劇場公開日 2022年1月21日

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「ふへんてきな、あいのうた」コーダ あいのうた にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ふへんてきな、あいのうた

2023年3月6日
PCから投稿

なかなか見る勇気が起きなかった。
「コーダ」が面白いって口コミが広がってきた当時、
どうしても先に「エール」を見なきゃって思った。
「エール」が最高だったから、逆に「コーダ」を
見られなかった。
杞憂でした。こっちも最高でした。
空気感は「エール」の方が好きでしたが、
ちゃんとブラッシュアップされていて
映画としての完成度が上がった
「コーダ」も好きです。特に音楽。

この映画のポイントは、映画中盤、
V先生に何故人前で歌が歌えないか説明しろ
と、言われるシーン。
言葉では伝えられず、つい手話をしてしまう。
その手話をじっと見ている先生。
映画を見ている私も、手話はできないが、
なぜかルビーが言おうとしている感情が
伝わってくる。
そこで観客はふと気づく。
「手話」というのは、「言葉」ではなく
感情を伝える手段であるということ。

この映画の最高のシーン、
ラストのオーディションの場面。
なかなかうまく歌えないルビー。
規則を破り会場に入ってくる家族。
そこでルビーの感情がやっと解放される。
ルビーは審査員のために歌っているのではない、
一生歌を理解できない家族のためだけに、
手話で唄うルビー。
結果としてその感情が審査員にも響かせた。
なぜなら、ルビーは言葉と、歌唱と、手話という
3つの方法で感情を伝えられる才能があったから。

じつはこれまで”愛”を教えてもらったのは
ルビーの方でした。
だれもいない漁船の上でひとり唄い鍛えられた歌唱力。
嫌いだった”愛し合う”両親。人を愛することを
一番身近で教えてくれた両親。
皮肉という形でしか表現できないストレートな兄の感情。
それらに気づかせてくれた先生と、マイルス。

と、ここまで書いて全部消したくなった。
この映画の感動を文章で表そうとするなんて無理だ。

よし、もう一回見よう。

にゃろめ