劇場公開日 2022年1月21日

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「「腫れ物」にさわらない聴覚障害者の映画」コーダ あいのうた tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「腫れ物」にさわらない聴覚障害者の映画

2022年3月25日
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すべてが予定調和で、たぶん、こうなるんだろうなぁと思った通りに物語が進んでいくが、それは決して悪いことではなく、逆に、心地よいし、暖かい。聴覚障害者の家族を、変な配慮や忖度を排して、きれいごとではなく、生々しく、それでいて、前向きに、明るく、賑やかに描いているのが良い。
当初、娘が自分たちを手伝うのは当たり前と思っているかのような両親のエゴには違和感を感じたが、家族というのは、そういうものなのかもしれないとも考えさせられる。なによりも、そうした家族のエゴは、終盤、両親が娘を送り出すにあたっての感動を増幅させる装置としても機能している。
ただ、一点、腑に落ちなかったのは、母親が、娘に、産まれて来る時に聴覚障害があるように願ったと心情を吐露する場面。本当にそんなことがあるのだろうかと疑問に思ったが、実際に聴覚障害がある俳優が演じている以上、ある程度のリアリティーはあるのだろう。健常者には知り得ない、聴覚障害者の特別な世界を垣間見たような気がした。

tomato