「"母と娘"がキーとなっているが、私的には大人の汚さが良く分かる作品だった。きっとこの作品に"親"という存在はいなかったんじゃなかろうか…」母性 つゆりさんの映画レビュー(感想・評価)
"母と娘"がキーとなっているが、私的には大人の汚さが良く分かる作品だった。きっとこの作品に"親"という存在はいなかったんじゃなかろうか…
まず先にやっぱり告白の様な衝撃は感じられなくて残念ではあったけども、それ以上に内容が私にブッ刺さった作品だったと思います。本当に観に行ってよかったです。3.5かなと思ったけど、4.0にしときます。
ずっと母ルミ子は「母親に愛されたい"娘"」のままで、娘清佳は「母親に愛されたい娘(子供)」で一方通行でしかなかったのはよく理解出来た。
その上で私は「大人って嫌な生き物だな、やっぱ嫌いだな」と思えた作品だった。
多分私の親は毒親で、共感してしまったり、胸糞悪い思いをしたシーンが多々あって、レビューなんてあまりやらないんだけども、感想というか感情を自分の為にも整理したくて、そう思えたシーンを綴っていきたいと思います。
・義母が祖父母の参観日におもてなしをされて「鼻が高かったよ、流石田所の娘だ」発言。大した家でもない癖にw
・2番目に印象的だったのが、清佳「だったら子供の前で言わないでよ」と反論した際に徹底的に追い詰めようとした義母の存在。「うわ…これだから大人は嫌いだ…」と思った。そして機嫌の悪い時の私の母の顔によく似ていて、言っていた内容は違えど、私の運転について口うるさくなっていた父の言い方とも似ているなと思った。あと途中りっちゃんの「だって私働いてるもん」の発言が「私は関係ない」と言ってる様でちょっとイラっときた。幼かった頃の私の家と似ているなとも思った。
子供がやっとの思いで紡いだ言葉を頭ごなしに力で潰す大人の様が本当胸糞悪くて大嫌い。
・1番に印象的だったのがやっぱり浮気がバレた所。
ドラマ「わたしたちはどうかしている」を原作と共に見ていた私的に、冒頭で中村ゆりが出てきた時既に「あっ、察し…」と察した通りの展開で笑ってしまった。
その中村ゆり演じる浮気女が「あなたは世間を知らない、大人は大変なのよ…」と物凄い上から目線に胸糞悪い思いをした。何言ってやがんだ不倫してる癖に…どの口叩いてんだよ、大人なら大人の大変さを教えるのが大人だろ、面倒くさがって「大変なの」で片付けんなや、「小さな絶望の積み重ねが人を大人にするのです」とナナミンの如く教えてやれやクズが。と、僕は思いました、まる。
父親も父親で清佳の事は愛していなかったろうし、あれも"父"ではなくて"息子"のままだったのではないかと思う。
あと気づいたのが、母の実家の玄関を開けると赤い薔薇の暗い絵はまあ火事で無くなってもおかしくはないだろうが、それに相対する様に水色の紫陽花の明るい絵が飾られていた事。
あの場で、あの状況で、清佳はよく立ち向かったと思うし、「よく言った!」とも思った。酒の瓶を割るんじゃなくて、浮気女に投げつければ良かったのよ…!!というか「子供」と思っている子の前でタバコ吸うなよ…そういうとこだよな…"お前ら"…
あの場だけに限った事ではないが、"親"と言う存在はあの場どころか、この作品自体ににはいなかったように思える。
・まあこれは誰もが思ったであろう事だけど、母ルミ子の証言の曲げ方だな。
ルミ子目線…
「お弁当落としちゃった☆」「小鳥さんにしたら?」「(抱きしめて)愛してる♡」
清佳目線…
「え、母お弁当床に叩きつけた…??」「え、お弁当ほっといて父のとこ行く…?『小鳥さんにしろや』あ、うん…(怖…」「(首絞めて)『愛してる♡』」
こういうことってルミ子みたいに歪んでいなくてもやる人はやるよね…
あとなんかあったかなぁ…?
思い出せないだけであるかもしれないしないかもしれないけど、とりあえず最後に駆け落ちした男とりっちゃんが幸せそうでちょっと救われた。そして清佳ちゃんも前を向いて歩いて終わってなんか…「…うん…うん……!」となった。
やっぱり1度きりの人生なんだ、誰かに献身して生きるのなんてゴメンだ。他人に献身するくらいなら自分を大事にして生きていきたいと再び思えた。
私自身、「母か娘か」と聞かれれば圧倒的に"娘"です。というより、生涯どう足掻いても"母"というものにはなれないと思ってます。それは私の母が"母"ではなかったり、姉も"娘"のまま母親になっているからとか関係ないしそもそも2人ともちゃんと"母"であるかもしれないし…"娘"というか「見た目は大人素顔が子供」の私には分かりません。
あと、疑問に思ったのが、大人になった清佳が聞いた自殺した子の母親の証言とルミ子やルミ子の実母が言っていた事「愛能う限り娘を育ててきました」がなぜ一致するのか、腑に落ちません。そんな有名な台詞?これからなるかもだけど…
あと、個人的にこの作品に"親"はいないって私は思うけど、同時に「じゃあルミ子の実母は?」とも思うけど……ルミ子の実母は「娘に愛されたい"娘"」だったらしっくりくるかなぁ…って。あんな無愛想な田所と結婚の話が出てきても、ゴリゴリに後押ししていたし、結婚した後も娘にべったりで、清佳が産まれても尚まだまだべったり…あんなもんか?…私の母と姉以上のベッタリ具合だったな。
りっちゃんの如く誰かにお金を借りようともせず、自分の力だけでお金貯めて、早く実家脱出しよ。
(毒親であったとしても職場の人達には恵まれている方だと思うし、なんなら職場の方が居心地が良いとさえ思える時もありますが、なんとかやれてます。がんばるます。)