「若手陣の初々しくも逞しいお芝居と美しい世界観」HOMESTAY(ホームステイ) あおねるさんの映画レビュー(感想・評価)
若手陣の初々しくも逞しいお芝居と美しい世界観
この作品は山田杏奈さん、八木莉可子さんと注目の若手演技派女優さんが出演で気になっていた作品です。
主演の長尾謙杜さんのお芝居は初めて拝見しましたが、本当の小林真という人間がどのようなキャラクターなのか分からない前提でストーリーが進んでいくので、その中で戸惑いや感情の不器用さを全面に出すお芝居はとてもお上手だと思いました。
真はなぜ死んだのか。
人は皆悩みを抱えていて、その悩みの重さは人それぞれ違うし、自分を否定されることは何よりの悲しみだと思います。
受け入れてもらえない悲しさや悔しさ、自分の信じていた人に裏切られたという感情から自暴自棄になり、シロと真の感情はシンクロしていきます。やがてシロは生前の真と同じ行動を取る。
真は生前自分の周りを取り巻く環境の残酷さに気付き服毒自殺を図ったのだった。
シロは真が自殺した理由を「真に気付いてやれなかった全員が真を自殺に追い込んだんだ」と管理人に答えるが、砂時計は止まらずお手つき2回目で残りの回答数は1回。そして期限は8日のみとなった。
しかしやがてシロは周りの人達の真に対する本当の思い、そして苦しんでいたのは真だけではなかったこと、周りの人達の心の痛みにも触れていき、自分からぶつかっていかなければ何も解決しないことに気付かされます。
管理人を探し出したシロは、自分は転生できなくていいから真に体を返してやってほしいとたのみます。すると管理人は希望を叶える代わりに「明日までにお前が前世で犯した過ちを思い出せ」と問題を追加します。
シロはホームステイのタイムリミットが近づき苦しみ倒れながら「俺の過ちが分かった。真は俺のせいで死んだ。俺が俺を殺したんだ。俺が真だ」そう言って砂時計は終了を迎えます。
目を開けると目の前に現れた管理人が「おめでとう、シロ」と手を差し伸べます。
真は正解へと辿り着いたのでした。
この作品、予想以上の感動作でした。
そして映像美が素晴らしかったです。
濱田岳さんのコミカルなお芝居も素敵でしたが、個人的には真の兄満役の望月歩さんのお芝居にグッときました。