
母と娘の関係を3世代で描く。
ただ3世代の母というより娘の想いと願い。
娘へと大きな愛情を掛けること、それは山から湧き出る水が川の様に海へと流れることを願い母から娘、娘からその娘へと引き継がれる希望と現実。
それぞれの想いをパート毎に描き、母と娘の関係性を浮かび上がらせるのだが観てるものにその想いとの乖離を感じつつ物語は終着点へと進むのだが、物語の流れは干上がった川のごとく停滞してる様に感じた。
私が男だからなのかもしれないが。
スッキリしたものを求めたわけでは無いがどうしても感情を揺さぶられる想いを感じることがなかった。
スゴいところ✨と、残念なところ💧
娘の視点と母の視点…で、違うように見えるのはどう描くのか期待して見てみました。
戸田恵梨香さんと永野芽郁さん、それぞれの絶妙な、微妙なお芝居の違いで「母からはこう見えるんだ…」「娘からするとこんな感じに見えるのか…」と女優さんのお芝居のクオリティに感心しました。
特に表情!微妙な目つきとかすごい!
アングルやカメラワーク、灯りの当て方ももちろん上手に組み合わさっていると思います。
何度も見返したくなるようなシーンがいくつもありました。
残念だったのは「予算」なのかなぁ…
※以下、ネタバレ可能性あり!
1つはキャスティングと、もう1つは一番重要なシーン(大地真央さんとの火災での別れのシーン)の作り方がどうにも…という感じ。
肝心なポジションは顔の見える役者さん(というとご本人方に失礼にはなりますが)だといいのかなぁ…と個人的には思います。
「誰、この人?◯◯さんっぽいけど違うよな…」が気になって、作品に集中できないことがあるんだと実感しました。
「この人は誰っぽいな…」とかも考えちゃう。
そこに時間取られたくない。
脇役と言うにはあまりに大事なポジションですし…
でもこれらは予算の都合で、顔のある役者さんがもうツモれなかったのだろうと推測しました。
それと火災のシーン。
あれはおそらく原作を読んだら「ここはどう描くんだろう」とみんなが期待するところかなと。
にしては残念すぎる。
かなりタイトに見せていて(広範囲で火災の絵は作れなかったのだろうと思いますが)、スケール感がこじんまり…。
これも予算かな…とか気になるともう集中できない。
余計なことを考えさせない作品ってつくづくすごいんだなと思います。
期待が大きかった分、落胆も大きくなっちゃうかな。
そんな感想です。
母性って..
母性ってやっぱり元々備わってるものではないし、ひとりひとりによって違うものだと思う。
生きた時代も違う、育った環境も違うからこその様々な母性があって、母娘であっても別人格の人間であって、改めて子育ては一筋縄ではいかないのだろうなぁと思った。
ラスト、みんな幸せでよかったーと思ったら、ルミ子が律の家に消えていったときはちょっと戦慄。ルミ子の"ずっと娘でいたい"って想いはかなっと言えるのかもしれないけど..
母親が及ぼす魔力
え?このラストで正解なの??
戸田恵梨香さんが凄まじかった…。
もう本年度のアカデミー主演女優賞は戸田さんしか思い浮かばない。
纏う空気感が尋常ではなく、それを継続させる表現力も卓越し円熟してる。彼女を観れただけでも眼福だと思える。
なのだけど…物語がよく分からない。
まるで「詳細は小説にて」とはぐらかされたような気分になってる。
タイトルは「母性」
大きく包み込むような愛情を連想しはするが、今作をみる限り支配者のように見えてくる。
自分の価値観を子供に植え付け、自分が死んだ後にでも変わらぬ影響力を放ち続ける呪詛…いや、まぁ、確かに子育てのプロセスは変わらないとは思うけど、与える価値観が歪んでしまえば、こんなに取り返しのつかない事はないのではとは思う。
コレは警鐘なのか?
