「涙がすーっとこぼれた」大河への道 鈴龍さんの映画レビュー(感想・評価)
涙がすーっとこぼれた
地元では親しみを込めて伊能忠敬のことを「ちゅうけいさん」と呼ぶということを知った。
伊能忠敬を大河ドラマのストーリーにと、20年以上書いていない脚本家の先生(橋爪功)へ依頼する。鳥肌モノでなければ書かない偏屈じじいだが、伊能忠敬の弟子たちがまさに鳥肌モノだった。200年前と現代を二役で演じる役者たちがとても面白い。
伊能忠敬亡き後、その死を3年もの長い間隠し続け、地図完成のために測量を継続、もういよいよここまでかと諦めかけたその時、みんなを鼓舞する高橋景保(中井貴一)の言葉とその迫力は胸を熱くする感動場面だ。
完成させた日本地図を上様へ献上するシーンが最大のピーク。大広間に広がる日本地図を見て「これが余の国のカタチなのじゃな」と上様がポツリと言う。そして「伊能は何処にいる?」とお尋ねになると「ここに居られまする」と伊能忠敬の遺品である草履を差し出す景保。しかし、ここは伊能の弟子たちに聞いていてほしかった場面だ。実際に歩いて測量し苦労して地図を完成させたのは高橋景保ではなく、弟子たちだから。
史実と違っても、隣の部屋で上様の言葉を弟子たちが聞いている場面があったならば弟子たちの苦労も報われ、感動の渦が最高潮になったと思うがいかに。
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