「内外で対峙しなければならない苦悩。」コーダ あいのうた キッスィさんの映画レビュー(感想・評価)
内外で対峙しなければならない苦悩。
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聾啞者の両親と兄を持つルビー。自分だけ健常者というなかで通訳役をしながら代々漁師をしている家庭を支えている。
一方、歌の才能があり、合掌の先生も特別にレッスンをしてくれるほどの実力がある。
家族を支えることと、自分の夢とのはざまで苦悩するルビーが痛いほど伝わってくる。
そして、障害者だから・・・ということで慎ましく人に優しくというステレオタイプのような家庭環境ではないのがまたリアルさを感じる。
喜怒哀楽だってあるし、性欲だってあるし、欲望だってある。その破天荒ともいえる環境で世間かのからかいにも屈せず、音楽に向き合いつつ、家族を背中で説得させるルビーの強さは自分たちに勇気を与えてくれる。
母親との会話で、私(ルビー)が健常者だったら嫌だったか、というくだり。あそこは今まで閉塞感の中聾啞者として生活してきた苦悩をすべて物語っている。1人健常者がいると家庭内の様子がガラッと変わってしまうためだ。唯一の健常者に頼る家族、でも唯一の健常者だけに家庭ではマイノリティという現実。家庭内でも社会でも苦悩するルビーは人の心に訴えかけるシンガーになるだろう。
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