歪んだ価値観が蔓延してる現代で、それをまさに空気のように吸収してきた世代たち。
極端ではあるが、自主性を放棄させられ親の言葉に盲従してきた者達への。いや、それも浅はかな詮索かもとは思う。
戸田さんの役を思い返すに、母親と呼ばれる女性たちの業を一身に背負っていたように思う。
極端だとは思うけど、根源にあるものは変わらないんではないかと思えてしまう。大なり小なり降りかかるもので、戸田さんの場合は極大だった。
彼女が唯一、彼女として向き合える対象が娘だった。
それ以外の彼女は常にベールを纏ってる。
我慢しか選択肢がないような状態だ。
その生気のない顔からは読み取れるものがない。
唯一、娘にだけ不満を露わにする。血縁とはこうも強固で厄介なものかと思えてしまう。
本作では、異なる視点からなる解釈が描かれはするのだが、見終わって思うのは、それすら主観でしかないのではと思う。どちらも何かが抜け落ちてるのではないのかと思う。核となる認めたくない何かを巧妙に回避する為の正当性の付与…記憶の改竄にもそういうものが含まれる場合もある。
本質を語らない事こそが、もしくは語れない状況こそが、この作品の本質なのかと考えてしまう。
戸田さんの懺悔における一言が印象的だった。
「私が間違っていたのです」
その一言を発する彼女は死霊のような空気を纏う。懺悔が許される空間で牧師から懺悔を促されソレが肯定される。そんな中でも彼女は本心を吐露する事はなく、あるべき姿に殉じたように見えた。
「母性」という戒め。
そんな側面を垣間見た気になった。
なぜかハッピーエンド感が漂うエンディング。けれど、何一つ解決されず、何一つ明かされないままに思う。そんな本作だからこそ小説に興味が湧いた。
映画としてはどうなのだと思うけれど、戸田さんは絶品だった。
狂
最後の2、3分まではとても面白く見れた。
同じ事件を別の人物の視点から描くのは邦画だと「ミセスノイズィ」や洋画だと「最後の決闘裁判」なんかでも使用された表現方法だが飽きることがない。
殊に今回は戸田恵梨香さんというスーパー演技派の女優さんがいらっしゃることでよりその変化が際立つ。
特に目が素晴らしい。
母を見る目と母以外を見る目の落差にはゾクっとする。
母も娘も母から受けた仕打ちは真反対なのに母に執着する。
永野芽郁さん演じる清佳だって母から愛されようと「手が気持ち悪い」と言われれば執拗に手を洗う。
最後居酒屋でも念入りに手を洗って出てきたところからもまだ母に対する執着があるのかもしれない。
そんなふうに想像できる描写があったのに、ラスト清佳に「私はどっちかな」なんて言わせるのは途端に作品がチープになる気がして少し残念だった。
永野芽郁さんは高校生と妊娠した母の姿を的確に演じ分けていて今作でも安定の演技力。
清佳が父と父の浮気相手に対して正論をぶつけるところはスカッとした。
こんな連中いるのかね?
基本的には異常者の物語。
それならそれで構わないんですが、サイコパスがテーマである事に途中まで気付かなかったので、非常にストレスフルでした。
サイコパス抜きにしても、この人物造形は少しおかしいよ。特に孫。
あんな風に大人から阻害され続けた子供は、周囲に対して無干渉に育つと思う。あんなマザコンに育つでしょうか…?
私の相貌認識能力に問題があるかもしれんけど、冒頭の教師=成長後の孫という事に最終盤まで気付けなかった。
原作ではそれがミスディレクションとして上手く機能してたかもしれないけど、映画ではどうなんだろ?成長後の姿は最後まで出さない方が良かったと思う。
予告編も「看板に偽りあり」な気がする。親子の秘密なんか大した事なかったし(しかも観てれば誰でも予想がつく)。
ラストが良い話風で終わったのも気に入らない。あんなに丸く収まる訳ないだろ。
ホラーミステリー風味のホームドラマでした。
ただ愛されたい「娘」たち
イヤミスの女王 湊かなえ原作で
「母性」というタイトル📖’、
それだけで不穏な空気が漂いまくってます。
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「母性」とは…。
女性のもつ母親としての性質、
母親として自分の子どもを
守り育てようとする本能的特質。
・・・・・・・・コトバンクより
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母性・・・
女なら誰でももっている性質と
言われても困るのです。
親子と言えど相性があって
女親と娘なんてのは、無二の親友のようにも
なれる反面、対立しあって憎しみ合うような
パターンも少なからずある。
思春期の頃にどちらも経験し
晩年には良好な関係性を築く事もできる。
女親と娘とはなかなかバランスが大変だ。
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まさに本作はそんなお話しだった。
予告からは、もっと陰惨な物語かと
想像していたけど、それは違っていた。
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ルミ子の実母(大地真央)の良妻賢母っぷりが
時に毒親に見え、またあるシーンでは
某CMを思い出させ、吹き出してしまった。
あれ、絶対計算してると思うw
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ルミ子の義母(高畑順子)が本当に
く〇BBAでまじむかつく←褒めてるw
その義母に献身的なルミ子(戸田恵梨香)を
応援したくなるのだが、自分が「娘」としての
立ち振る舞いは、きちんとできても(義母になぜ嫌われるかわからんほど)
「母」としては…(ry
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清香(永野芽衣)の母親に愛されたい娘が
とにかく痛々しくて泣ける。
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同じシーンを母親視点と娘視点で語る手法で
同じシーンのはずなのに色味、音、表情が
180度変わるのも面白かった。
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